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「イエモルトハウス」と「巨人」

彼はとつぜん巨人化して、ぼくにこう言うのです。

「ねえ、飲んじゃいなよ。」


夕方のキッチン。日曜日の定食屋さん。買い物帰りの喫茶店。搭乗時間を待つロビー。家族が寝たあとの静かなリビング。友人を待つ駅前。

ふうと一息ついた、ぼくのあたまのなか。彼はどこからともなく現れて巨人化します。気づいた時にはもう遅いのです。彼の背にはボルヴィックのラベルみたいな雄大な山々がひろがっている。

彼はおもむろに山に腰かけ、まるでソファの上でくつろいでいるような様子で、ごくっごくっとのどをならしてビールを飲むのです。手にしているのは、みどり色の缶。そして、これ以上ない爽やかな笑顔を浮かべて言います。

「ねえ、飲んじゃいなよ。」

ねえ。こんなの、飲むしかないじゃないか。
ということで、ふらりと行ってまいりました。

「イエモルトハウス」

オーナーの金島誠一郎さんのnote記事を読んでから、ずっと機をうかがっていたのです。

きっかけはこちらの記事。
タイトルにも「店燃えたハウス」とありますが、なんとこちらのお店いちど燃えているんですよ。まさに絶望的状況。

金島さんは「燃えたお店」を「飲めるお店」へ甦らせるための工程を事細かに文章にされています。のうのうとコンビニで缶ビールを買って飲んでいたぼくには知ることができないことばかりが記されていました。

記事で語られた椅子に座り、手間をかけてリペアされたとびらや塗り直された壁を眺めながらのビール。インターネットの上のできごとが、現実と結びついた瞬間です。

なんだかこれ、すてきな気分でした。

(このあと、フィッシュ&チップスのボリューム感にもびっくりました。)


あ、冒頭の巨人のはなし。お気づきかとは思いますが2016年ごろのKIRIN淡麗グリーンラベルのCMです。鈴木亮平さんが出演されていました。名作。ぼくにはとても印象深くて忘れられないのです。

今日もお読みいただきまして
ありがとうございます。

それでは、また明日。


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