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労使トラブルの最適な解消と再現性


労使トラブルを最適に解消する上で最も重要な能力は、労働諸法令をそれなりに知っていることは当然として、労働者側の主張に対し使用者側が選択するリアクションによって労働者側からどんな反応が得られるかを高い精度で予測することです。

近年、労働問題を法律解釈や合理性を前面に押し出すことで解消しようとして上手く解決出来なかったり、結果として使用者側がダメージを受けるケースが増加しているように思います。

つまり顧問先の労務トラブルを解消に導かなければならない立場としては、トラブル社員と直接対峙することとなる人事担当者様(ご相談者様)のタイプを日常的なコミュニケーションから認識し、トラブル社員のパーソナリティ(属性、経歴、性格的特徴等)をヒアリングやメール等の文書構成から見抜き、現在地から着地までの最適なプロセスを頭でイメージしてなぞりながら展開次第で対応を変えていく能力(譲っても良い部分と譲れない部分のラインを調整する作業等)が求められるということになります。

ここで頼りになるのがこれまでの良質且つ多様な経験の蓄積と、結果評価に基づく選択肢の数・質と展開予測のセンスでしょう。

この技能は暗黙知に頼る属人的な要素なので、当然に継承がとても困難です。(但し、付加価値が高い)

マーケティングやデザイン等の領域でもこの暗黙知の領域にある技能を組織の中で効率的に継承し外部に訴求できるまで均質化しレベルアップしていきたいという意識は強いようで、大学教授等と連携して定着を試みている会社もあるようです。これを組織における「再現性」と言います。

組織における再現性を高める手段の一例として、職場の同僚の創造力を惹起するような抽象的な社内用語をあえて使ってみるというソリューションがあるようで、例えば、「このケースはトップアプローチからのハードランディングで良いよね?」「そうだね、それでいこう」と、上級者のマーケター同士が訳のわからない会話していると、「あれはどういう意味だろう・・・」と経験不足のマーケターは興味深々でいてもたってもいられなくなり、言葉の意味を理屈に頼らず感覚的に理解しようとするようになる。

結果、暗黙知が鍛えられるとのこと。

形式知をリソースとする組織よりも暗黙知をリソースとする組織は強靭であり代替は困難。

つまりAIに負けない組織が実現するのではないでしょうか。

そのような事務所でありたいと願います。



〔三浦 裕樹〕

Ⓒ Yodogawa Labor Management Society


社会保険労務士法人 淀川労務協会



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