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いかにして学ぶか

🎄 この記事は、Boulder Advent Calendar 2020 10日目の代打記事です🎄

学ぶ、というのは僕たちには馴染み深い言葉です。学業の話はもちろんのこと、昨今ではビジネスの文脈でもよく用いられているのを目にします。

僕はスタートアップの一員として働く身の上なので、特に学ぶことの大切さを日々痛感しています。一時が万事知らないことやわからないことばかり、見渡す限り学ぶことで溢れかえっています。

一方で、学ぶことにどこか苦手意識をもっている人も少なくないように思います。かつては僕もその1人でした。勉強は、やらなくてはいけない、できなくてはいけないものであり、あまり楽しいとは思えなかったからです。

勉強の成績によって褒められたり叱られたり、まるで勉強が自分の価値を決めるモノサシのように感じられ、点数という「価値」を引き上げることばかりを考えてしまうことに辟易していました。

しかし今、僕にとって学ぶことは、かつてのようにネガティブではありません。僕にとって、学ぶことは自由で楽しい冒険そのものです。

この記事では、かつて勉強が苦手だった僕が、学ぶことが大好きになる過程で出会い、大切にしている考え方についてご紹介したいと思います。少しでも、学ぶことに悩みを抱える方々の助けになれば幸いです。

なぜ楽しくないのか

楽しくなくなる要因は様々あると思いますが、大きく二種類に分けることができます。一つは周囲との関係によるもの、もう一つは自身の学習能力によるものです。

前者の例としては、周囲と比較してしまい劣等感を感じる、できないことが恥ずかしい、などがあります。後者の例としては、やりかたがわからない、やってもできるようにならない、などがあります。

両方の話を一度にすると長くなりすぎるので、今回は前者に対して関係を作る話をします。後者に対しては効果的な学び方の話を続編記事として書く予定なので、もしよければそちらも読んでいただけると嬉しいです。​

関係を作る

良い関係とは、自分を中心に他者との間で生まれるものです。なので、まずは自分が良い状態でなくてはいけません。

その上で、関わりを通じて他者が良い状態ならば、それは良い関係だと言えます。さらに、関わることで双方にとって大きなメリットが生まれるならば、それは理想的な関係と言えるでしょう。

最終的に目指したいのは、やはり理想的な関係です。多くの場合、理想的な関係の背後には通念のように機能する良い価値観があります。それは自分のあり方の支えになり、他者の助けにもなるようなものです。

例えば、企業におけるバリューやカルチャーコードは、理想的な企業文化を醸成するために、良い価値観を明文化したものです。Googleの掲げる10の事実や、NetflixのCulture memoが有名です。

学ぶことにおいても同様です。良い価値観によって自分を認識し、受け入れ、他者に対しても同様に関わっていくことで、良い関係の輪が広がっていきます。ここから先はその流れにそって順に話を進めます。

1.無知の価値を知るでは、学ぶことにおける良い価値観についてお話します。2.自分を認める 3.自分だけの目的を持つでは、その価値観をもってどのように学びに取り組むかについて、4.仲間をつくる 5.批判と付き合うでは、他者との関わり方についてお話しします。

1. 無知の価値を知る

「無知」はネガティブなイメージが先行しやすい言葉ではありますが、学ぶということにおいてはむしろポジティブな言葉です。

「無知の知」あるいは「不知の自覚」という言葉は聞いたことがあると思います。ソクラテスの有名な逸話で、「無知を自覚した者こそが、最も知恵ある者だ」という話です。

学ぶという行為は、不足を自覚することから始まります。知らないこともできないことも、当たり前のことなのです。

とはいえ、それを恥ずかしいと感じることもあると思います。例えば、授業や会議で馬鹿らしい質問をしたらどうなるだろう、と不安になることもあるかもしれません。

しかし、勇気を持ってください。それは素晴らしい気づきです。そして他の人を助ける可能性すら秘めています。

以前、質問する人がいかに偉いか、ということを解説したスライドが話題になりました(上リンク参照)。いい話だけに反発するリプライもつきまくっていますが、とにかく質問する人はめちゃくちゃ偉いのです。

2. 自分を認める

学ぶ上で欠かせないのは、自分を正しく認識しようとすることです。自己認識の解像度が高いほど、学びの質は上がっていきます。

自分を正しく認識しようとすると、当然「できない自分」というある種の不都合な事実とも向き合わなくてはいけません。人によっては、これが最も難しいかもしれません。

自尊心が傷つくかもしれませんし、できないことを隠さなければいけない、と感じるかもしれません。しかし、逃げても隠れてもできないという事実は変わりません。

唯一できることは、自分は自分以上にはならないのだと認め、受け入れることです。理想とは押し付けるものではなく、追い求めるものです。現在地と向かうべき方向を知らなければ、永遠にたどり着くことはできません。

他人と比べるのも決して悪くありません。先人と比べれば自分の成長の余地や方向性を知ることができますし、ライバルの存在はモチベーションを高めてくれます。

しかし、あくまで他人は他人です。自分は決してその人にはなりません。

認めてしまいましょう。

僕は自分のできないことを、素直に受け入れ認められる人を尊敬しています。年齢も立場も関係なく、学ぼうとする姿勢を持つ人は誰だって勇気ある人です。

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井上雄彦『バガボンド』より

3. 自分だけの目的を持つ

学ぶことの目的は自分で決めなくてはいけません。学ぶことのオーナーはいつも自分です。決して他者に委ねてはいけません。

目的ときっかけは違います。「仕事で必要だから」「上司に言われたから」「授業の課題だから」これらはきっかけです。

目的とは、学ぶことで自分がどうなりたいかということです。仕事で必要なのはなぜでしょうか。それを学ぶことで自分はどうなるのでしょうか。どうなっていきたいのでしょうか。

目的が明確でない状態で学ぼうとしても、漫然と流されてこなすだけになってしまいます。考える量が減るので当然得られる学びが少なくなりますし、やらされているようにも感じてしまいます。

学ぶことにおいて最も大事なのは自分です。きっかけが何であれ、人は自分のために学ぶのです。自分のために、自分で考え、自分で決めなくてはいけません。

4. 仲間をつくる

ここまで、学ぶ人自身が、自分と学ぶことをどのように捉えるかについて書いてきました。無知の価値を知り、自分を認め、自分だけの目的を定めることができるようになれば、1人で学び始めるには十分です。

次は、互いを尊重しあえる学ぶ仲間をつくりましょう。仲間がいれば、さらに多くの学びを得られるようになります。ここで仲間とは、同級生や同年代の人に限りません。歳の離れた先輩や同僚、あるいは学校の先生や上司でも構いません。

学びに立場は関係ありません。大事なのは、自分がそうであるように、他者にとっての学ぶことを認めて尊重することです。これは、無知の価値を知った上で、他者の現状と目的を認めるということです。

この関係性は、高い心理的安全性を生みます。心理的安全性は、居心地の良さはもちろんのこと、アイデアや情報の共有の活性化に繋がり、自分だけでは気づかなかったことを学びとして得られるチャンスになります。

逆に、この関係性が築けない組織や集団は、学ぶことについてあまり心理的に安全でないかもしれません。無知が悪とされていたり、自分の現状や目的が認められないとなれば、間違いなく学びづらい環境です。

5. 批判と付き合う

学んだことについて議論したりアウトプットしたり、他者や外界と関われば批判を受けることも当然あります。

批判されることに怖さを感じる人は多いと思います。僕は比較的メンタルが強い方ではありますが、それでもやはり多少は緊張します。

大事なのは、一度に全て真正面から受け止めようとしないことです。一旦ご意見ボックスに入れてから、受け取るべきものを落ち着いて選別します。信頼できる人と一緒に相談しながら選別するのもいいと思います。

選別する際の基準は、それが役に立つか立たないかということです。役に立つ批判というのは事実を的確に指摘していて学びや改善に繋がるもの、役に立たない批判というのは、的外れな指摘や誹謗中傷・悪口のことです。

世の中には、ただ他者を傷つけたいだけの人や、人を見下すことでしか自分の価値を認識できない人がいます。そういう人は、こちらが気にしそうなことを強めの語気で言ったりするので、一瞬心が揺れて大事なことを言われたように感じるかもしれませんが、気のせいです。大抵本質からは外れたことを言っていて、何の役にも立ちません。

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さくらももこ『COJI-COJI』より

忘れてはいけないのは、ここで言ったことは、批判する立場になれば自分に翻ってくるということです。批判から自分を守れるようになるとともに、他者にとってもよい批判者でありたいですね。

さいごに

この記事の内容は、社内でLTとして発表した内容をまとめ直したものです。申し遅れましたが、僕は株式会社BoulderというB2B SaaSを手掛けるスタートアップで、VP of Engineeringとしてプロダクト開発を行っています。

スタートアップという環境は、変化が激しく不確実性に満ちています。当然、人もビジネスも成長し続けなければ、生き残ることはできません。生き残るための鍵は、弛まず学びを積み上げ、成長につなげていくことです。

学びとは冒険の旅です。しかし、それは必ずしも孤独な旅だけではありません。信頼できる仲間を得れば、1人では不可能に思えた世界にもきっと辿りつくことができます。

僕たちも「事業によって、従業員にとって最高な企業達を創り出す」という大きなビジョンを掲げ、その実現に向けて日々進み続けています。ハードですが、信頼する最高のチームと一緒に挑むのはとても楽しいです。

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