見出し画像

会社のレベルが低いとわかるドキュメント

   こんにちは、いづつです。会社の先輩と話していたらため息が出るエピソードを聞いたのですが、他社でもあるあるだと思うので書いておきます。

■紙切れの誓約書

  先輩が、ある日突然「競合に転職しない」という内容の誓約書にサインさせられたそうです。たぶん最近競合へ転職する人がいたからだと思うのですが、なんとも情けない会社だこと。私も過去の転職時に去る会社に同じようなドキュメントにサインを要求されたことが2回あります。うち1回はウンザリしすぎてサインせず去りましたが、特に何も咎められていません。

■職業選択の自由

  多くの方はご存知のとおり、この書類にはサインしなくてもいいし、サインしても効力をもたないのでただの紙切れ。日本国憲法が職業選択の自由を認めているからです。

第二十二条
何人も、公共の福祉に反しない限り、居住、移転及び職業選択の自由を有する。何人も、外国に移住し、又は国籍を離脱する自由を侵されない。

  転職を考えたことがある人なら必ず知る基礎知識で、いまどきこんなものに騙されて「競合に行けない、怖い」とか言ってビビる人はいません。わりと有名な話なのにこれを強いる会社は100%頭が悪いので、「あー、ここを離れる決断してよかった」とすら思わされる笑い話のネタ以外の価値になりようがありません。現職の会社はまだまともだと思っていたので、これを知って残念極まりないです。これを知った瞬間、私も長居する気が失せてきてしまいました。だって紙切れ1枚で有能な人の給料を上げない理由にしようとしているのですから。

■人の自由はそう簡単に制限できない

  そもそも論として、道徳的におかしいと思わないのでしょうか。その拘束が実現したとして、TwitterやOpenWorksみたいなSNS媒体に投稿されればめでたく一発でブラック企業リスト入り。憲法にすら書いてある当たり前すぎる道徳をわかっていない人が、組織のガバナンスやマネジメントをやってはいけません。

  最近携帯電話通信の大手に図々しく行政指導という名目で文句を垂れている総務省なんかが典型例で腹立たしいのですが、他人の活動を制限したり制御しようとすることはそんなに簡単にやっていいものではありません。人は基本的に自由で、その自由が制限されていいのは他人に迷惑をかける(公共の福祉に反する)場合だけ。

第十三条
すべて国民は、個人として尊重される。生命、自由及び幸福追求に対する国民の権利については、公共の福祉に反しない限り、立法その他の国政の上で、最大の尊重を必要とする。

■会社のレベルが低いとわかるドキュメント

  繰り返しになりますが、紙切れ1枚で人材流出を阻止しようという魂胆がセコい。その紙切れは「あなたの市場価値が高いのは知っているけど、給料は上げられません」と言っているのと同じで、「そうですか、じゃあ出て行きます」という反応は自然なので、かえって転職を後押しすることになります。

  なんて言うか「普通に考えようよ」としか言いようがなくて、この類の誓約書は会社のレベルの低さを示すドキュメントの筆頭に挙げたいです。拘束がしつこいと人はそこから離れていくという、いたって自然な行動原理を想像できないようでは、未来が暗いのは間違いないでしょう。

  みなさん、こういうドキュメント、減らしていきましょうね。


Yoshiyuki IZUTSU

https://linkedin.com/in/yizutsu/



この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?