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お手手のシワとシワをあわせて


ついこのあいだの連休、祖母の三回忌で故郷に帰った。

遅めの梅雨が来て、かつて自分の部屋だった窓から眺めると霧で覆われていた。


物心ついた時からおばあちゃんっ子なので、三回忌を楽しみにしていた。法事を楽しみにしている、なんて妙な表現だけど、故人に想いを馳せる大切な時間だとおもう。
よく、帰省前に祖母の夢を見る。生前と変わらず、見守ってくれているんだろう。



法事の最後に聞く、ご院家さんのお話がとても好きだ。毎回ためになる。

「なんでも望みを叶えてくれるお地蔵さん」と「見守って話を聞いてくれるお地蔵さん」どちらに話しをしたいか。
一見、望みを叶えてくれるお地蔵さんは心強いだろう。
だけど、成功や失敗したり、何かあった時一緒に喜んだり、悲しんだり、泣いたりしてもらえるのはどっちだろう?

といった内容だった。


すかさず、祖母の顔が浮かんできた。学校でいやなことがあった日も、進学が決まって嬉しかった日も、就活で悩んだ日々も、くしゃくしゃの笑顔で見守ってくれていた。あの広い心は、愛情そのものだった。

祖母がいろんなものを遺してくれたように、わたしも遺せる人間で在りたい。


次は七回忌、4年後。「あと4年後かぁと遠く感じるでしょうがね、そんなのあっという間にきますよ」と話していた。そんな気がする。夏、故人を想う季節がやってくる。お盆、また手を合わせに会いにいこうと思う。

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