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ドイツで絶賛!日本の「ケイ・カー」

2023年12月6日。
来年の欧州議会選挙をにらみ欧州自動車工業会(ACEA)が声明を発表した。EUが内燃機関車を35年から禁止する方針を打ち出しておきながら、排ガス規制を大幅に強化し、BEV開発の足を引っ張るなどこれまでの問題含みの政策の包括的な見直しを求めている。

特に重視しているのは、BEV化が進んでも消費者・企業が手ごろな価格で車を入手できるようにするための枠組み条件策定だ。庶民の足とも言える小型車は国によっては新車の45%を占める。内燃機関車に比べて割高なBEVの価格が下がらなければ新車需要の大幅減少は避けられない。メーカーの努力はもちろん必要だが、政策面での後押しも欠かせない。

この要求自体はごく当たり前のことなのだが、声明の最後の部分にさしかかったところで目を疑った。何と、日本の軽自動車(kei car)を絶賛しているのである。

周知のように、日本独自の規格である軽自動車はこれまで非関税障壁とし国際的な批判を受けてきた。軽自動車を税、高速料金、車庫証明の面で優遇する政策が外国メーカーの参入を不当に妨げているというあの主張である。車にも車部品にも1978年から関税をかけていない日本からすれば言いがかりでしかないのだが、自社のモデルが売れない欧米のメーカーにはそう映ったようだ。

EUは日本との経済連携協定締結に向けた交渉で軽自動車優遇の見直しを求めていた。背後には当然ながら欧州自動車業界、つまりはACEAの要求があった。その彼らが手のひらを返して突然、軽自動車優遇策を手本として持ち上げたのだから驚かざるを得ない。

小型車は利幅が小さい。電池コストがかさむBEVであれば、お手頃価格の実現は容易でない。この事情が軽自動車優遇の評価を「不当な非関税障壁」から「完璧な模範」(ルカ・デメオ会長=ルノーCEO)へと180度変化させることになった。悪いことではないが何だか複雑な気持ちである。

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