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【サイケデリック学・意識哲学探究記】12133-12140:2024年2月16日(金)

⭐️成人発達理論とインテグラル理論を基礎にして、様々な学問領域からサイケデリクスを扱っている「インテグラル·サイケデリックラジオ」の配信をしています。
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タイトル一覧

12133. 今朝方の夢

12134. 昨日のハーバード神学大学院の最終選考面接を振り返って

12135. 環境そのものと環境変化の重要さ

12136. 企業との協働の大切さ:日本のサイケデリック産業の創出と育成に向かって

12137. ハーバード神学大学院の最終選考面接でのこちらかの質問事項:欧米の博士課程の事情

12138. ハーバード大学が打ち上げたサイケデリクスに関する学際的なプロジェクトについて

12139. 日本のサイケデリクス産業の創出と育成に向けて

12140. 発達心理学の教えと瑜伽行唯識学派の思想との繋がり

12133. 今朝方の夢

時刻は午後2時45分を迎えた。今朝方はいつもより早く起床し、午後2時半前に起床した。ちょうど夢から覚めた瞬間に、起床するにはちょうどいい時間だと思ったので、すぐさま身体を起こした。今の気温は12度と非常に暖かく、また昨日はジムで筋力トレーニングをしていたこともあって、細胞が活性化され、血流も代謝も上がっていたことから、寝汗をかいているようだった。なのでシャワーを浴びて着替えてさっぱりすることにした。ここから午前9時にかけて9度まで一旦気温が下がり、そこからまた気温が上昇して12度ほどに達する。ここ最近はフローニンゲンの2月にしては本当に暖かい日々が続いていた。もちろん外出の際にはマフラーや手袋を着用するのだが、それでも肌を刺すような氷点下の日はもうなく、非常に過ごしやすい。ここからの1週間の天気を見る限り、最高気温は10度前後、最低気温は5度前後なので、ここからもまた過ごしやすい日々が続くようだ。こうして着実に春にゆっくりと向かっているのを実感する。

今朝方は起床直前に仏教関係の夢を見ていた。昨日のハーバード神学大学院の最終選考面接でも少し仏教の話をしていたし、面接が終わった後にも仏教に関する動画を視聴していたことと関係しているかもしれない。どのような夢だったかというと、夢の中の私はある仏教の学派が大切にしている印鑑を大切に保管していた。それを見せて欲しいと言う人がいたのでそれをその男性に見せたところ、その男性がその印鑑を雑に扱おうとしたので私は怒った。その怒りは自分の自我から出た利己的な怒りと言うよりも、正義を司る自己から出た憤怒ような感情であった。私は右腕をスッと水平方向に広げるジェスチャーを取った。それは相手の邪気に満ちた体や身体エネルギーを切り裂くことをまるで意味しているようだった。そのジェスチャーをすると、その男性は身動きが取れなくなり、その場に硬直した。硬直した男性の手から印鑑をそっと返してもらったところで夢から覚めた。目覚めてすぐに寝汗をかいていることに気づいたというのが今朝方の目覚めであった。その他に何か夢を見ていたような気もするが、今はもうあまり覚えていない。ただ、どこか懐かしさを感じさせてくれる地元かどこかで、眩しい太陽の光を浴びながら自転車に乗っていたような場面があったような気がする。そこは地元のようでもあり、同時に南国のリゾート地のようでもあった。とにかく太陽の光が心地良く、夢見心地で気分良く颯爽と自転車を漕いでいたのを覚えている。頬絵に当たる風も大変心地良く、いつまでも自転車を漕いでいられるような気がしたし、そうしたいと身体が述べているかのようでもあった。フローニンゲン:2024/2/16(金)02:58

12134. 昨日のハーバード神学大学院の最終選考面接を振り返って      

時刻は午前3時を迎えた。今朝は確かにいつもより少し早く起床したが、今朝の目覚めが良かったのはきっと昨日のジムでの充実したトレーニングがあっただろうし、就寝前のゆったりとした入浴も影響していただろう。そして何より、無事にハーバード神学大学院(HDS)の最終選考面接を終えたことも影響しているかと思う。結果がどうであれ、とにかく無事に自分の持っているもの全てを出し切り、後悔のない形で準備と面接を終えることができたことが安堵の気持ちを醸成し、それが今朝方のすっきりとした目覚めに繋がっていたのではないかと思う。面接の場だけではなく、人との言葉でのやり取りにおいては、もっと気の利いた発言ができたらと思うことはたくさんあるかと思うし、もっとああ伝えておけば良かったというのは昨日の面接に対しても当然ながら挙げればキリがないほどに出てくるかもしれない。しかしそれでも昨日の面接における瞬間瞬間の自分は、その場で伝えられることは誠意を持って伝えることができたと言えるだろう。そうした満足感があったことが速やかな入眠と熟睡を促したのではないかと思う。時々英語で会話をしているときには相手の質問を正確に理解しない形で話をしてしまうことがあるが、そうした自分の特性を知っていたこともあり、質問の内容が少しわかりづらい場合には、昨日は絶えず質問を明瞭なものに言い換えてもらうことをお願いしていた。こうした試みは今後も大切になってくるだろう。良好なコミュニケーションを実現するに際して、相手の質問の内容に加えて、その質問の背後にある意図を汲み取りながら回答をしていくことがより密度の高いコミュニケーションを実現してくれるはずだと思う。それで言えば、昨日は2、3回ほど質問を明瞭なものにしてもらったり、言い換えをしてもらったりして、完全に質問の内容と背後の意図を確認した形で自分なりの回答をしていった。そうした聞き返しもまた誠意のある行動なのではないかと思う。とにかく相手の質問をわかった気にならず、質問内容と意図を理解した上でのコミュニケーションは、英語を話すときだけではなく、日本語を話すときにも行いたいことである。このように、昨日の面接での何気ない自分の行動を振り返ってみると、また新たな気づきと学びがあり、それをここからの人生に役立てていくことができるであろうことに気づかされる。そう考えてみると、日常の本当にありとあらゆる出来事や経験が自らの学びになるのだと思わされる次第だ。昨日の面接における自分の何気ない行動もまた学びであり、面接の場は大いなる学びの機会であった。面接官のジョン・ルザーザさんが最後に優しく述べてくださったように、ここからは引き続き他の出願者への面接が続き、アドミッションが最終決定をする時間が続く形になる。正式な最終結果は3月の中旬にメールで知らされるとのことだ。どんな結果であろうとも、それもまた学びであり、いずれの結果であっても自分の人生は必ずや新たに切り開かれていく。今回のHDSヘの出願とそれに伴う面接はまた自分にとっての新たな体験となり、それが自己を変え、人生を変えていくのである。フローニンゲン:2024/2/16(金)03:15

12135. 環境そのものと環境変化の重要さ      

なんだか今日は本当に朝から暖かく感じる。暖房の設定温度を少し下げ、少し室温を下げようとしたぐらいである。この間購入した新しいシロシビン・マッシュルームの栽培キットからは頭は出ていないが、なんと5周目の栽培を終えて6周目の栽培を始めた以前の栽培キットからまた頭がいくつか出てきていたので驚いた。室温が高いことが幸いして、マッシュルームの発育が促されたようである。シロシビン・マッシュルームの品種にもよるが、販売されている栽培キットのマッシュルームは、20度から25度の室温を保つことが推奨されている。まさに今の室温はそのレンジのちょうど中間ぐらいに入っていて、その時には栽培が促進される。以前氷点下が続くときには、暖房をつけていても室温が19度まで下がってしまうことがあり、その時には確かにマッシュルームの発育がイマイチであった。こうしたちょっとした気温の変化がマッシュルームにデリケートな影響を与えているのである。マッシュルームのそのような様子を見ていると、気候が人間の心身にも同様に微細な影響を与えているであろうことが容易に存在する。人間もその他の生命と同様に身体を持つ存在であり、それは環境との相互作用によって多様に変化していくのだ。環境との共生。いやそもそも私たちは環境と一体のものと述べていいかもしれない。日本やアメリカで生活していた自分と今オランダで生活していた自分は、属する環境が異なり、一体化する環境が異なるゆえに、心身共に別の存在なのではないかと思えるほどだ。そうしたことを考えてみると、つくづく環境の重要性を感じざるを得ない。今、ハーバード神学大学院の最終面接を終えて、結果を待っている状態だが、晴れて合格して再びアメリカで生活をすることになったら、きっと今とは違った心身を持つ自分の存在が発現するだろう。それが楽しみで仕方ない。人は環境を変えることによって変わることができるのだ。もちろん環境の変化は自己の深層的な変化を促すきっかけに過ぎないかもしれないが、環境の変化が大きければ大きいほどに、自己はその適用に向けて自己を大きく変化させる。そのダイナミックな運動が自己変容においては不可欠なのである。小さな変化を積み重ねて変容に向かう道もある一方で、その積み重ねに最後の一押しをするような決定的な環境変化の重要性を改めて思う。もう自分はオランダの土地で8年間も地道な積み重ねをしてきたのである。今こそ環境を変えて、これまで撒いてきた種に花を咲かせる時ではないだろうか。自己の深層が環境変化を欲して疼いているのがわかる。自分もまた疼いている。新たな環境でまた新しい自己の側面を発見し、深層的に成長を遂げていきたいと思う。本当に自分は人としてまだまだ未熟なのである。その未熟さを直視しながら、少しずつ成熟への歩みを進めていきたい。いつまでも心身共に若々しく溢れるエネルギーを持ちながら、器としての成熟を実現するというのが自分の理想的な人生の歩みである。欧州での8年間の地道な学習と実践に花を咲かせる場所として、是非ともボストンでの新生活を始めたいと心から願う。フローニンゲン:2024/2/16(金)04:45

12136. 企業との協働の大切さ:
日本のサイケデリック産業の創出と育成に向かって 

時刻はゆっくりと午前5時を迎えようとしている。きっと今日もまた充実した1日になるであろう。そんな予感がある。今日もまたやりたいことがたくさんあるのだ。それは学術研究と協働プロジェクトに関して。自らよく学び、より良い社会の実現に向けて他者と共に働くこと。それ以上にやりがいのあることはない。自分にできることは本当に小さなものに過ぎないが、その小ささを卑下することも過大評価することもなく、とにかく自分にできる最大限の学びと実践を愚直に続けていくのである。その大切さを思う。それで言えば、来週の月曜日からいよいよサイケデリクスに関してある日本の大手企業との協働プロジェクトが始まる。最初のキックオフミーティングが月曜日に行われる予定で、それが今から楽しみで仕方ない。その企業さんであればきっと日本のサイケデリクス業界を大きく変えてくれるのではないかと思う。その取り組みに自分はコンサルタントして影から支えたい。今回その会社さんとのご縁をもたらしてくれたのは知人の方で、その知人の方とタッグを組んでその会社さんにコンサルティングサービスを提供する立て付けになっている。 その方と私は2人1組のチームであり、その会社さんとの協働が始まれば、その会社さんともチームを形成することになる。とかく一匹狼的な傾向が強い自分にとって、誰かと協働させてもらえることは自分の至らなさを含め、自分の特性について本当に多くのことを学ばせてもらえる。今回のプロジェクトにおいては、自分はサイケデリック学者としてのコンサルタントの役割を担っていく。場面によって意識哲学者としての洞察や助言を提供することもあるだろうし、過去の肩書きの知性発達学者としての洞察や助言を提供することもあるだろう。主たる役割はサイケデリック学者としてのコンサルティング業務であり、それに付随してこれまで自分が学んできたことと今学んでいることを総動員する形でこのプロジェクトに参画できたらと思う。過去を振り返ってみて思うのは、企業との協働は本当に自己を育ててくれる。自らの専門性をさらに磨き、それを実社会に応用していくことに関して、企業との協働以上に優れているものはないと言い切っていいのではないかと思えるぐらいに重要な経験を積ませてくれる。自分自身が知性発達学に関して専門知識を深めることができた背景には、単に3つの修士課程を欧米の大学院で取得しただけではなく、それ以上に重要だったのは、大学院で得た知識を実際の社会課題の解決に向けて適用することを目的にした企業との協働だったのである。もちろん分野によっては企業と協働する必要のない学問分野もあるだろうが、自分がこれまで専門としてきた分野はことごとく、実際に現実世界で起こっている種々の課題に紐付くものであり、企業との協働が兎にも角にも重要であった。今回のサイケデリクスに関してもまさにそうで、今回ご縁をいただいた企業さんほどに日本のサイケデリクス業界を変え、業界を引っ張っていく存在を他に知らない。そんな素晴らしい協働機会をいただけたことに感謝である。具体的にどのような協働を進めていくのかや協働の期間などはまだ未定で、月曜日のミーティングの中で大枠を決めていくことになるだろう。日本では企業文脈においてはまだまだサイケデリクスは業界と言えるものは確立されていないので、新たな産業を作っていくようなビジョンでその会社さんと協働できたらと思う。フローニンゲン:2024/2/16(金)05:06

12137. ハーバード神学大学院の最終選考面接でのこちらかの質問事項:
欧米の博士課程の事情   

さて時刻も午前5時を迎えたので、ここから本格的に朝の取り組みを始めていこう。今日は午後に、サイケデリクスに関する情報メディアの収録がある。それもまた自分にとってとても大切な知人が立ち上げたプロジェクトで、このプロジェクトに参画できることも有り難い気持ちで一杯である。サイケデリクスに関してある大企業と協働することと、このメディアと協働することは、サイケデリック 学者としての自分に与えてもらった最良の機会であるとうい認識の下、さらに精進を積みながら、自分の持っているものを絶えず出し惜しみなく提供していきたい。

改めて昨日のハーバード神学大学院(HDS)の最終選考面接の内容を振り返っていた。面接を担当してくださったジョン・ラザーザさんからの質問については既に振り返ったが、最後の3分、4分ぐらいでこちらから質問をした内容についてはまだ触れていなかったように思う。そもそも日本からHDSを受験する人は少なく、日本語でHDSの出願に関する情報は皆無であり、英語にもおいても非常に限定的である。面接で尋ねられた質問内容について公開しているような情報は、“The GradcCafe”のようなウェブサイトの中ですら存在せず、自分の面接体験を書き留めておくことは誰かにとって何かしらの役に立つかもしれないという思いでここに記録しておく。

昨日の面接の最後にこちらからジョンさんに尋ねたことは2つある。事前に3つの質問を要していたが、面接の残りの時間とそこまでのやり取りの流れを汲んで、3つから2つに絞って質問をさせてもらった。まず最初の質問は、仮にHDSの修士課程に進学することになると、それは自分にとっての4つ目の修士号になる。幸いにも様々な学問的彷徨をしたおかげで、ようやく博士論文のテーマの概要が見えてきて、博士課程の進学を真剣に検討している。なのでHDSでの修士課程を終えたら、可能であればそのままハーバードに残って博士課程に進学したいという希望がある。それを踏まえて、博士課程の進学に際して重要なことをジョンさんに尋ねてみた。ジョンさんはハーバードロースクールでもアドミッションを担当していたし、ハーバードの他のスクールのアドミッションについてもかなりの情報を持っていたので、非常に的確な助言をしてくれた。まずは前提として、ハーバードに限らず、アメリカの名門大学の博士課程は、大抵どのようなプログラムも合格率は3-4%ほどで熾烈な競争がある。よく知られているように、欧米の大学では博士課程に進学するというのは仕事を得るということに等しく、日本とは違って生活費を含めた給料が支払われるのである。そうした事情もあって、アメリカの名門大学の博士課程の入学競争はとても熾烈なものになっている。実際のところ、それはオランダを含めた欧州においても変わらない。私が卒業したフローニンゲン大学の心理学科においては、毎年1人か2人、多くて3人ぐらいしか博士課程に入学する学生がいないぐらいに厳格に適正と過去の学術的な経歴が精査されているようだった。以前普段通っているジムで偶然に、フローニンゲン大学の化学の分野の博士課程に進学している2人のフランス人の男性と話した時には、フローニンゲン大学はフランスの名門大学よりも博士課程の待遇が良くて驚いたというようなことを述べていたのを思い出す。いずれにせよ、とにかく博士課程の進学は、欧米のトップスクールであれば本当に競争が激しいのである。それを踏まえてジョンさんは、HDS時代に優秀な成績を収めるのはもちろんのこと、兎にも角にも重要なことは教授とのコネクションだと強調していた。正直なところ、出願者の大半は輝かしい学歴を持ち、優れた研究実績を持っている場合がほとんどなので、そうしたところでは差が付かず、決定的な要因にならないのだ。重要なことは博士論文を指導してくれる適切な教授がその大学やプログラムにいるかどうかであり、その教授と話し合って指導をしてもらえるような関係性が構築されているかが最も重要とのことであった。また、自分の研究テーマがその分野のさらなる発展に貢献することも重要だが、兎にも角にも指導教官探しとその教授と深い関係を作っておくことをジョンさんに勧められた。コンピューターサイエンスなど、時代の流行に合致した華やかな博士プログラムでは募集人員を拡大する傾向にあるが、自分が関心を持っている宗教はその逆に、募集人員を減らす傾向にあり、ハーバードもその例外ではないようだ。

それを踏まえて、瑜伽行唯識学派の思想やインド哲学についての研究を博士課程で実現させることに向けて、晴れてHDSに入学することができたら、とにかく指導教官探しをまずは行い、望ましい教授と出会うことができたら、その教授との関係をできるだけ密にするようにしていきたいと思う。的確な助言をくださったジョンさんに感謝である。フローニンゲン:2024/2/16(金)05:38

12138. ハーバード大学が打ち上げたサイケデリクスに関する
学際的なプロジェクトについて

昨日のハーバード神学大学院(HDS)の最終選考面接でのこちらかの質問事項について、もう1つの問いについても振り返っておきたい。そう言えば、面接官のジョン・ラザーザさんから「ここからはヨウヘイからの質問を受け付けるよ」と言われた時に、最初に述べたのは、「飼っている猫は元気ですか?」というものだった。事前にジョンさんのことについてはアドミッションブログを通じて調べていたので、そこに書かれていた猫の記述を思い出し、そのような質問をしてみたのである。もちろんそれはユーモアの一環であり、ジョンさんは笑顔になって、「猫は元気だよ。尋ねてくれてありがとう」と述べていた。そこから尋ねた質問は、昨年の10月に公式発表されたサイケデリクスに関するハーバード大学が打ち上げた学際的な研究プロジェクトについてである。これはイーロン・マスクも寄付していることでも知られており、最も重要な貢献をしているのは「グラシアス財団」というグラシアス家という名家が設立した財団である。その財団がハーバードに日本円にして20億円ほど寄付をし、ハーバード大学の持つ求心力と研究力を活用してサイケデリック研究を学際的に推し進めていく支援をしたのである。ハーバード大学には学術系大学院(人文社会学と自然科学を専門にした大学院)だけではなく、ビジネススクールやロースクールなどの様々な専門職大学院(プロフェッショナルスクール)がある。今回のサイケデリクスに関する学際的なプロジェクトには、公表されている情報にと基づくと、ハーバード大学学術系大学院、ハーバード・ロースクール、そしてハーバード神学大学院が関与するようだ。特に、HDSに関してはその付属研究センターの世界宗教センターが主導的な役割を担うようである。こうした情報については公開情報から知っていたが、それ以上のことは分からず、昨年の秋に発表されたこのプロジェクトが今どれだけ進んでいるのかについても知りたかったので、ハーバードの内部にいるジョンさんに尋ねてみた。ジョンさんがサイケデリクスについてどれだけ関心があるのかは定かではなかったが、さすが内部にいる人であり、そのプロジェクトについては知っているようで、世界宗教センターのディレクターのチャールズ・スタング教授が一番事情を知っているとのことだったが、着実に具体的なプロジェクトとして動いているようだった。今のところはプロジェクトの初期なので、グラシアス財団から得られた寄付を、学部生や大学院生の研究活動費に充てているようだった。ハーバードのこの学際的なプロジェクトはサイケデリクス業界にとっては世界で最も注目するもののうちの1つだと思われる。ハーバード大学のジャーナリズム学科に所属しているマイケル・ポラン(『幻覚剤は役に立つのか』の著者)もこのプロジェクトに参画しており、ハーバード大学がこのプロジェクトを正式に発表した時には公演を行っていた。ポランはまさに緻密なジャーナリズム活動の成果に基づいて執筆した書籍を通じて、現代の欧米社会にサイケデリクスの意義と価値を広く知らしめた功績を持つ。彼の存在を含め、ここからの当該プロジェクトの進展には注目をしていきたいし、晴れてHDSに入学することになったら、自分もこのプロジェクトに参画し、研究活動費用の援助などを含めてお世話になるだろう。フローニンゲン:2024/2/16(金)06:04

12139. 日本のサイケデリクス産業の創出と育成に向けて        

時刻は正午を迎えた。昨日はジムで筋力トレーニングをし、そして今朝方は2時半前に起床していたこともあり、いつもより早めに昼食を摂り、先ほど仮眠から目覚めた。午前中の活動はすこぶる順調に進み、来週の月曜日に行われるサイケデリクス関係の協働プロジェクトのキックオフミーティングに向けた資料のドラフトを完成させた。改めてサイケデリクスの市場規模を調べたり、欧米のサイケデリックビジネスの事例を調べることによって、色々と発見があった。それに加えて、サイケデリックのアカデミックな研究についても再度調べてみると、いくつか発見があった。とりわけ今自分が住んでいるオランダでどのような大学がどのような研究をしているのかを再度確認したところ、見落としている大学の研究プロジェクトがあったことは確かであり、それらを知れたことは収穫であった。それに加えて、オランダのソフトドラッグ・ハードドラッグに関する規制の枠組みを調べ直してみたり、世界の先進諸国のサイケデリック規制について調べることもまた、ここから日本の規制の枠組みを考えていくに際して非常に有益な調査となった。自分はサイケデリック学者として、特にサイケデリクスの意識体験に焦点を当てており、瑜伽行唯識学派やインド哲学の観点からサイケデリック体験を紐解くという研究に従事しているため、脳神経科学の先端的な研究成果やサイケデリックビジネス、そしてサイケデリック規制についての情報は、こうした協働プロジェクトがないと細かな知識を得られないことが起こる。サイケデリクスの研究も実践も、他の分野と同じく無限に広いので、何を専門とし、何に関心を持つかによって知識や情報の偏りが生まれるのは仕方のないことだが、現状、日本ではサイケデリクスに関するオールラウンダーの専門家がいないと思われるので、できるだけ自分がその役割を担っていけるように、企業との協働プロジェクトや政府関係のプロジェクトを大切にしたいと思う。サイケデリクスに関する協働は、サイケデリクスについてあれこれと調査し、そこから色々なことを発見しながら考察を深めていく素晴らしい機会である。自分にとっても実務でサイケデリクスを扱うのは新たな試みであり、新たな試みからはやはり新鮮な学びをたくさん得られる。そこに大きな楽しみと喜びがある。

午前中には、まるでデロイト時代を思い出すかのように、PPTを作成していた。来週の月曜日のミーティングで活用するための資料作りをしていたのだ。プロジェクトの初期においてはPPTを作ってクライアントに説明する機会が多いだろう。個人的にはPPTはあまり好きではない情報伝達ツールだが、PPTスライドを作りながらの調べ物や考察は、サイケデリクスに関する知識の復習や獲得に繋がり、大変有意義であることを感じた。今後しばらくはPPTを作りながら協働プロジェクトを進めていくことになるだろうから、サイケデリクスについて過去習得した知識の復習と新たな知識の獲得をそれを通じて実現させていこうと思う。企業との協働プロジェクトは本当に学びの宝庫であり、ここから実際にプロダクトやサービスの研究開発、さらには規制の変革などを通じて日本のサイケデリクス産業の創出と育成に貢献していきたいと思う。フローニンゲン:2024/2/16(金)12:15

12140. 発達心理学の教えと瑜伽行唯識学派の思想との繋がり   

時刻は午後6時半を迎えた。今朝は早めに起床し、昼食も早かったことから、夕食も必然的に早く摂った。振り返ってみると、昨日にハーバード神学大学院(HDS)の最終選考面接があったことが遠い過去のように感じられるような1日を過ごしていた。面接がはるか昔に行われたかのように錯覚されるのは、今という時間を十全に生きていることの現れだろうか。未来にも過去にも囚われず、絶えず今を生きたい。そのような思いが自然と湧いてくる。常に今は今なのであり、今は絶えず現在なのだから。

今朝方起床した時に随分と大きくなっているなと思った旧栽培キットのシロシビン・マッシュルームが夕食後には相当に大きくなっていたので4本ほど収穫し、先ほどオーブンに入れて乾燥を始めた。おそらく明日もまた数本ほど収穫できそうであり、明日もまたオーブンでの乾燥を行う必要がありそうである。まさか6回も収穫できるとは思っておらず、それは嬉しい誤算だ。新しく購入した栽培キットの収穫が次回のセッションに間に合わなかったとしても、今日と明日の収穫によって1回分ぐらいの服用量になりそうなのでとても有り難く思う。マッシュルームの発育に感謝である。

発達心理学の教えと瑜伽行唯識学派の思想との繋がり。それは発達心理学者のピアジェが述べた、「人間の発達は自我の縮小過程である」という教えとつながる考え方が唯識思想の中にある点に見出せる。唯識思想を包摂する大乗仏教の教えでは、私たちは心の成長に伴って無我に向かっていく。あるいは、自己は無我ではなく、仮の空的な存在であるという点で非我(anatman)へ向かっていくと捉えた方が正確かもしれない。いずれにせよ、両者が述べていることには大きな類似点がある。私たちの成長とは、自我の囚われからの解放であり、自我へ執着することからどんどんと解放されていくプロセスなのだ。今日からまた唯識思想に関する書籍を読んでいると、色々と興味深いことを知る。どうやら唯識思想をベースにしている日本の法相宗は玄奘の教えをもとにしているらしく、自我への執着を司る末那識は無くなることはないが、智慧を獲得して末那識が転じ、我に全く執着しない心になると説くらしい。これはとても興味深い。法相宗では末那識が滅却するのではなく、ある意味それは変容して自我に囚われない在り方を形成していくというのは発達理論の含んで超えていく発達原理を思わせる。唯識思想には玄奘の教えではなく竜樹の空をベースにするものもあるらしく、そこでは末那識は滅すると説かれるそうだ。どちらの唯識思想も興味深く、今のところは玄奘の思想に基づく唯識思想を自然と学んでいるように思えるので、どこかのタイミングで世親と並ぶ大乗仏教の偉人である竜樹の思想をベースにした唯識思想も学んでみたいと思う。

それともう1つ、「達者」という言葉は仏教用語で、「悟りに達した者」を意味することを知って興味深く思った。現代でも使われる「達者でな」という言葉は、「悟りを開きなさいよ」「道を極めなさいよ」という意味が本来あったのだろう。普段見聞きする日本語にはたくさん仏教用語があり、仏教を学び始めると、また日本語が新鮮な色と意味を帯びて見えてくる。仏教探究は自分にとって、日本語話者としての自己の深層を見つめ直すことを常にもたらしてくれる本当に素晴らしい実践である。フローニンゲン:2024/2/16(金)18:46

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