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大学生に告白したら、ダンスチームができた話

消せない写真とグループライン
理由は単純で、好きだから


ずーっと考えていた。
彼女たちのことばかり考えていた。

 4年前の冬、二人の女の子に告白をした。

   「踊りを教えさせてください」

うまくつたえようとすると緊張するから
もうとにかく、できるだけ素直につたえた。

告白は、無事成功した。と思う。

一人は、踊りを辞めようと思っていた女の子
もう一人は、マイペースな普通の女の子。


なんでこの二人だったのか理由はわからない。たぶんなにか伝えたかったんだと思うんだけど。もう思い出せない。

ぼくたちは、毎週渋谷のダンススタジオで顔をあわせるようになった。

レッスンはたのしくて、うれしかった。顔がくしゃくしゃになるくらいわらった。

冬の渋谷は好きじゃないけど、このときだけは好きになった。



春になって、レッスンの人数もすこしづつ増えてきた。うれしい。
「ダンスのチームをつくろう!」
誰かが言った一言を先生は聞き逃さない。

つくった。

彼女たちは「Cadenza」っていう大学生のコンテンポラリーダンスのチーム。

学業とダンス、恋愛とバイトにいそがしい。
どこにでもいる普通の女の子たち。

時間があれば彼女たちのことを考えた。曲を聴いて頭の中で彼女たちを踊らせるのが好きだった。時間はすぐに過ぎてしまって、もっと踊っていたいと思った。いつまででも考えていられた。
いつも一つのことにハマるとそれしか見えなくなってしまう。
いつのまにか夏と秋が通り過ぎていた。
またやってしまった。

冬がきた。



そして春がきて、次の冬に舞台をやることになった。

8人の女の子たちのダンスの公演。

Love Me

あなたの好きがふえていきますように
わからなくなったら思い出せますように
できるだけ自分を好きでいられますように


いつも、ダンスをすることで、それ以外の時間がすこしだけ過ごしやすくなるといいなぁと思っている。自分を好きでいることはむずかしいから。ダンスだけ上手くなってもつまらないから。
いつも伝えたいことは、ダンスじゃない。


フライヤーとチケット製作、ポートレイトとPV撮影をebisuke、舞台写真は橘敏輝くんにお願いした。二人共たくさんごめん。ありがとう。

好きがふえていくようなものがいい!と相談したら、ebisukeが、好きといえば「LOVE」でしょう!!ということでLOVE作戦でいくことにした。



まず「Love」スタンプを作った。
このスタンプかわいい。

一枚づつ「LOVE」スタンプを押して、
「Me」は手書きで。

ひと手間かけたら、ひとつすきがふえた。

ひらくとこうなっている。
好きな人の名前がたくさん。
ラブレターみたい。

チケットもかわいい。
もぎったあとに、左側のハートがお客さんのもとに残るのもいいな。
彼女たちは好きをふやす天才。

この笑顔である。
あなた達のこれだけで先生3日は頑張れるよ。
この笑顔のままで踊ってほしいな。


ロビーに展示するポートレイトと

公演のPVもつくった。撮影はもちろんこの方。音楽は何度も一緒にライブをしてきた竹本仁ちゃん。衣装は大好きな仕立て屋のスズキタカユキさん
もう、好きしかない。

たくさんの好きに囲まれて、好きがどんどん増えていった。
そんなことをしているうちに、冬がきた。
たのしい時間はあっという間。



2018.11/29.30
   Cadenza Dance Performance
       「Love Me」
そのすべての想いが踊りから溢れますように

小さなころ、なにもかんがえずにかみさまにお願いごとをしたみたいにおどりたい。
ダンスってお願いごとに似てる気がするから。
いろんなことをおもいだした。

笑ってる一瞬は永遠
さみしい一瞬は思い出
どっちも必要だとおもった。

おつかれさん。

無事公演も終わって、有難いことにいくつかの外部出演の依頼や国際フェスティバルにも呼んでもらった。

うれしくて、たのしくて、いつのまにか春が通り過ぎていった。

またやってしまった。



夏がきて、この頃から彼女たちと会うことは少なくなってきていた。大学生はいそがしい。

秋がきて、ぼくも彼女たちもきっと同じようなことを悩み考えていた。学業とダンスの両立は思った以上にむずかしい。


   冬、8人の女の子に告白をした。

      「やめましょう」

    できるだけ素直につたえた。


ぼくの説明不足てんこ盛りの意味のわからない話しを彼女たちはちゃんと聞いてくれた。それぞれにいろんな意見と状況があるのもわかっている。もし原因があるのだとしたらそれは自分だということもわかっているから、なおさらやるせなくて顔がくしゃくしゃになった。

笑った時間の方がさみしい時間よりも圧倒的に多いのに、なんでいつも心にひっかかるのはさみしい方なんだろう。


ぼくたちはダンスチームとしての活動も、ぼくたちのレッスンも、すべてを終わらせることにした。

あなたの好きがふえていきますように
わからなくなったら思い出せますように
できるだけ自分を好きでいられますように

踊りを辞めようとしていた彼女は踊りで生きていくと言っていた。
マイペースな彼女は傷ついていた。
彼女たちのいない冬の渋谷は好きじゃない。


ねぇかみさま、なんで人生はこんなになぞなぞなのでしょう。
終わってはじまる恋ってなんなんでしょう。
そうやってかみさまにお願いごとをするように踊るしかない僕はまだまだ愛されたい。

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