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派遣元の使用者責任(不法行為責任)と派遣先の過失相殺

労働者派遣契約(派遣元と派遣先)での損害賠償の取り決めで、派遣労働者が派遣先に損害を与えた場合、当たり前のように派遣元のみに使用者責任を負う事を求められる事があります。

労働者派遣では派遣労働者は派遣先の指揮命令下で業務に従事していて、派遣先が万全の管理体制を整えていたならば、器物の損壊や、現金違算、犯罪行為は回避・軽減できた(もしくはもっと早く発見できた)かもしれなかった訳ですから、派遣先にも過失割合は生じますし、例えばフォークリフトの接触事故等、直接雇用の労働者でも起こり得る(現に過去にも起こっていた)軽過失による損害であって、派遣先の作業環境にも起因する事故の場合は、過失相殺で派遣元にほとんど責任を問えないケースも多くあります。

仮に運転能力が低い派遣従業員を派遣したとして派遣元の債務不履行責任を派遣先が主張しても認められる事はほとんどありません。

派遣労働者が接触でリフトから投げ出されて怪我をしなくて良かったと捉えるべきではないでしょうか。(この場合、被災者から安全配慮義務違反を専ら問われるのは派遣先です)

業務請負であれば請負事業者に発注者が損害賠償責任を求めて当然ですが、労働者派遣での損害賠償責任を専ら派遣元に負担させるような契約を派遣先が要求し、派遣元がこれに応じる必要があるのであれば、そのリスク負担を考慮した派遣料金が設定されるべきでしょう。

  〔三浦 裕樹〕

Ⓒ Yodogawa Labor Management Society


社会保険労務士法人 淀川労務協会



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