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本、映画、ロックダウン(1)

ロックダウンスタート
イギリス全土で二度目のロックダウンが始まった。とはいえ規制は一度目のロックダウンと比べると格段に緩く(まあ自分は日本に帰ったので一度目は経験していないが)、今回は学校は閉鎖にならず、レストランも持ち帰りに限ってのみだが営業を許可されている。大学の図書館も開いているし大学へのバスも動いているので、俺の生活にそこまで大きな変化はない。コーンウォールは他の地域と比べて格段に感染者数が少なく(これ自分で書いてて思ったけど、もうCOVID-19とかコロナとかわざわざ特定しなくても『感染者』だけで意味が通じる世界になったんだな)、街の人通りは減ったものの、そこまでピリピリとした空気は感じられない。Instagramを開くと、いつも通っているコーヒー屋が営業を続けるという旨をポストしていてホッとした(コーヒーのホットと掛けたクソつまんないジョークではありません)。

アメリカ大統領選
いつも通り講義を受け、料理をして、本を読み、映画を見て、写真を撮る。そう決めていたので特に何かを変えたわけではないけど、やっぱりアメリカ大統領選の行方が気になって、今日は読む本も見る映画も、直接的ではないけれどそれに関連するモノを選んだ。

ルポ 百田尚樹現象 ~愛国ポピュリズムの現在地~

読んだ本はフリーランスのノンフィクションライター石戸諭さんが書いた、『ルポ 百田尚樹現象 ~愛国ポピュリズムの現在地~』。買ったのは少し前で、一度流し読みはしたのだけれど、これを機にしっかり読もうと思って通読した。読む前と後で百田尚樹に対する印象が大きく変わったかと言われるとそうでもないし、彼の主義信条は自分のものとは異なる部分も多いけれど、彼が自分の読者、つまり『普通の人たち』に対してとても真摯で、彼らを信頼していることは痛いほど分かった。それはこの本に出てくる小林よしのりにも、そしてトランプにも言えることだと思った。反権威を掲げていることも。

Fahrenheit 11/9

大学図書館で本を読み課題を進め、帰宅して夕食を摂ったあと、2018年公開、Michael Moore監督のドキュメンタリー映画『Fahrenheit 11/9』を見た。彼の映画を見るのは2009年の『Capitalism: A Love Story』以来だったのだけれど、とても面白かった。扱っている内容は「面白かった」と形容するのは適切ではないほどダークなのだけれど、それを見る人間が飽きずに見切れるように「面白く」編集できるのが彼の強みだと思った。そういえば数年前に読んだ自伝もとても面白かった。

内容はトランプと彼の恐ろしさについてであることは否定のしようがないのだけれど、トランプ自身よりも彼を大統領にしてしまった社会の病巣を探るような映画で、彼は映画の中でオバマにも、民主党にも、そして自分にも厳しい目を向ける。それはとても真摯で、自分や自分が一度出した答えすらも疑い続けるという、真の意味でのリベラリズムを体現しているように見えた。

BBQ,BEER,FREEDOM

こんなことを書きながら、自分も今日、BBQ,BEER,FREEDOMというタンクトップを着たトランプ支持者を見て、Twitterで馬鹿にしてたよな、でもあの人も自分と同じ普通の人なんだよなと思って反省した。すみませんでした。俺も分断の加速に一役買ってるじゃん。

静寂の中に身を置く

私たちはつながりすぎていて、そうであるがゆえに無自覚なまま発せられる人の言葉に流されすぎている。ノイズのような言葉に振り回されすぎている。歩きながら思う。今、必要なのは……。それは静かに思考を深めていくために、自分の言葉を探すために、情報の渦から遠く離れて、静寂の中に身を置く時間である、と。

石戸さんは本をこう結んでいる。大統領選で荒れるTwitterのタイムラインを見ても、次々と更新されては消えるInstagramのストーリーを見ても、確かにこれは早すぎるなと思う。まあだから、とりあえず、ロックダウン中は発信をこのnoteに絞って、少しSNSから離れようと思います(更新したら各種SNSには更新しましたって投稿はするけどね)。

おしまい(写真は朝ソファーでリラックスしているハウスメイトのTris)

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