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衝動を抑える:不便益4:物質依存を考える

依存先が変化している
 便利な世の中。なんでもある今の時代では、依存症の形も変わりつつあります。昔から、依存症と言えばお酒やギャンブルでしたが、最近ではその依存先は、ゲームやショッピング、さらにはSNSへと拡大しています。
 ちなみに、ゲームやSNSは、継続してもらったり、課金してもらうために、依存のメカニズムを生かしてアプリを作成しています。そのため、どんなに強い意志を持っていても、一度はまってしまうとそのループから逃れるのは難しく、現代では誰でも依存しやすい状態になっているのです。
 そう考えると、本当に怖いのは非合法的な依存症よりも、合法的なものの依存症なのかもしれません。合法的なものは誰かが強制的にやめさせてくれるわけではないため、合法的なものこそ逃げ道はなくとても危険なのです。

SNSやゲームが新たな依存先に
 今の時代の中毒と言えば、やはりSNSやゲームかもしれません。実際、ゲーム依存が脳に大きな影響を与えていることは様々な研究から明らかになりつつあります。そして近年では、SNSのフォロー数や「いいね!」の数を増やしたり、誹謗中傷やクレームを書かずにはいられないなどの行動も増えており、これらは現代の社会が起こした新たな依存症かもしれません。特に、SNSなどはコミュニケーションツールとしての役割があることから、自己承認欲求や自己肯定感を高めるツールとしては意味が高く、人間の高度な精神的欲求を満たしてくれる。そう考えると、その背景には独身の人が増え、ソロ社会が到来し、自分の居場所がわからなくなったり、孤独で寂しいなどの思いと大きく関係しているのかもしれません。これはまさに社会が生んだ闇であるとともに、人が普通に求めたいと感じる自己肯定感が背景にあるため、誰かが止めてくれることも、罰せられることもなく、どんどんエスカレートしてしまう。最終的には自分の意志で辞めるしかないのです。
 

便利なものの恐怖
 「便利なもの」、「心地よいもの」、「楽しいこと」、「うれしいこと」、「よいこと」はやめにくく、依存性が高いとされています。そう考えると、今の社会は便利なものばかり。だからこそ、便利な生活を求めることこそが依存症の始まりでもあり、象徴であると言えます。そう考えると現代人の多くは、依存症だと言っても過言ではないのかもしれません。そして、依存症では、脳の前頭葉の一部である背外側前頭前野と内側前頭前野の結合が弱く、理性や思考の低下だけでなく、自律神経や免疫、鎮痛などにも影響を及ぼすことが明らかになり、身体に様々な不調が生まれ、最終的には脳が萎縮する。だからこそ、現代は病気が増えているのだと思いますし、単に薬を飲むという行為だけで解決することは難しい。その結果、体の不調を訴える人が多かったり、精神的に不安定になりやすい状態が起こり、クレームや誹謗中傷をしたり、怒る人が増えているのだと思います。
 そうなると、これらの原因である便利を少しずつなくしていく試みが必要であり、不便益を身体のために精神のために増やすしかないのだと思います。その意味で、不便益は現代病を治す最大の薬かもしれません。

季節に応じた不便益を
 一番簡単な不便益生活は季節を楽しむことだと思います。季節を楽しむとは響きは良いですが、暑いときは暑さを、寒いときは寒さを楽しむことであり、身体にとっては必要なことでも、実際は身体にはとてもきつい。だからこそ、日本の伝統習慣、二十四節気の生活を守り、楽しくことが、依存症の解決には向いているのかもしれません。その意味で、季節に1回は田舎に行き、季節の変化を楽しむ。そんな日本人の生活になればいいと思う今日この頃です。


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