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生徒あるある① 「Good morning を言ってくれない生徒たち」

私は高校の英語教員として25年間勤め、今年の3月に定年退職をしました。4月からは、非常勤講師として引き続き教壇に立っています。現在勤めている高校は、高校入試の倍率も高い人気校です。生徒たちは行事にも授業にも積極的に臨んでおり、活気に満ちた学校で授業をしていてもとても楽しい。

私は2年生の2クラスを担当していますが、同じ学校とは思えないほど、授業での雰囲気が違います。
週に4時間の授業はお決まりの挨拶からはじめています。Good morning! How are you today? このありきたりの挨拶に、あるクラスは常に元気にGood morning. I’m good. I’m sleepy. など思い思いの答えが返ってきます。もう一つのクラスは、面白いくらい無反応です。誰も返事をしてくれません。「おはようって言われたら、おはようって返すでしょう。英語でも同じよ。無視は失礼だよ」と言ってもお構いなし。こんな状況が4月からあまり変わりませんが、私は特にめげるわけでもなく、生徒たちの表情を見ながらニタニタすることがほとんどです。なぜ、ニタニタするかって?多分、彼らはGood morningって返したいけど、気恥ずかしかったり、面倒くさいだけです。それが表情からわかるので可愛いなあという気持ちになります。

それにどちらのクラスでも、授業で使うワークシートの配付をすると、当たり前のように生徒は“Thank You.” ”ありがとうございます”って言ってくれます。眠そうにしている生徒も、おしゃべりばかりでうるさい生徒もです。Thank youや、ありがとうが言えるって、いいですね。言ってもらえるのも嬉しい。たかがプリント渡して、"Thank you"ですよ。素敵ですよね。これが毎回です。Good morningが言えなくても、"Thank you"って言ってもらえるので、私はいつもニコニコしながら授業をしています。

「教師がプリントを配ってあげるんだから、ありがとうっていうのは当然のマナーでしょう」という言葉が聞こえてきそうですが、言ってもらえないことが当たり前の学校で勤務した経験が長いので、私にとっては当たり前ではありません。「Thank you for saying thank you」と言いながらプリントを配付しています。生徒もちょっぴり照れくさそうですが、嬉しそうでもあります。

言葉はコニュニケーションの重要なツールです。あいさつは基本の“き”ですが、shyで英語が口から出づらい生徒も多くいます。「言葉にしないと相手には伝わらない」は、必ずしもそうでもないかもな、と無反応のクラスで授業をしながら思います。英語教師としては、shyな生徒が自然と英語を口にする環境を授業の中で作る工夫をもっとしなくてはとも思います。生徒の為に誤解のないように付け足しますが、彼らはGood morningは言いませんが、授業の中で英語を使ってくれています。ちゃんとできるんですね。ただshyなだけ。

いつか、このshyクラスがもう一つのクラス同様、“Good morning, I’m good. And you?” と言ってくれるように、少し仕掛けを考えてみようかと思います。

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