見出し画像

熊本・菊池の古民家レストランへ。地産地消、そして旬産旬消のこと

熊本出身の食い道楽と熊本在住の飲食店関係者から、「ここに行ってみて」と情報をいただく。熊本空港から車で約30分。今年春にオープンしたらしいそのレストランは、山間の里の中に溶け込むように佇んでいた。

カーナビやGoogle MAPなしでは決して辿り着けない。大きな通り(とは言って、すでにその道が広くない)にも面しておらず、近隣住民の方のみが使用する細い小道を入っていくとそのお店はある。途中、対向車とすれ違えないような道などもあり不安に。運転手の私は「本当にあってますかね?」と同乗者に幾度となく問いかけてしまった。

画像4

お店の駐車場に着くと、汗ばむ夏の陽気ではあったが、彼岸花がキレイに咲いていた。道中、柿がたくさんなっている光景も見たし、いが栗もたくさん落ちていた。田舎に来ると、東京とは違った季節の移ろい方があって、季節感がどんどんなくなっていく感覚を取り戻すべく「もっと旅をしなくては」という気持ちになる。

画像1

菊池渓谷の清らかな水と肥沃な大地が広がる熊本県菊池市。美味しい野菜や果物の名産地として知られる。2人から薦められたレストランは、古民家をリノベーションしてあり、これはその入り口。期待感が自ずと高まる佇まい。

画像2

玄関を入るとすぐ広い土間がある。おそらく農家を営まれていた方の家だったのだろう。梁や天井など、昔の佇まいを残したままのリノベーション。とても落ち着く。玄関に焚かれていた、かすかな蚊取り線香の匂いも風情があり、土間に飾られた大胆に活けられた花も野性味があって良き。

早朝に起きてドタバタと熊本入りしたけれど、ノンアルコールのモヒートをいただき、一気に身体が緩む。

お若い女性2人の優しいおもてなし。地元・菊池の素材がふんだんに使われている。素材の良さを生かしたシンプルなイタリアン。パンやパスタ、ハムなどが自家製。

前菜(この日は、走る豚の自家製ロースハム、生ハムと無花果)、スープ(ナスのベルタータ、ホタテとバジルのアクセント)、プリモピアット(海と山のリゾーニ)、セコンドピアット(あか牛のタリアータ、グリーンペッパーオイル、むかごとナッツのフリット)、デザート(桃のティラミス)。潔く3000円コース1本で勝負されているようだ。

大満足!

画像3

その地域で生産された旬な食材を、その地域で旬な時期に美味しくいただく。やはりこの贅沢に勝るものはないような気がする。

贅沢消費について造詣の深い作家のジェームス・トウィッチェルは「贅沢経済では、商品が素材に近くなればなるほど、高値をつけることができる」と言ったそうな。

熊本空港を利用する際は、往復三時間とレンターカーを確保して、必ず立ち寄りたい一軒。




この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?