現実に即して、引率者の資質と、運用基準を考える。

時事のものとして少し遅れた気もしますが、那須の雪崩事案について様々な方面から様々な方が様々な意見を発信しています。

部活動という枠について言えば、「冬山登山一律禁止」というところに食いついている方も少なくないようで、ちょっと僕も思うところを・・・。

実はこれって、構造的に、管理者についても問題というか課題があって、「主催者、引率、顧問としての資質がどんなもんだ?」ということから考える必要があると思います。

「顧問で部活は変わる」というのはわりと保護者的にさほど驚くことでもないですが、これはそのまま「指導者、引率者としての資質に相当なバラつきがある」以外のなにものでもないわけです。(まあ、教育について全てそうだと言われてしまえば、それはもうその通りなんですけどね・・・・。)

良い顧問に当たればそれはもう、活動自体が活発になり実績もあがる。残念な顧問に当たれば後は生徒の資質次第とか、部活自体が衰退とか。
(まあ、当たりとか外れとか言ってる時点で、どんだけ?ってこともありますが・・・。)

例えば学校授業にあるようなスポーツだったり文化活動だったりならば、教員になるまでの間にきちんと学んでいるはずなので、先生方にある程度以上のスキルがあるということに異論はありません。
問題はそれ以外、あるいは専門外の活動について顧問をしているような場合です。

顧問になるにあたり、特定の資格とか能力が担保される必要ってどういうふうになっているんですかね?
すいません。ちょっと勉強不足でまだ確認できてないんですけど・・・。
でも「顧問になったから道具を揃える。」とか「顧問押し付けられたので仕方ないから今からルールブック見て覚えよう」とか、そんな声聞いたことあるんですよね。
正直、泥縄以外の何物でもなく、素人さんが指導者。

登山みたいに、花形とは言い難い(TVで中継とかされないし、大会や競技会が少ない)ような、まあ、マイナースポーツとかだとなおのこと、この傾向は強いかと。(スイマセン。登山、マイナースポーツに対して悪意は一切ありません)

本来競技というものは、その競技に長けたもの、通じたものが監督し、そして大会や試合を管理、参加者を指導、引率するべきもので、そこには共有できる絶対的な基準。ルールと言ってもいいけどそういうものが必要なんです。

ここまでの話、どの程度の比率かはデータとして拾えてはいませんが、部活動によっては、引率者、顧問の技術や知識レベルに、にわかに信じられないほどの差がある可能性も否定できません。

そして、それでも現実的に続いている、現在の部活動という環境下で、どれだけ最低限必要な知識を共有できるかが肝要。

ここから考える現実的な運用方法は、指導者、引率者のレベルに一切左右されないほどに

「馬鹿でも間違いようがなく、切れ者でも解釈変更の余地がない、単純明快な基準のもとに活動すること」

となります。

そういう意味で、「冬山登山一律禁止」という方向も、気持ち的に理解できなくもないっちゃあないんですけども、今回のこれ設定基準としてはすこぶる残念。
(それ以前に冬山は原則禁止ってなってましたけどね。今回だって「春山」ってことで実施してたはず)

コントロールの手法として、一律「〇〇禁止」という方法は、一見乱暴に見えますが、大きなくくりで広く対象者の安全を確保しようとした場合。「どう転んでも危険に遭遇させない(実施できない)から大丈夫」という、実に効果的な運用方法でもあるわけです。

ただ、この「〇〇」を「冬山」にしちゃうと正直大雑把すぎて使い物にならんでしょって強く思うわけです。

冬って明確に定義できないものを基準にして一体何をしようというのか・・・。
「一律禁止」という網をかけるにはその基準が単純明快ってことが絶対的に必要で、その基準には解釈も間違いも入る余地がないくらい明確にしておかないとダメ。納得とかそういう問題も一切関係なくきっちり線をひかなきゃいけない。

特に、個々の自己責任論が成立しない学校活動、部活動であるからこそ。一面的に単純に環境評価がしにくい自然相手だからこそ。あるいは引率者においてもレベルのバラつきが予想される状況だからこそ。
どのような状況下でも、誰でもある程度の安全マージンを確保できる明確な基準を共有する必要があるのではないでしょうか?(ここだけで一記事かけるくらい思うところがありますがそれはまた別の機会に)

だからこそ

「馬鹿でも間違いようがなく、切れ者でも解釈のしようがない、単純明快な基準」

で、はじめて全体の安全として機能するはずなんですが・・・。

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

なんて記事を書いていたら、こんなニュースが流れてきました。

<高校登山部>登山ルール策定 道険し
https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20170411-00000026-khks-soci

ルール策定を目指す県教委に対し、出席者からは「自然が相手なので、細かなルールを一律に設けるのは困難な部分もある」などと意見も出た。

登山専門部委員長を務める仙台二高の大槻聡教諭は「基準はつくりたいが、各校の顧問によって考え方はさまざま。現段階では何とも言えない」と話す。

まさに問題はここなんですけどね。

引率者の考え方が様々なのは当然ですけど、それによって、安全な活動環境やその判断基準が「高校生の登山部活動」下で、様々になるのだとしたら大問題です。

最低でも、全体を対象とするような大会や研修会においては、完全に共有順守できる基準は必須なはずです。

(突出した技量とそれを担保する指導レベルや活動環境がある学校ももちろんあるでしょうがそれは特殊な事例として問題はないと思いますし、その活動内容を否定する気は全くありません。
高い活動能力は高いリスク管理能力とセットであり、そのコストまで含め、きちんと運営されているのであれば、それは部活動の枠内でも、各校間の対戦でなく、まさに山への挑戦という形で活動がなされているはずです)


#部活 #学校安全 #登山部 #雪崩事故 #リスク #危機管理 #安全 #屋外安全 #基準

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?