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【結婚式の『場創り』それは未来を創ること。】


こんにちは。
NEXT PERSON CREATION
フリーウェディングキャプテンの唐木です。


僕が最近SNSなどで、
多用している結婚式の【場創り】という言葉。




僕はここに今未来への可能性と、
大きな焦りを感じている。


そんな結婚式の『場創り』への想いを書きたいと思います。


◆結婚式は今、変わろうとしている?

業界に入って12年。

現場最前線でキャプテンとして立ち続けてきた僕は、結婚式の真ん中で様々な変化を感じてきた。

演出も、衣裳も、デザインも
目に見えるものは大きく変わっていった。

ゲストは70〜80名を招待し、
余興、サプライズ、ゲームなど
演出は盛りだくさん。

1日の結婚式の中で新婦が着る衣装は
ウェディングドレス、カラードレス、
和装など様々。

写真に映えることを目指した、
デザイン性の高いコーディネート。

こういった結婚式が主流だった。


いわゆる新郎新婦が、
『披露』することを求めていた結婚式。


ただ、ここにきて
本質的に『結婚式に求めるもの』
大きく変わろうとしているのではないか?
と僕は考えている。


新型コロナウイルス感染拡大以前から
少しずつ変化していたのだが、
ここにきてその変化は加速しているように思う。


ゲスト人数は大幅に減少。
「本当に呼びたい人」が主となり。
ゲストファーストな結婚式が増加。

余興、ゲーム、キャンドルサービスなどの
進行演出がほとんどなくなり、
余白(歓談)がメイン。

衣装も1点のみ(お色直し無)が増え、
コーディネートもシンプルなものが多くなった。

そして、結婚式という節目を通して、
大切な人たちと顔を合わせ、言葉を交わし、
心を通わせられる結婚式がしたい。

と願う人が増えてきたように思う。


この変化を感じてきて僕は、
披露』することを求めていた結婚式から
共有』することを求める結婚式へと
変化しているのではないか?と思っている。


だとしたら、
僕たち『結婚式の創り手』としては
お客様が求めているその先をいくような
大きな変化が必要となる。



◆『共有』=『想いの体現』

先ほどからお伝えしている通り、
余白の多いシンプルな進行演出。
限られた人を招いての結婚式。


カタチで言うならば
いわゆる『少人数婚』、『家族婚』
増えてきているわけだが。


結婚式に求めるものが『共有』となり。
結婚式という節目を通して、
大切な人たちと顔を合わせ、
言葉を交わし、心を通わせられる。
こんな時間が溢れる結婚式。


ある意味、『人の繋がり』を目指した結婚式は、
古くから伝わるこの美しい文化の『原点』。
なのかもしれない。。。


だとすると、
僕たち結婚式の創り手に求められていることは、

目に見えない心の奥にある、
愛や、想いを引き出し、体現し、
そこに会した人たちの心にきちんと届けること。

プランニング(設計)も、
結婚式当日のプロ達のクリエイティブも、
ここに向かうものにならなくては。
と思っている。


(敢えて)言うなら、
僕たちが今まで創りあげてきたたものとは
『全くの別物』になると僕は思っている。


僕たちが今、
磨き続けなければならないのは
表面だけの美しさではなく、
内面から滲み出る美しさなのだと。


だからこその『場創り』が重要だと。

『共有』=『想いの体現』=『場創り』



◆場創りにプロが介在する価値

ただそれが重要とはわかっていても
今の結婚式における『場創り』の難易度は相当高い。

先ほどからお伝えしている通り、
新型コロナウイルス感染拡大に伴い
急激に増加している『少人数婚』『家族婚』。

ゲストの人数が大幅に減少。
進行演出はほとんどなく、食事歓談がメイン。


愛や想いを体現し、人の心に届けるための、
場創りに必要な『素材』
数年前に比べて大幅に減ってしまった。

「人の数」によって保たれていた会場の温度や、
「進行演出」が減り、想いを表現する場所も時間も以前より失われている。


例えるならば、
「深みのある味わいの美味しいカレー」
作るとして。

沢山のスパイスを調合し、
食材も海鮮、肉、野菜なんでもあるよ!
っていうこれまでの状態ではなくて。
玉ねぎ、にんじん、じゃがいもはあるけど
肉や海鮮の旨味も、
特別な風味を出せるスパイスも使わず、
これまで通り、いやそれ以上の
「深みのある味わいの美味しいカレー」
を作らなくてはならない。ということ。


しかし、それに気づいている人が
そんなに多くないような気がしていて、
僕は少し葛藤している。


業界の人間としては恥ずかしい話だが、、
『少人数婚』『家族婚』が増え出した時、
僕はこの限られた素材の中、どうすればこれまで以上に心に届く結婚式を創れるのか?と
酷く自問自答を繰り返していた頃。


「進行もないし、人数も少ないから今日は全然余裕だね!!」
なんて話すスタッフさんとお会いしたことが何度かある。

これを聞いた時、
物凄い焦りを感じたのを覚えている。


「ただ、食事するだけなら結婚式のプロは必要ないよね」


いつかお客様にそう思われてしまうのではないかと。


現に、僕の周りでも

「結婚式はするけど、パーティーは食事だけだし、お金もかかるから司会やキャプテンは無しでいいです。」

なんていう声は少しずつ出始めている。


確かに「ただ食事するだけ」でいいなら
わざわざ結婚式場に行かなくてもいい。
ウェディングプランナーのプランニングも
当日施行の司会やキャプテンだって
必要ないのかもしれない。


しかし。
新郎新婦の奥にある想いを引き出し、
それを体現する方法を提案できる
ウェディングプランナーの存在は絶大で。

そして、それをカタチにするため、
会場の真ん中であらゆる素材をかき集め
判断できるキャプテンがいて。

心を刺激する音楽や、
場を臨機応変にコントロールできる司会。
温かいサービスのチカラがあれば
きっとその時間や空間は
とてつもなく美しいものであり、
大きな価値があると僕は思っている。



ただ、その価値がお客様に伝わっていないこと。
そこに気づいていないプロもいるということ。
これは紛れもない事実であり現状だと。


そしてこの話は、
決して「未来予想図」ではない。
現在すでに出てきているお客様の価値観であり、
この状況下で結婚式をしてくださっている新郎新婦様や御両家様にその価値を伝えなくては
いつの日か、

「結婚式のプロは必要ない。」
「結婚式も必要ない。」

になってしまう。


僕は結婚式というこの場所と時間をお借りして
『生業』とさせて頂いている。
だから僕がこういう事を発信するのは
少しばかり綺麗事に聞こえるかもしれない。

それでも結婚式の尊い時間の価値も
その大きなチカラも
誰よりも知っているからこそ。


結婚式という美しい文化は無くしたくないし
決して無くしてはならない。
と思っている。


だから、結婚式のプロが介在する価値を1日も早く届けたい。



◆場創りはきっと、未来を創ること

結婚式の場創りに答えはない。
あるとしてもそれはおそらく無限にある。
カタチの無い、目には見えない愛や想いを、
体現し、届ける事だから。


そもそも、結婚式とは科学的には証明できない
不思議なチカラが働いている。


だけどそれを(良い場創りを)成すために、
できることは確かにあると思っている。


まず『良い場創り』とは
結婚式当日だけでは決して成立しないもの。

・集客、マーケティング
・新規接客
・プランニング
・施行

この全てが結婚式当日、
いやそれ以降の未来をも想い、創られたものがきっと『良い場創り』を生むんだと思う。


例えばウェディングプランナーは決して、
ただのアイテムの『手配屋さん』では無い。


新郎新婦の心の奥にある想いを引き出すために
2人のこれまでの人生、2人の家族、
2人の周りにいる大切人たちのことを聴く。

そして、結婚式を通して何を体現したいのか?
来てくれる人たちとどんな時間を『共有』したいのか?を新郎新婦と一緒に見つけ出していく。
結婚式後の『これから』に想いを馳せながら。


感情や想い、過去や未来と
一つずつ丁寧に向き合いながら、
山ほどあるものの中から
整理してその中から一際輝くものを
見つけ出さなくてはならない。


僕から見たウェディングプランナーという仕事はこれほどまでに沢山の時間をかけ、心を砕いて結婚式を創っているとてつもなく尊い、価値ある仕事だ。


そしてプランニング(設計)するだけでも
素晴らしい『場創り』は完成しないし、
お客様の心に届く結婚式は創られない。


結婚式を創るのは、
ウェディングプランナー1人ではない。
結婚式当日のクリエイターへ
それが「鮮明」にリレーできるかが重要となる。

場創りという名のトンネル。
その入口で丁寧に見つけ出した想いが
正しくリレーされなければ
出口に出た時には
全く違う景色が広がってしまう。



例えば、観客の心に届く素晴らしい「映画」を創ることを目指すとして。

どれだけ美しい脚本だとしても、
脚本としての完成度だけでは観客の心へは届かない。

どうすればワンシーンに込められた繊細な心理描写を演出家や演者(結婚式当日の施行スタッフ)が、体現できるか?

ここまでを想像して脚本を仕上げなければならないし、脚本家の想い(新郎新婦の想い)を演出家や演者に正しくリレーできないと、きっと(出口で)その想いが観客の心に届くことはない。

そして、その想いのバトンを受け取った演出家、演者、美術、音響などの創り手たちが一つのゴールに向かって、高いレベルでそれぞれのクリエイティブを発揮する。観客の感情を加速させる挿入歌やカメラの画角まで本気で拘って体現していく。

ここまで緻密で繊細なプロのクリエイティブが繋がった時、初めて価値ある『結婚式の場創り』は成立するのだと思っている。



だからこそ、場創りを磨くためにやれることは沢山ある。

プランナー、キャプテン、フォトグラファー、MC(司会)、PA(音響)、サービス、キッチンなどが更に磨ける場所はないか?というフィードバックを常に行う必要があるし、それぞれの想いを共有した方がいい。

SNSや宣材写真はトンネルの出口を想像できるようなものを分かりやすくお客様に届けたい。

プロを育てる人材育成は機械の使い方やオペレーション、マニュアルなどの「答え」を教えるだけではなく、相手に余白を与えながら、結婚式の場創りを意識した想像力を鍛えなくてはならない。



結婚式のプロとして100点が付くことは
あり得ないのだけど。
僕の中で場創りが上手くいったのか?
を測る一つのポイントがあるとするならば、
それは


『能動的』かどうか。


長年の親子の中にあった溝が埋められたり。
恥ずかしい言葉が何故か言えてしまったり。
心が温かくなり涙が溢れてきたり。
会場が揺れるほどの拍手が起きたり。


これらが新郎新婦やゲストから
能動的に起こるということは
『結婚式の場創り』のチカラが
大きかった証拠だと思っている。


この場創りのレベルが上がればきっと、
結婚式当日の満足だけでは終わらず、
心に届き、感じた想いはきっと
未来でも色褪せず残るはずだから。


人は頭で記憶したことのほとんどは消えて無くなってしまうけど、心で記憶したことは何十年も鮮明に覚えているもの。


能動的に引き出された
表情や言葉、拍手や繋いだ手の温もりから
愛されていることを実感でき、
この人生を生きてきて良かったと
肯定してくれる。


その心の記憶はきっと、
何年か先、パートナーとの人生の中で
大きな壁が現れたその時に、そっと励まし、
勇気を与えてくれるものになるはず。



結婚式の場創り。
それはきっと『未来を創ること』。


そう思うと、これまでよりずっと
その責任は重くのしかかるけど、
それと同時に、僕たちはもの凄く尊い時間に
携わっているんだと実感することができる。


これからの結婚式に求められるのは
お客様の心に、そして未来へと届く『場創り』。


僕は今日も、
「どうすれば未来に届く場創りができるか?」
という答えのない問いに向き合い続け、
丁寧に磨いていこうと思う。


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