可愛い転校生は俺の隣の席
今日は新年度最初の登校日。
俺は憂鬱な気分で校長の話を聞いていた。
「なぁ、転校生来るんだってさ。」
「え、マジ?!男?女?」
「女の子だって言ってた、先生が。」
「マジか!可愛かったらアツいな」
後ろに座っている男子の会話が聞こえてきた。
転校生...?
まぁ、転校生が男だろうが女だろうが俺には関係ない。
どうせそんな仲良くなれない。
部活に入っていない俺は、
春休み中ずっと部屋にこもってゲームをしていた。
そのせいで生活習慣も狂っていた。
いわゆる昼夜逆転。
今日もあまり寝ずに来た。明らかに寝不足。
早く家に帰って寝たい。
始業式はいつのまにか終わっていて、俺達は一斉に教室に戻った。
皆が席に着くと、先生が言った。
「今日から新年度です。皆さんはクラス替えがないので昨年と同じメンバーですが、頑張っていきましょう。」
そう、うちのクラスは特別な科で1つしかクラスがないので3年間メンバーは全く一緒だ。
「ですが、今年度1人このクラスに編入してきた子がいます。」
「丹生さん、入って。」
ガラガラとドアが開いた。
「では丹生さん、挨拶をお願いします。」
明里「はい!名前は丹生明里と言います!弱いけど剣道三段持ってます!チャームポイントは長い指と大きい手です!にぶちゃんって呼んでください!
よろしくお願いします!」
パチパチパチパチ🎶
教室中が大きな拍手に包まれた。
色白で、目がぱっちりしていて、スタイル抜群、ツインテールのその転校生は照明も相まってとても輝いて見えた。
「え、可愛すぎね」
「やばいな、めっちゃ可愛いじゃん」
近くの席の男子達が小声でそう呟く。
「皆さん、仲良くしてあげてください。それでは、席はあそこで。」
先生がそう言うと、
転校生は、
視線を浴びながら皆の横をゆっくりと歩いた。
そして、俺の横の席に腰掛けた。
そういえば、横の席空いてたな。。
彼女が座ってから気づいた。
彼女は座るなり、こちらを見て言った。
明里「よろしくねー!分かんないことあったら色々教えてね♡」
〇〇「お、おう」
まさか話しかけられると思ってなかったから、
鈍い反応になってしまった。
明里「にぶちゃんって呼んでね!」
〇〇「わかった、よろしくね」
明里「名前なんて言うの?」
〇〇「え、俺?」
明里「君しかいないじゃん!笑」
〇〇「〇〇〇〇っていいます。よろしく」
明里「〇〇君ね!これからよろしくねぇ!」
〇〇「うん、よろしく」
とびきり笑顔で話しかけられて動揺してしまった。
美少女な上にコミュ力もあるのか。
彼女は、成績も優秀だった。
授業は真面目に受けるし運動神経もいい。
ひと月も経てばすっかりクラスの中心だ。
明里「ねぇ〜〇〇くん〜」
〇〇「ん、なに?」
明里「〇〇くん、全然にぶちゃんって呼んでくれないじゃーん!」
〇〇「にぶちゃん呼びはさ、なんかハードル高いんだよ」
明里「ハードル高い?え、私結構〇〇くんと仲良しだと思ってるんだけどなぁ」
ドキッとした。俺ら仲良しなの?
〇〇「仲良し?」
明里「そう、仲良しじゃーん。だからにぶちゃんって呼んでよぉ。いつもにぶ、じゃん」
〇〇「わかったよ、にぶちゃん」
明里「なんかちがーう!」
〇〇「にぶちゃーん」
明里「もぉ〜ふざけないでよ〜!」
〇〇「あっ、ゴキブリいる!」
明里「えっ!どこどこ!?!?」
〇〇「嘘でーす、ゴキブリなんていませーん」
明里「うわぁ、からかったな!もぉぉ、びっくりした、、」
〇〇「今、凄い顔してたよ笑」
明里「ひどーい、やっぱ仲良してっかーい」
〇〇「じゃあもうにぶちゃんって呼ばない」
明里「あ〜それはやだ、やっぱ仲良し!だから、脅かさないで!!」
〇〇「分かったよ。。わぁ!!」
明里「わぁ!!...だからさぁ、、笑」
数秒空いて、2人は見つめ合って笑った。
まさか俺がこんな可愛い転校生と仲良くなれるなんて。
学校生活が前よりずっと楽しくなった。
fin.
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