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今年の初めに、「何か書く」を目標にしたので、noteで書き始めることにしました。戦略や…

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今年の初めに、「何か書く」を目標にしたので、noteで書き始めることにしました。戦略や軍事のことを中心に、いつの日か多くの人に「なるほど」と思われるものを書きたいと思ってます。率直なコメントを頂けると嬉しいです。

最近の記事

戦略態勢から「モシトラ」を考える――米国にとっての防衛ラインは?

1 はじめに  日本やアジア諸国にとって「もしトラ」の最大の関心は、米国のアジアや台湾問題への安全保障関与が変化するか否かと思う。実際、トランプの発言から考えると、トランプ前政権時代から本格化した米国の対アジア安全保障関与は、第2期トランプ政権下では低下するとの見方をする識者が目立つ。実際に、米国にとって最も重要な同盟機構であるNATOに疑問を呈していることが、トランプによる米国の対アジア関与低下を懸念させている。  トランプに安全保障上の理論や合理性は通じないのかもしれ

    • 米国の軍拡への再転換点に学ぶ―――NSC-68、国民の反応、その後

      1 はじめに  「我が国は戦後最も厳しく複雑な安全保障環境のただ中にある。」、「このような安全保障環境に対応すべく、防衛力を抜本的に強化していく。」と、2022年末に策定された「国家安全保障戦略」にある。一方で、防衛力を強化していく上で、部隊・基地・駐屯地等整備に対する住民の理解、防衛増税や国民保護に関する国民の理解は、いまだ途上の段階にあるように思う。この微妙な状況が今後大きく変わりそうな気配は、今のところない。  他方で、第2次大戦以降、世界の安全保障・経済のリーダー

      • ウクライナとロシア、パレスチナとイスラエル、そして沖縄と日本―――悲劇に至らせないために、今どんな手を打つべきか?

        1 はじめに 令和5年10月30日、辺野古代執行訴訟第1回口頭弁論(福岡高裁那覇支部)のニュースが流れた。沖縄県側の主張はどんな内容かと思い調べてみると、次のとおりである。「『公益を害する』という国の主張が正しいかどうかについて、最高裁判所では判断されていない。県民の明確な民意が『公益』として考慮されるべきで、県民の同意を得ない状況で代執行は認められるべきではない。」(令和5年10月18日付NHKホームページより)  「公益」に関する解釈は司法の問題だけではない次元の問題で

        • 中国は今後どうなるか―――コンダクト・オブ・ウォーの力量は如何程か?

          1 はじめに 「中国は今後どうなるか?」――わが国政府だけでなく、公私を問わず多くの組織・個人にも気になる予測テーマであると思う。以下で紹介する論評から考えるヒントを得た。「どうなるか?」との問いだけでは議論が発散するため、当該設問を、安全保障に関する問いと経済に関する問いに分け、また各問いの回答に応じパターン分け(予測パターンの整理)をした上で、考察していきたい。(以下敬称略) 2 ⓒとⒹは考察に値するパターンか? Q1とQ2それぞれの問いに対する答えをYes/Noに場合

        戦略態勢から「モシトラ」を考える――米国にとっての防衛ラインは?

        • 米国の軍拡への再転換点に学ぶ―――NSC-68、国民の反応、その後

        • ウクライナとロシア、パレスチナとイスラエル、そして沖縄と日本―――悲劇に至らせないために、今どんな手を打つべきか?

        • 中国は今後どうなるか―――コンダクト・オブ・ウォーの力量は如何程か?

          より好ましい戦略環境を整える取組―――国際的な潮目を踏まえて

          1 はじめに   前回、日米韓首脳会談の意味合いに関する私見を紹介した。多くの人が、この動きを、わが国の戦略環境をより良くする重要なものと、好意的に受け止めていると思う。他方、昨今の情勢は、一つの潮目に差し掛かっているようにも見え、その潮目を、わが国は、主体的に戦略環境を整え得る好機として利用できるようにも見える。以下、その主体的な環境形成の一案を示したいと思う。 2 昨今の情勢(主要アクターの現状)   主要アクターの現状を、かなり単純化してまとめてみた。   まず

          より好ましい戦略環境を整える取組―――国際的な潮目を踏まえて

          日米韓首脳会談の意味合い―――新たな封じ込め態勢へ

          1 はじめに   「8月に日米韓首脳会談をキャンプデービッドで開催する」旨が7月下旬に報じられた。当該会談の開催は「歴史的」と強調される割に、歴史的な会談の開催発表は唐突だった、と感じた人は少なくなかったのではないだろうか。また、全首脳が合意した「キャンプデービッド原則」についても、多くの日本人、アメリカ人にとって特に目新しい内容でなかったと受け止めていると思う。しかしながら、アジアの冷戦構造の現状と将来を考える時、やはりこの会談は「歴史的」と評価し得ると思う。   何故「歴

          日米韓首脳会談の意味合い―――新たな封じ込め態勢へ

          封じ込め ⇒冷戦 ⇒戦術核・戦域核配備?―――フォーリン・アフェアーズのインタビュー動画を契機に(その3)

          1 はじめに   前稿で、「米国の戦略の基調は、実は第2次大戦以降変わっていないのではないか」という話から、封じ込め態勢を基調とする米国の大戦略のつくりを考察したが、その文脈で日本がとるべき戦略を考えた時、タイトルにあるような、冷戦時に起こった議論と施策に至るのではないかと思ったことから、元々考えていた「封じ込めのコスト」を保留し、このテーマを先に考察することにした。 2 超大国を封じ込める施策   米ソ冷戦期において、米国の封じ込めに対するソ連の挑戦は、スプートニクに象徴

          封じ込め ⇒冷戦 ⇒戦術核・戦域核配備?―――フォーリン・アフェアーズのインタビュー動画を契機に(その3)

          アメリカ流「WWⅢを起こさせない」大戦略・メカニズム―――フォーリン・アフェアーズのインタビュー動画を契機に(その2)

          1 はじめに   前回、ミリー米国統合参謀本部議長インタビューの主旨と私見を紹介したあと、「米国の戦略の基調は、実は第2次大戦以降変わっていないのではないか」という仮説がよぎり始めた。その仮説が正しいのかどうかを自分なりに考えていくと、大戦略(安全保障・軍事戦略の骨格)の重層的なつくりが見えてきたので、その妥当性を問う意味で、この度紹介することにした。 2 米国の大戦略   まず、考えた結果(結論)から述べる。ミリー大将の発言や、米国の構想、施策等を、①態勢上、②能力面、③

          アメリカ流「WWⅢを起こさせない」大戦略・メカニズム―――フォーリン・アフェアーズのインタビュー動画を契機に(その2)

          「WWⅢを起こさせない」という米統合参謀本部議長の仕事―――フォーリン・アフェアーズのインタビューより

          1 はじめに   「アメリカ合衆国の制服組トップである統合参謀本部議長(Chairman of Joint Chiefs of Staff)が果たすべき役割のうち、最も大事なものは何か。」―――その一端が垣間見えたインタビューがYouTubeに投稿されたことから、その主旨に私見を交えて紹介する。 2 米統合参謀本部議長の仕事   本インタビューでも述べられているように、米統合参謀本部議長は、「大統領のアドバイザー」である。そのアドバイサーの仕事を少し掘り下げて言うと、「安全

          「WWⅢを起こさせない」という米統合参謀本部議長の仕事―――フォーリン・アフェアーズのインタビューより