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生徒あるある④ 「この答えであってる?」  間違いのすすめ

私は高校の英語教員として25年間勤め、今年の3月に定年退職をしました。4月からは、オンラインで講座を開講する傍ら、非常勤講師として引き続き教壇に立っています。現在勤めている高校は、高校入試の倍率も高い人気校です。生徒たちは行事にも授業にも積極的に臨んでおり、活気に満ちた学校で授業をしていてもとても楽しい。

私の授業では、ワークシートの答えを黒板に書いてもらうことがあります。誰でも答えたい生徒が前に出て、自発的に答えを板書します。その際によく聞かれるのが、「この答えであってる?」です。

生徒は人前での間違いをとても嫌がります。それは、日本人特有のものではないにしても、日本人はその傾向が強い気がしています。常に正しい答えのみを教えてきた日本の学校教育の弊害でもあるかもしれません。

授業の中で常日頃言っているのが” Don't hesitate to make mistakes. Don't be afraid of making mistakes."です。(間違えることをためらわないで。間違えることを恐れないで)このフレーズをよく使うので、生徒たちはほぼ暗唱できるくらいです。
「間違った方が授業に貢献できるし、自分自身も間違ったことは印象にのこるので理解しやすいし覚えやすいよ。だから、間違った答えだと私にもみんなにも得だね、win-winだね」と間違えることをある意味推奨しています。まだ、間違いを恥ずかしがる生徒はいますが、最近ようやく、間違ってもいいやという気持ちで答えを書いてくれる生徒が増えてきました。音読でも、ゲームで人前で間違っても、最近は気にせずに積極的に取り組んでいる姿は微笑ましい限りです。(もっとも、どこがどう間違っているかのfeedbackを教師が怠ってはいけませんが)

教える立場の私が、高校生の時にこんな間違いをした、大学時代には同じ間違いを2回して教授に叱られたと自分の失敗談を話すと、生徒たちも少しホッとするそうです。「でもその間違いに気づいたから、その後、vegetableのスペルは間違わないし、父は禿げているから教授の禿頭も好きだという表現も間違わなくなったよ。」と言うと、ものすごく納得しニタニタします。他人に対して禿頭とストレートに表現するのは大変失礼だと思いますね。そのことが大きな間違いです。生徒はそこに気づいてニタニタしているわけです。

大人になると、高校生以上にプライドや羞恥心が英語学習の邪魔をします。オンラインの私の生徒さんたちも皆さん最初は、間違えることを無意識に避けています。
講座が回を重ね、私という人間にも慣れてくるとようやく気にせず、積極性が出てきます。間違えることはある意味正しいことだと思います。英語学習に限らず、私たちが新しいことに取り組む際に間違いを重ねながら、習得していくという過程を経るのがとても自然だからです。

まとめ: 何かを学びたいなら、"Don't hesitate to make mistakes. Don't be afraid of making mistakes." これに尽きます。


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