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月50万円は、本当に『中小企業向け』なのか

以前、ある中小企業を支援するプロジェクトから、「中小企業向けに芸能人を起用できますよ」という営業電話が来た。

その予算とは、月額50万円だった。

当然、当社では手が出る金額ではないので断った。

少し計算してみる。

月額50万円、年額600万円。

ところで、企業における広告宣伝費の割合は、化粧品や通販など特殊な業界を除けば、概ね、どの業種でも5%程度となる

https://hansokunodaigaku.com/koukoku_post/1414/

とはいっても、広告宣伝費の中には、取引先へのマージンや、恒常的に作っている販促品などがあるだろうから、新たな施策にチャレンジできる自由度の高い予算は、資金に余裕のない中小企業では、多く見ても広告宣伝費全体の20%程度、すなわち、売上の1%が新しい取組に回せる予算となる。

直感的に、もし取組が失敗に終われば、単純に営業利益率が1%の悪化になり、これを飲めるかどうかと言う判断になる。

すると、600万円が売上の1%の企業とは、売上高約6億円の企業からということになる。

なお、少し古いデータだが、比較的広告宣伝への出向が多いとされる食品製造業でも、売上10億円未満の企業においては、いわゆる販売促進費でない、広告宣伝費は、売上の1.4%しかない。

この半分を回すとすると、0.7%、こちらルートの推計でも、約1%というのは、まあまあ、当たらずとも遠からずというところか。

https://fmric.or.jp/6jika_support/bizmodel/43_2_syuekikouzou.pdf


ところで、売上高約6億円というのは、中小企業において、どの程度の位置づけなのだろうか。

こちら、中小企業庁の資料によると上記リンク図1-2-8から、概ね上位5%弱の企業と言うことになる。(上位5%が5億円)

つまり、このサービスが利用できるのは、中小企業でも、概ね上位5%に入る企業が、プロジェクトの利用対象となる。

これで、中小企業の応援なのだろうか?とは、率直に思う。

なお、様々な『中小企業向けサービス』などがあるが、概ね、年間予算で500万円となってくると、その時点で中小企業の上位5%を狙う、『中小企業の中のニッチを狙う』サービスになると考えて、差し支えはないだろう。

正直、中小企業の支援をしたいという大企業出身者に会うと、ご自身の人件費の見積が、そもそも中小企業には高すぎるケースが多い。

それほど、中小企業支援というのは、まず予算の間尺のカベが立ち塞がっている。

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