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無農薬に挑戦する新政「鵜養酒米の郷」にて



2020年3月
鵜養酒米の郷へ。


太平山の麓の、秋田市河辺岩見三内というところの一番上流「鵜養(うやしない)地区」。
日本昔話に出てくるようなお百姓さんの山里。


ぐるりと山に囲まれた中に佇む小さな盆地で、それはそれは綺麗な川の一番上流だから、汚れの一切ない水が豊富に流れ込む。


あまりの美しさに言葉を失う、そんな景色。

ここには耕作放棄や減反で使われていない田んぼがたくさんあり、リタイアした元米作りのプロがたくさんいて、そんな中で新政酒造さんが無農薬のお米を作り始めている。

新政で杜氏をされていた古関さんが、
新政の顔となり
こんどは鵜養に移り住み 酒造りでなく
朝から晩までここで農作業をしながら 
無農薬栽培に切り替えてくれる農家さんを増やしていく。
そんな重大ミッションを担っているのだ。

聞こえは良いが、
無農薬栽培はそんなに甘いものじゃない。


稲はすぐに「イモチ病」にかかってしまうし、
虫に吸われた米は黒くなる。
農家さんは皆、無農薬栽培に後ろ向きだ。

いまオーガニックだBIOだって
さかんに言われてるけど、
新政が目指す鵜養は
そういうちょっとオシャレでカッコいいものとも違う。
「オーガニック米で酒造りしたら環境に良いし
今の時代に合いそう」とかそんな小さくて薄い目的ではないんだと、
古関さんと話すとわかる。

目指すのはまっさらでクリーンな土ではない。
色々な微生物や菌が土の中でバランスを保っている状態。
病気にかかっても負けない強さが稲に入る。
余計な肥料を与えずにシンプルに土の養分を吸収した そんなお米作り。


腸内環境や免疫系と似ている。


野菜は、窒素を過剰に与えるとホクホクで甘〜くなる。
その美味しさではなくて
苦くてエグいけど生命力に溢れ、山菜的な旨さのある米を作りたいんだと 古関さん。


自然って「手付かず」でなければいけないのだろうか?
山の恵みの透明で澄んだ水を田んぼに流すための堰。常にきれいを保つ為に手入れしている。
山の中には倒木があったりして川をせき止めてしまったりするから、重機で倒木を取り除いたりもする。
手付かずの自然とは別に、
人の手が入ったからこそ守られる
「小さなサイズの自然」も確かにそこには存在していた。



地域を動かし、先人の知恵を借り、
山の神様に手を合わせ。


日本を取り戻す、
それくらい大きなスケールで
それくらいの真剣さで 米に向き合う古関さん、
新政。

とても心打たれるひと時でした。

そして
そんな感動醒めやらぬまま秋田駅に戻り
永楽食堂さんで飲む新政の美味しさは
ひとしおなのでした🍶

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