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プロダクトの進化を支える「とりあえず出そうぜ」の力

「とりあえず出そうぜ」というのは、プロダクト作りにおいてとても大事な考え方です。

投げやりな意思決定をする、という意味ではありません。とりあえず出すとは、考えてもわからないことは試してみるということです。

"Done is better than perfect"というマーク・ザッカーバーグ氏の有名な言葉がありますが、「とりあえず出そうぜ」はこれに近い言葉です。

※ 投げやりな文脈でネタ画像とともに使われることもありますが、今回は投げやりにしない話です

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投げやりな文脈でよく使われるネタ画像

ご存知の方は多いと思いますが、"Done is better than perfect"は、IPO時にザッカーバーグ氏が投資家に宛てた手紙の一つ "The Hacker Way" に書かれている言葉です。改めて読んでみてもためになることが書いてあります。

Hackers try to build the best services over the long term by quickly releasing and learning from smaller iterations rather than trying to get everything right all at once. To support this, we have built a testing framework that at any given time can try out thousands of versions of Facebook. We have the words "Done is better than perfect" painted on our walls to remind ourselves to always keep shipping.

リリースを通した学びのサイクルを高速に回すことが長期的に最高のサービスをつくる、だから「とりあえず出そうぜ」ということです。

とりあえず出そうぜのメリット

とりあえず出そうぜ、という考え方にはメリットが二つあります。

一つ目のメリットは、やるべきことにフォーカスできることです。

とりあえず、というと雑になるイメージが先行しそうですが、実際は逆です。この言葉が持つ最も大きな力は、トライからは必ず学びが得られなくてはいけないというシンプルな制約です。

なぜ「とりあえず」出すかと言うと、正しいかどうかわからないことがあり、その部分を仮置きしているからです。仮置きした部分こそが仮説検証の肝であり、それについてなるべく短時間で良質な学びを得ることが最優先事項です。

そのためには、仮説がシャープでなければいけません。特にプロダクトの初期や新機能開発時はできることが多すぎて、あれもこれもと手をつけたくなります。しかし、一度に全てに着手してしまうと、何が良くて何が悪かったのかさっぱりわからなくなってしまいます。

わからないことを明確にして優先順位をつけることで、一度のトライで検証すべき仮説がシャープになり、継続的に質の良い学びを積み重ねることができるようになります。

二つ目のメリットは、組織として失敗や不完全さに前向きになることです。

The Hacker Wayは、次のような文章で始まっています。

As part of building a strong company, we work hard at making Facebook the best place for great people to have a big impact on the world and learn from other great people. We have cultivated a unique culture and management approach that we call the Hacker Way.

The Hacker Wayというのは、Facebookが優れた人々が世界に大きな影響を与え、他の優れた人々から学ぶのに最適な場所になるために培ってきた独自の文化だそうです。

学び合う文化は、組織の成長において非常に強力な武器です。失敗や不完全さについてオープンな風土は、学ぶという行為に心理的安全性を提供し、最良のアイデアのための対話や議論を促進します。

失敗から学ぶというのは最も費用対効果のいい方法なので、これに対する心理的障壁がないというのは控えめに言って最強の状態です。

失敗、というトピックは個人的にとても好きなので話し始めるとキリがないのですが、今回は失敗の化学という本をご紹介するに止めたいと思います。

この本では、安全性を獲得した航空業界とミスが減らない医療業界の体質の対比などを通して、失敗から学びを得ることの重要性やそのための方法についてわかりやすく解説されています。よかったら是非読んでみてください。

さいごに

手前味噌な話をさせてください。つい昨日もうちのチームで議論が進むうちに「とりあえず出そうぜ!」という話になりました。

こういうとき、僕たちは自然とミニマムの要件を絞りにいくように話が進むのですが、この流れが自然と生まれているのは良いことだと思います。

あれもこれもと要件を増やすよりも、むしろ可能な限り減らしていくことで検証はシャープになっていきます。そのことを頭でも肌感でもチームメンバー全員が理解しているのは非常に心強いです。

僕たちは、WellというB2B SaaSのプロダクトを開発している、Boulderというスタートアップです。従業員の幸せが、企業にとっての価値になるような世界を目指して取り組んでいます。

プロダクトに向き合う中で、僕たちのチームでもThe Hacker Wayに負けないくらい良い文化・風土が育ってきていると自負しています。

ここからさらにプロダクトも文化も一緒に盛り上げてくれる仲間を探していますので、もしご興味ありましたらお気軽にご連絡ください。

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facebook (加藤 慶之)

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