成長のためには、知識を増やし、経験を積み、さまざまな人と交流することが大切だと多くの人は考えます。しかし、実際には、成長の本質は「削ぎ落とすこと」にあるのではないでしょうか。

　これはまるで、彫刻家が石や木から作品を彫り出すようなものです。彫刻家は、素材の中から美しい形を削り出すために、余計な部分を取り除いていきます。同じように、私たちは自分自身を形作るために、必要のない知識や習慣を削っていくことが重要です。

　では、なぜ知識を学び、経験を積むのでしょうか。それは、彫刻家が作品を完成させるために必要な道具や技術を得るためです。新しい知識や経験は、より正確に、そして美しく自分自身を削り出すための指針となります。

　知識を積み重ねること自体が目的ではありません。むしろ、学んだことや経験したことを通じて、自分にとって不要な部分を取り除くために使います。そうすることで、自分という作品がより完成度を高めていくのです。

　成長という言葉には、「知識を増やす」「経験を積む」といったイメージがつきものです。しかし、実際には、知識を増やしすぎたり、ノウハウを集めるだけでは、自己成長にはつながりません。本当に必要なことを見極め、余計なものを捨てることで、自分自身のアップデートが可能になります。

　削ぎ落とすことの連続によって、本当に求めている自分自身が浮かび上がってくるのです。そして、削るという行為を通じて、最高の自分を作り上げることが成長の本質だと言えます。

　削る作業は、自分ひとりで行うこともできますが、コーチやメンターとともに行うことで、より効果的に行えます。自分だけで考えていると、知識を集めることに偏りがちですが、コーチの助言を受けることで、自分の輪郭が鮮明になり、削るべき部分が見えてきます。

　また、素材そのものを活かしながら削ることも重要です。無理に形を変えようとすると、かえって本来の自分とは異なる姿になってしまいます。自分に合った形で削り出すことが、良い作品を生み出すための鍵となります。

　成長は、ただ知識や経験を増やすことではありません。削ること、捨てることによって、自分自身の本質に近づくプロセスです。完璧な自分を作り上げるために、必要なものを集め、余計なものを削り落とす。そして、その連続が自己成長の本質なのです。