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障害カミングアウトとお金事情②「再発リスク」

つづきです↓


なぜ保険屋の彼が他責を嫌がるのか。こんな話をしていた。

「アポイントを取ってるお客さんがドタキャンをしたとする。普通は客が悪いと思うけど、俺は自分に何か原因があったと考えている。自分がお客さんの時間を割いて会うに至らなかった人間だったと。
もしこれが大好きな恋人やったら、絶対時間に間に合うようにするやろ?死んでも遅刻なんてせえへんやろ?」

他責思考は自己成長を阻害するみたいな考えのようだ。ツッコミどころはあるが、一旦横に置いておく。


彼には双極性障害の顧客がいると前回書いたが、その人はどん底から這い上がって、現在年収600万円らしい。

そんな人を見てきたからか、またゴリゴリの体育会系だからか、病気があろうがやればできる、やらない人は理由を作って逃げているだけとでも思っているのだろう。


確かに、体調の不安を言い訳にして逃げているところはあるかもしれない。そこは否定はしない。
ただ、言われてめちゃくちゃ腹が立った。


失敗してもゲームみたいに何度もリトライできるなら、そりゃ僕だってやる。

中にはその双極の顧客のように、人生大逆転する人もいるだろう。ただ、5年10年と満足に日常生活を送れず苦しんでいる人も数多くいる。自分が2,3年で社会復帰できたのは幸運だったのではとも思う。

もう二度と無職の療養生活はしたくない。
大博打のような挑戦をして失敗したら、毎月の保険料なんて到底払えなくなるけど、そこはどうなんだろう? リアルガチで預金残高ゼロになるよ?なったよ??

そもそも生命保険は万が一の働けなくなるリスクに備えて入るものなのに、あんたが再発のリスクを高めてどうすんねん、って話だ。

その双極の方が成功するまで何年かかったのかは分からないが、レアケースもいいところだ。軽々しく一緒にしないでいただきたい。


あと、精神疾患持ちの人に、自責思考をすすめるのは非常に危険だ。一人で抱え込まずに相談しようというのに、真逆のことを吹き込んでどうする? いのちの電話のテロップをテレビでバンバン出す理由を一度冷静に考えてみてほしい。


僕が中学の同級生だったからそうやって説教めいたことを言ってくるのかもしれないが、保険屋の彼の奥底に根性論マインドが見え隠れしていることに、若干の危機感を覚えた。

持病があっても入れる保険を売ってるのだから、これからも精神疾患持ちの顧客はつくだろう。そのお客さんを無意識に傷つけたり追い詰めたりする危険性があると感じている。


うつや双極性障害のことを理解しろとは言わない(言ってたこともあったが。ただの友達関係くらいなら全然知らなくてもいいと思っている)。
ただ、疾患持ちの人を相手に商売するのなら勉強不足が過ぎる

根性では治らない病気だ。何人か見てきたからと言って、いかにも知ったふうなクソアドバイスをしてくるのが一番良くない。


保険商品の説明を聞いているかぎり、一度メンタルを病んだ人の社会復帰の難しさや、働けたとしても不安やリスクとの闘いがあることを理解しているようには到底思えなかった。


僕は彼から保険に入ることをやめた。

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