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10年越しの思い、「スタンド・バイ・ミー」を観て

こんにちは。

本日の金曜ロードショーは「スタンド・バイ・ミー」でしたね。

皆さんご覧になりましたでしょうか。


1980年代に上映された、世界中でも不朽の名作。

少年たちの、ひと夏の冒険と成長を描いた物語です。

おそらくトトロ並みにみたことのない人が少ないのではないでしょうか。

(言い過ぎかな)


しかし、私は最後までこの映画を見たことはありませんでした。

この映画を観る機会は、これまでにたくさんありました。

DVDやサブスクなどなど、、


けれど私が初めてこの映画を見たのは今から10年前の、中学生の時でした。

当時は、総合という授業の時間があり、その時間は担任の先生が好きなことをする時間がありました。今はあるのかな?

私の当時の担任の先生は、映画が好きで、たまにくるこの時間には、おすすめの映画を観せてくれました。私はその時間が楽しみで、毎週楽しみにしていたのを覚えています。金曜日の5、6時間目だったかな。


その時もおすすめの映画ということで、「スタンド・バイ・ミー」を観ていました。

しかし、その日はどうしても中断せざるを得ない出来事が起こったのです。


勘の良い方ならもしかしたら気づいたかもしれません。

そう、東日本大震災が発生しました。


予め申し上げておくと、私の住んでいた地方は被災地ではありません。

なので、私の周りにも、地域にも大きな被害はありませんでした。

そこはご心配なさらず。


今でも記憶に残っているのが、地震が起こったときに、私の地域でもある程度大きな揺れがあり、担任の先生が職員室に確認に行きました。

そこで「スタンド・バイ・ミー」の鑑賞は中止となり、自習となりました。

その後先生が教室に戻ってきて一言、

「震源は東北なのに、この揺れはやばい。とんでもないことが起きているかも。」


まだ青臭いクソガキだった私にはあまり実感が湧きませんでしたが、絵も言われぬ恐怖を感じたのを覚えています。

その日は部活も中止となり、家に帰ってテレビをつけると、どのチャンネルでも津波の映像。初めて見た光景に、言葉が出ませんでした。

なんだかどこか現実ではないような、そんな感覚。これがLIVE映像?こんなことがほんとに起きているの?


ただ中学生ながら、これは歴史に残るような出来事になるように感じていました。


先ほど申し上げた通り、私の周りには被害がなかったものの、ニュースはどれをつけても被災状況。CMは全てAC JAPAN 。当時を経験した方なら記憶に鮮明に残っているでしょう。日本中が異様な雰囲気に包まれていました。


そこから数ヶ月後、私の地域を震度6程度の地震が襲いました。私の家は瓦屋根が若干落ちた程度で、学校にもそこまで被害がありませんでした。しかし、あの揺れにとても恐怖を感じました。私というか、人類の無力さを直に感じることとなりました。その時思いました。これでこの怖さだったのに、あの時東北にいた方々はどのくらい怖かったのかと。

幼なかった私には何もできることはありませんでしたが、少なくともこの出来事、この想いは忘れずいようと思いました。


そこから今年で10年。その間なんだかこの映画とうまく向き合うことができませんでした。私が大きな被害を受けたわけではないし、この映画にも罪はないのに。

その10年の間に、私は被災地にも実際に訪れたことがあります。

数年経っていたので、すでに復興の雰囲気はありましたが、未だ更地、瓦礫の山がおおい街。創り上げることはあんなに時間がかかるのに、無くなるのはこんなにもあっけないんだと、更新されていない、震災以前の情報を映し出すカーナビを見ながら感じていました。


言葉にするのは難しいなあ。なんだか、この映画を最後まで観るとその日の思い出を精算してしまうような。

観ないことで、その記憶を保持していこうと考えていたのかもしれません。

映画の内容的にも、青春のひとときをそれで終わらせてしまうような、そんな感じがしました。


ですが、今回の金曜ロードショーで、タイミングも良く(サッカー日本代表が大勝でノリノリ)ついに見ようと決めました。

結果、物凄くよかったです。なんで今まで観なかったんだろうと。


皆さんにも、必ずあるのではないでしょうか。あのような経験。

自転車もしくは徒歩で、知らない街へ、何かを探しに行く冒険。

少年たちにとっては、あの距離でも相当の大冒険です。


大人になってしまえば、大した距離でもないのに。車で片手間に行けてしまう距離。

でも、あの少年たちには何もかもが新鮮で、そして恐怖の対象だったと思います。


それに向き合うことで、少年たちの秘めていた悩みとも向き合え、成長に繋がったのではないのでしょうか。

あの時は、時間は永遠で、共にした友達は一生ものだと思います。

しかし、徐々に疎遠になるのもまたリアル。友が亡くなったとの報せを受け、その記憶が鮮明に思い出され、永遠のものにしようと記録する。

まだそこまでは生きていませんが、妙に現実味のある物語でした。


小中学生の時の、裏山に秘密基地を作ったりだとか、自転車でいくつものトンネルを越え、川遊びに行ったことなど、この映画を見て鮮烈に思い出しました。

あの時に見た景色、出会った人、感じた思いはもう感じることはできないんだと考えると、なんだか涙が出そうですね。

懐かしくも、あの当時の気持ちで今を生きれているか、いい意味でふざけられているかなど、考えさせられました。


10年越しに観た映画ですが、なんだか大切なことを思い出させてくれた、そんな映画になりました。

今ならあの思い出とも、向き合える気がします。


私にとってはなんだか特別な映画、観れてよかったです。

当時の思い出を慈しみながら。



※当時のことを思い出し、不快になられた方がもしおられましたら、心よりお詫び申し上げます。






読んでくださりありがとうございます。より面白い、興味を持ってくださる文書を書けるよう、精進して参ります。