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一目惚れした男に会いに京都入りした話

京都に来ている。フジロックで恋をした男に会いに京都に来ている。

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その男、Night Tempo。

昭和歌謡をビートにのせる彼は、全国横断ツアーを敢行中である。日程が発表され、東京公演がどうしても仕事で調整がつかないことが判明。

さて、どうしたものか?

大人になって分かったことがある。若い頃に比べ、気持ちが自ずと奮い立つ回数が激減している。大切なのは、それに要する時間とお金ではない。いちばんは、「私はそれをやりたい」という高いモチベーションだ。

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モチベーション高く臨んだら、整理番号28番。なかなかの高いモチベーションだ笑。

というわけで、平日の夜の彼のライブのために、新幹線に乗って京都に来ている。会場は収容人数250名ほどのライブハウス。

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クラブ メトロは、本当に地下鉄の改札に向かう途中にあった。生活空間の中に自然に音楽が溶けているようで、とてもいい!

開場前の列に並ぶ。おそらく20代くらいの若者だらけである。息子、娘のような世代にまざって並ぶ。照れ臭いが、誇らしい。

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1時間くらい前座のDJがあった。娘ほどの年齢であろう彼女は、吉田美奈子や松原みきなどマニアックな昭和歌謡をかけていた。どうやってディグっているのだろう。感心。

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そして、ザ・ベストテンのオープニングの曲に合わせ、彼が登場。1曲目は中森明菜『少女A』。

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余談だが、その昔、明菜ちゃんばかりをカラオケで歌いまくっていた時に、サプライズで用意してもらったバースデーケーキはシングルレコードの『少女A』の明菜ちゃんの衣装を着た私の似顔絵のケーキだった。

シンクロニシティ!

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近藤真彦、薬師丸ひろ子、山下達郎、竹内まりや、ベイブ、ウィンク、八神純子、久保田早紀、カルロス・トシキ…そこに昨日は細川たかしや吉幾三も入ってきた。

DJの間には、たっぷりMCタイムも。極めて牧歌的な時間が流れる。質問コーナーでは、「安全地帯はいれないんですか?」に対し、「バンドにはまだ手を出していない。少しずつジャンルを広げている」と彼。バンドより、先に演歌に手を出したらしい笑。「相田翔子と鈴木早智子は、どっちが好き?」の質問にも「お母さんとお父さんはどっちが好き?って聞くのと同じですね」と彼。おぉ〜と歓声が上がる。うまい返しだ。

ほのぼのとしたキャラクターも彼の人気の大きなファクターだ。ちなみに、彼はツアーの最後は浅草に滞在し、「中山美穂のカンペンケースを買い占めるのだ」と豪語していた。

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彼は韓国人だ。彼が日本の歌謡曲を扱うことでネットやSNSの世界ではいろいろあったらしい。「大丈夫ですよ」と彼。「ごめんねぇ」と観客。

もし彼が大ブレイクしたら、このゆるいコミュニケーションを楽しめていたこんな時間が実は宝物だったと、ここにいる誰もがいつか思い出すのだろう、と急にじんわり感傷的な気分にもなってしまった。

観客の若者たちが、『め組のひと』で「めっ!」と言えたり、『嵐の素顔』のフリを真似したり、渡辺美里の『マイレボリューション』でサビを合唱したり…よくよく観客を見たら、私世代(いや、それ以上?)の方々もチラホラ。それを韓国人アーティストが先導する。『め組の人』から『君たちキウイ、パパイヤマンゴだね』のつなぎで皆が感動する。

世代も国境も超えた時間が京都の小さなライブハウスにて。遠征してきた甲斐があった。

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ホテルへの道すがら、以前、京都在住の友達に連れてきてもらった地元の人が集う寿司屋に閉店ギリギリの入店。お客が引いた後だったので、ご主人とゆっくり話し込む。なぜか話はドラゴンアッシュやハイスタ、10FEETの話へ。握っている姿を見ていた時には、まさか彼がそんな音楽遍歴を持っているかどうかなど、もちろんまるでわからなかった。バンドマンが集う近くのバー「レボリーション・ブックス」を紹介される。

好きな男を追っかけて京都へ。

やはり動かないと世界は広がらない。そう感じた夜。



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