戻り梅雨と能勢電鉄(ニュータウンとサイダー編)
「戻り梅雨」の里山を楽しんだ次は「のせでん」第2の終点へと向かう。山下駅まで引き返すとここから「日生中央行き」へ乗り換える。
復刻塗装ver2
やってきたのはマルーンと仮面を掛けたようなクリームを纏うまた違った塗装。
こちらは昭和後期から平成初期ごろに見られたもので、元のマルーンにクリームをプラスして個性や旧型とは違った鮮やかさを出した。
その後はクリームとオレンジという「フルーツ牛乳」と呼ばれた唯一無二の塗装が2000年代までいて、こういう電車を幼い頃にビデオでよく見ていた。おまけに大阪在住時代に清荒神によく行ってたことを母から聞き、道中の川西能勢口駅で目撃したことを思い出した。後者は2歳ごろのおぼろげな記憶ながら「のせでん」を容易に覚えることができていた所以なのかも。創業100年記念で一度は復刻し、個人的にはこの色もいて欲しかったが、いないのが残念。
そんなちょっとした思い出とともに、いざ日生中央へ。比較的新しめの路線故に比較的飛ばす感じ。沿線には住宅地が点在する。
日生中央ぶらり
そしてやってきた日生中央駅。川西市と猪名川町の境目付近にあって、「阪急日生ニュータウン」の玄関口でもある。ちなみに「日生」の名は開発主が「日本生命」であることに由来している。
駅前には「阪急バス」が発着するロータリーや商業施設「サピエ」「ケーズデンキ」スーパーなどがある。個人的には大阪の千里中央駅や今の実家がある神戸の須磨のような雰囲気がある。それに朝と晩には大阪梅田から「日生エクスプレス」という字面がカッコ良すぎる特急電車が直通するもんだから栄えてるのが容易に分かる。そんなこんなで少しぶらついて折り返す。
やってきたのは「1700系」という「のせでん」最古参車両。上に尾灯や種別識別灯がまとめられて、「ほっぺた」があるような旧型スタイル。2000年代までは阪急の支線で見られたものの、今は全て引退し、「1700系」が最後。半世紀以上前に製造されたかなり貴重な車両でブレーキを緩める音も若干違っていたりするなどレトロを感じさせる。
途中山下駅で降りて、マニアック過ぎて伝わらなさそうな光景に興奮した後、少し撮って、キーホルダーのガチャを回したら、今度は平野駅へ。
車庫とあの炭酸のルーツ
ちょっと車庫を見つつ、ここでは「三ツ矢サイダー発祥の地」へと行ってきた。
見慣れたあのマークの書かれた古びた建物とオールディーな「のせでん」おまけに戻り梅雨の雨がよく似合うし、ここからみんな大好きなあのサイダーが生まれたのかと思うと感慨深くなる。
ただ、こんな場所なのに周りや道中の自販機に『三ツ矢サイダー』がなくて、わざわざ駅を挟んだ逆方向に離れたローソンで調達。「なんで近くにないねん!!」と突っ込みたくなる。
コンプリート!
そして、「のせでん」の〆には一度も会えていない形式を狙い、ほぼコンプリートする。平野で暇を潰したのはそういう理由で、「三ツ矢サイダー発祥の地」はそもそもノーリサーチだ。それはともかく大急ぎで「川西能勢口行き」に乗る。
やってきたのは「7200系」。「のせでん」所属の中では1番新しい車両だ。同じのは今でも阪急神戸線、宝塚線では主力ではあるが、新型に後進を譲った一部は、改造を受けた上でここにやってきた。「アイボリー鉢巻」にはさらに細い金のラインが入り、「N7200」というオリジナルロゴもある。また、モーターも新品に交換された。
車内もリノベーションされていて、茶色が濃い目の木目や案内ディスプレイが目新しい。その上、「のせでん」沿線をイメージした装飾が個性をプラスしている。
「のせでん」満喫してみて
「のせでん」を満喫してみたが、いろいろ知らないことも多いもんだ。ノーリサーチながら「ししとじ丼」や「三ツ矢サイダー発祥の地」にも出会えたわけだ。
その上、阪急の中古車が大活躍してたり、ベンチに懐かしさを感じるグループの濃ゆさがありつつも、オリジナルの装飾や塗色で個性を際立たせたり、山下から妙見口にかけてにあった「ヨルシカによく似た里山」が阪急電車ではまず無い光景があったりするところは「のせでん」の魅力が垣間見える。今回は「戻り梅雨」のぐずついた中で『六月は雨上がりの街を書く』をここで2度かけるぐらいだったが、今度は晴れ間で乗って、『花に亡霊』『雲と幽霊』suisさんが歌う『少年時代』をお供に乗るリベンジをしてみたい。できればセミが大合唱する暑いうちに。
ストリートミュージシャンの投げ銭のような感覚でお気軽にどうぞ。