『運動しても痩せないのはなぜか:代謝の最新科学が示す「それでも運動すべき理由」』
書籍情報
なぜ読んだか
自分自身ランニングは結構する方で、運動と減量の関係については気になっていてこの本も知っていた。そのうえで、同僚に勧められたのもあり読むことにした。
これはめちゃくちゃ面白かった!
内容
運動しても一日の消費カロリーはほぼ変わらない
ランニングはじめとして運動をすると、その分一日のカロリー消費量は増えるように思われるし、世間でもそう信じられている。つまり、
一日のカロリー消費量 = A:基礎代謝的なもの + B:運動での消費カロリー
みたいなイメージがある。
しかし、実際はこの通りにはなっていないというのが研究でわかっている。実際には、一日のカロリー消費量は運動量によらずほぼ一定になっている。これがどういうことかというと、運動をしてBが増えるとその分Aが減るという構造になっているのである。つまり、頑張って運動しても一日あたりの消費カロリーは変わらない = 減量に効果はないのである。
ただ、運動は健康には非常に重要
減量に繋がらないのであれば運動は健康を維持するのに無意味なのかというと、全くそうではない。運動をすることは肥満、糖尿病、心臓病などのリスクを下げ、死亡率が低下する。そのため運動自体は健康にとって不可欠なものである。
なぜカロリー消費量が変わらないのに運動が大事かというと、逆にカロリー消費量は変わらないから大事であるとのこと。つまり、運動をしないと、不必要なことにエネルギーが使われてしまいこれが冒頭の書籍紹介でも引用した以下のような形で説明されている。
なので痩せるには摂取カロリーを減らすしかない
上記の通り、先進国のホワイトカラーの人も、一日中あるき回る狩猟採集民の人も、消費カロリーは大差ないことが示されている。
その中で減量するにはもちろん「消費カロリー < 摂取カロリー」となる必要がある。消費カロリーは運動しても一定なので、そうするともう摂取カロリーを減らすしか、体重を減らす方法はないのである。
感想
この本は本当に面白かった!
ここには紹介しきれていないが、他の生物と人間を比べて進化の中での代謝戦略についてや、人だけがなぜその代謝戦略(大量にエネルギーを消費する)をとれたかなどの説明も非常に興味深い。また筆者の文はユーモアも効いていて、読んでいても飽きない。
そして、最後の章ではより一歩引いて、人の体内/外のエネルギー消費について現状を定量的に分析して、以下に今の私たちの現状がエネルギーの消費という観点でサステナブルじゃないかについても言及されている。
今まで色々なエネルギー問題に対して警鐘を鳴らす文章を読んできてたが、この本の文章が一番個人的にはわかりやすく刺さるものでもあった。
いつかまた読み直したい。
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