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『この夏の先には』 中国映画 鑑賞記録

この夏の先には
原題 盛夏未来
監督 陳正道
115 分
2021年7月30日

トップ画像 盛夏未来 微博   

以前から視聴リストに入れていた 吴磊& 张子枫 共演作。
最近エグい血みどろ系ドラマを連続視聴していたので、気分転換に清々しい青春ものを欲しておりチョイス。もうウーレイくんかわいいし、张子枫 上手いし! 予想通りの視聴後感を得られて大満足です。

では早速~。

 



サラっとあらすじ

张子枫 演じる 陈辰チェン・チェン)と 吴磊演じる 郑宇星ジョン・ユーシン)は高考(中国の全国統一大学入試)を控える高校生。二人とも留年してしまい同じクラスに。成績優秀だった 陈辰(チェン・チェン)は両親から理由を追求され、苦し紛れに「失恋」と答える。その相手が 郑宇星(ジョン・ユーシン)なのだ。

そこから二人はお互いの抱える問題や気持ちを打ち明け合う友達になっていく。郑宇星の恋の相手は年上のDJで北京にいる。その人に会いにいって受験をすっぽかしたわけだが、自分もDJになりたいと思っている。
陈辰の方の本当の理由は母親の不倫を知ってしまったこと(実は事態はもっと重大だったのだが)だ。

後半に "実はあれはこうだった" な展開が複数重なるのでここでは多くを語らないが、高校生活を背景に青春の甘さや葛藤、もどかしさ、失望、希望など織り交ぜて恋と家族の物語が感動的に紡がれていく。


青春!

主人公二人の純粋な想いが、それぞれの恋や家族の複雑な関係を軸にキラキラと輝く。

…でも。

実際、青春って傍からみるほどキラキラしてないのは、通り過ぎた人はみんな身を持って知ってることだ。だからこそ、切なくてキュンなのよね…。

そんなキュンを、この二人はなんと上手に演じることか。
監督も、演出も、脚本もいいのだと思うが、やはり俳優の演技力が抜群だと思う。
张子枫 は見る度にその透明感と演技力のバランスに驚嘆する。
そういえば先日、第19回中国映画華表賞で最優秀女優賞を最年少で受賞。既に演技力はお墨付きである。
ウーレイくんは、思わずクン付けで呼びたくなってしまう親しみやすさと可愛さに、演技力とカッコよさが上乗せされて現時点でも最高である(子供時代も最高だったのは多くの方が同意してくれると思ってる)。DJのシーンなど、ほんとカッコよくてかわいくて、ホントもうどうしていいか分からない(笑)



共演者

二人の担任の先生刘丹が演じている。 あの『開端』のバスの車内で圧力鍋を両足でガッチリ挟んでいた、あの方である。この女優さんは『摩天大楼』でも印象的な演技をなさっていたなーと思ったら、本作で第35回 中国映画金鶏賞の助演女優賞にノミネートされていた。(※当初「授賞」と記載していましたがノミネートの誤りでした。すみません。2023/06/03)

この映画は時折コミカルな描写が入るが、この先生はそこに絡んでいることが多くて楽しかった。正直、こちらより『開端』の方が数倍迫力あるいい演技だとわたしは感じたが、実力のある素敵な女優さんであるには違いない。

盛夏未来 微博


登場人物は少な目で、他には 陈辰の両親や 郑宇星の父親くらい。圧倒的に主役二人にフォーカスされている映画だ。
陈辰 ママの身勝手振りや、陈辰 パパの娘を思う親心も、すごくよかったと思う。それがあるから 両親に仲直りしてほしい一心の陈辰の、どうしようもない心の揺れが際立つわけで。


高考

ところで、本作のように中国の映画やドラマにはよく「高考」が描かれる。NHKの特番を観たことがあるし、中国の大学入試の熾烈さは半端ないという認識はある。それにしてもそれら作品内で描かれる実情を見る度に、激しいな、厳しいな、と思ってしまう。留年もするし、家族で引っ越しもするし、親はお弁当を持たせて送り迎えしながら本人は朝早くから夜遅くまで勉強漬けの日々。

丁度これを書いている今も、もうすぐ高考らしく微博を開けるとあちらこちらで "高考加油!" と出てくる。国じゅう、高考の話題で持ち切りらしい。
みんなよく勉強してるのだなーと感心する。本人も家族も他のことを犠牲にして一生懸命頑張って、いい大学に入るといい職業に付けて、いい収入が得られ生活が安定する、という、ある程度の保証があるのだろうし、逆にそこで躓くと逆転が難しい社会なのかもしれない。(よその国のことだからいい加減なことは言えないので断言はできないが)

日本はどうなのだろう。
昔は今より受験がもっと厳しかったような気がしなくもない。今は定員割れする大学も多いからどこかには入れるわけだし。

何が言いたいのかといえば、これほどまでに努力する国ってやっぱり未来が明るいのではないかと思うのだ。努力して結果を出せば素敵な未来が開けるとみんなが信じられる社会って素晴らしい。もちろん加熱し過ぎの弊害もあるだろうし、実際今は逆の方向に修正圧力がかかっているとも聞く。

ただ、中国の映画やドラマを観てると、その質の高さに感嘆せずにはいられない。どうやったらこんな面白いものを次から次へと創れるのだろう、と。映画やドラマ本編だけじゃない。バラエティーやショーや、イベントや、そのポスターや宣伝の仕方やSNSの使い方や見せ方やタイミングデザイン力や… … … 書いてたらキリがないほどなんでもかんでも日本より質が高いと思う、個人的には。(政治的なこととは無関係な視点なので悪しからず)
その良質なコンテンツをよその国から享受できている身は幸せだと思うし、ありがたいことだ。

もう一つ、中国の高校は体操服(上下ジャージ)を着て学校に行くようだ。本作含め、高校生が体操服以外で登校する作品を観たことがないが、いつもかわいいなと思ってしまう。
体育の時間も着替えなくていいし、動きやすくて汚れも気にならないし、下校後そのまま不似合いな場には遊びにいけないし、合理的っていえば合理的ね(笑)

さて、話が逸れまくってしまったが、とにかくこの映画、爽やかでよかった! 原題の通り未来への賛歌を感じる良作であった。


盛夏未来 微博


上述の第19回中国映画華表賞 最優秀女優賞表彰時の写真
张子枫工作室 微博
顔がバッチリ写っているものではなくこれをチョイスするスタッフさんのセンスが好き


吴磊くんの写真も載せたくて最新のこちらを! かわいい
吴磊LEO 微博





Netflixで視聴しましたが、映画ってやっぱりいいなと思えるまとまりのいい作品でした。
ウーレイくん23歳、张子枫 21歳。今計算してみてビックリ!若い!
二人とも実力ありますねぇ。これからが楽しみです!

拙い感想をお読みいただき、ありがとうございましたー。

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