学校の人は好きにならないと決めていたのに。

2年の終わりごろ、簡単に破られてしまった。というか、あの時も気持ちはずっとあいまいだった。好きだったなんて言ってもいいのか。

誰かに取られたくないと思えば、もう好きなのか。それとも独占なのか。

まあ、今そんなことを考えてもわからない。もう当時の気持ちは私には感じ取れないのだから。

卒業式の手前、私は好きな人に振られたのだから。

卒業してから、その人とは二度と会わないと思っていた。

でも、その願いはあっけなくて、2年会わなかった相手と再会してしまった。街でとかではなく、元サークルメンバーと開催したご飯会でだ。

ご飯会の前からくることは知っていた。断ることができなかったのだ。

まず、ご飯会は私が立案者だ。友達Aとご飯行こうよとずっと話していたことをきっかけに、何人か誘ってご飯会にすることにしたのだ。

人選は私に任してもらえたため、好きな人たちを誘っていった。予定不確定、みんな社会人のため残業や休みの関係で合わないかと思ったが、日取りがよかったみたいで意外と集まれるようになった。

そんな中、ある友達が、元好きな人のことも呼んでいいか聞いていた。
元好きな人も同じサークルメンバーだったし、私が誘ったメンバーとも仲がいい。その友達も私と元好きな人との間に何があったのか知らない。だから、呼ばない理由は何もなかった。私が嫌だからという理由以外を除いて。

断れきれなかった私は、唯一の望みを懸けて、自分の名前をメンバーの中に入れ込み送ってもらうことにした。簡単に願いは砕けた。

ただ一つだけ嬉しかったのは、仕事の関係で遅れてくること。そのせいで開催時間が遅くなったのは、ひそかに文句を言い続けた私である。

実際に始まったご飯会は、とても楽しくて笑いが絶えなかった。
1年、2年会ってない人たちだが、あの時と何も変わらなかった。むしろ、こうやってご飯を囲むことがすごく懐かしくて、みんな、相変わらずの変人だなと確信した。

転職の話もたくさん聞いた。集まったメンバーのうち半数以上が、既に転職していた。パワハラだったり人間関係だったり、仕事内容だったり、勤務についてだったり。理由は様々だが、転職先では何とか頑張れている人もいるみたいだ。私を含め、まだ新卒採用で残っているメンバーは、お互い頑張ろうと励まし合った。

と、食事を楽しんでいると突然隣の机が騒がしくなった。

「誰？」

と冗談交じりに友達が言った。最初みんなが注目している方を見て、見たことない人がいると思った。友達の彼氏かと本気で思ってしまった。

でも、なんだか周り雰囲気は、みんな親しげそうに見えた。
あれ？と想い、再度考えてみた。元好きな人だった。

楽しい空間にいたから忘れてしまっていたようだ。

元好きな人も転職した人のようだ。髪色は変わっていなかったが。髪は伸ばして、パーマをかけているようだった。眼鏡だったあの時と違って今はコンタクトだ。分かってしまうと、気まずくなる。

机は違ったし、話しかける必要もなかった。なにも心配はない。

私はそのまま気にしないようにし、同じ机のメンバーと楽しむことにした。

帰り際、入り口で割り勘をし、ラウンドワンへ行く組と直帰する組に分かれた。そこでも、お互いに目も合わさないようにして、話をすることもなかった。それでいいんだ。でも少しだけ寂しかった。

振られたときは、普通に友達でいてほしいと願った。でも今の私は、元好きな人のことをこんなにも拒否っている。元好きな人も私と同行なりたいとは思っていないだろうからそれでいい。

でも、やっぱり少しだけ寂しい。あの時我慢していればもっといい関係でいられたのかもしれないなと考えてしまう。終わってしまったことを後悔しても仕方ないのは分かっている。

元好きな人の連絡先は消した。それが、私にとって最後のけじめ。

また、ご飯会をしようねとグループで話した。その時も私はその仲間に入れるだろうか。そして、また再会しても何もないように振舞って、みんなに悟られないように、これからもすごしていけるだろうか。