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読み返したいnote

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読めてよかったです。また読みます!
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#小説

ストーリーがあるから人は共感できる

昨日、「中居正広の金曜日のスマイルたちへ」の番組を一時間通して観ていた。 理由は、以前にも紹介した『M 愛すべき人がいて』の著書を書いたノンフィクション作家・小松成美さんが出演されるという情報を前日に知ったからだ。 こちらの本は、浜崎あゆみさんが歌手デビューをする前から絶頂期にあたるまでのストーリーが記されていることでベストセラーになった小説。 僕はこの本を読んだだけに、小松さんがいったい番組内で何を語るのかドキドキでした。 とはいえ、小松さん本人の口からとくに語られ

短編小説 『母の味噌汁のレシピ』

なぜこの味噌汁を飲むと、涙が止まらないのだろう。 母が死んだ。 連絡を受けた時にはすでに末期の大腸ガンとのことだった。 毎年健康診断は受けていたはずなのに、なぜ、という気持ちは拭えなかったが、誰かを責めている暇もなくその1ヶ月後、母は自宅で静かに息を引き取った。 涙は出なかった。 料理の上手な人で、それが僕の自慢だった。 友達が遊びに来ると、いつもとても褒められる。 そんなことないわ、褒められちゃっておばちゃん嬉しいわ、と顔を赤らめる母を見ながら胸を張るのが僕の仕事

わたしは多分地球に許されたい

フリーランスになってからの3年間、稼ぎの一部を寄付に回している。 なんとなく目についた難民支援と、大好きな保護猫の団体へ。家族や友人にその話をたまにする機会があると「すごいね」とか「良いことだね」と言ってくれる。けれどいつもそこで、首を傾げてしまう。 わたしは寄付することが当たり前だ、と目をキラキラさせて言える強い心は持っていない。だってお金を稼ぐ事の難しさも、日々、自分や半径1m以内の生活を守ることの大変さも、十二分に知っているから。誰もが毎日を精一杯を生きている中、

「旅をしない私に、価値はないんじゃないか」と思ってしまっていた

久しぶりに、本当に正直にnoteを書きたいと思う。突然だけど、「旅をしない私に、価値はないんじゃないか」と考える瞬間が、増えてしまった時期を過ごしていました。びっくりした。でもそう思えてしまって。 もともと何も持っていなくて、ライターになりたくて、出版社に潜り込んで、けど夢は叶わなくて。副業で1本500円のライターを始めたのが2014年2月。 月に100本書く時期が少しだけあって、報酬を半年で40倍以上にして、さぁ出版社を辞めて仕事をしながら旅に出よう、と考えた時。旅より

舞台を観るより、舞台に立つ側の人生の方がいい

大人になって、舞台を観に行く機会が増えた。 朝眠い目をこすって起きて、毎日同じ時間の電車に乗って、同じデスクに座って、誰がやっても同じ結果になるような仕事をして。また同じ沿線の電車に乗って、隣の部屋の人とそう変わらないような、けれど一生懸命心地よくさせた1Rの部屋に帰って、そしてまた眠って、起きる。 せっかく就職できた会社で働く、いまの暮らしに大きな不満があるわけじゃなかった。けれど「なんとなく」ぼやっとした感触だけ残して過ぎ去る毎日と、大きな分岐点なく過ぎてゆく20代半

「花屋日記」9. 美しいのは花じゃなかった。

 花屋のスタッフは皆、エプロンの上からシザーケースをつけている。美容師さんが腰に付けているようなアレだ。中に入れているのは、専用のハサミとナイフ、ボールペンにメモ帳、そして店のオーダーシートなどだ。(私は不器用なので、手を切った時のための絆創膏もマストだった。)  私は毎日、オーダーシートを片手に接客をする。尋ねることはだいたい決まっているし、それほど細かな指定をしてくる人も多くはない。だがお客様の予算や用途、花のイメージなどを何百回とお聞きしていくうちに、私はだんだんとそ

「こんな夜があるなんて」

日々淡々と島時間をすごしていたら、滞在もいつの間にかあと5日になってしまいました。 島には仲良しな島民さんも沢山できて、道ですれ違うと 「よお。今日夕飯食べにこいや」とか 「島バナナ持っていきなさい」とか、優しくしてくれる。 お別れは寂しいけれど、またただいまって出来るのが楽しみになったなあ。 最高に青い海をいつまでもいつまでも見ていたり、 「今度は彼氏とこい」と言っていつも出してくれるおじーのソーキそばを食べたり。あとは真面目に仕事もしたり。そんな3週間を過ごしてる。

力ではなく愛を。 地雷ではなく花を。

オールドレンズでとらえた、沖縄をゆるりお散歩中に出会った花が本日のアイキャッチ。玉ボケが美しい。やっぱり写真が好きです。 ここ数日、恥ずかしながらちょっとウダウダと悩んでいました。 ちなみに今はもう元気です。2日間くらいひたすらに低空飛行していたけど、今は上昇気流を捕まえたので、あとはのぼるだけ。 あの珈琲屋さんに行こうとか、この音楽聴いてみようとか、余裕も出てきました。しばらくは大丈夫。 「自分の働き方や生き方を人に話すのであれば、胸をはりなさい。でなければ誰もついて

ファインダーの #mediacruise 【佐賀・嬉野/有田】

すごくすごく静かな森の中で、カチャリと茶器が鳴る音だけしてた。周りにはたくさん好きな人がいて、目を合わせて笑い合って、ファインダーをたくさん覗いて、その中でまた目を合わせたりしていた。 #mediacruise というハッシュタグで、つぶやき続けた3日間。 灯台もと暮らしを含む5メディアで、一緒に旅をして、それぞれが見た「佐賀」を持ち帰ろう、発信しよう。そう言って、少しだけ時間を共にした。 今は帰りのバスの中で、すやりすやり、寝息をたてながら眠る人たちの気配を感じ、私は