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男女8人恋(でもない)物語

社会とうまく適合できないキャラクターが主軸となる。ざっくり言うなら、それがこれまでの坂元裕二作品の特徴だったと思う。一転、「おっ、今回はこうきたか!」と思ったのが昨晩の第4回の感想だ。

ドラマの『大豆田とわ子と三人の元夫』の話である。

松たか子演じる主人公のとわ子は、明らかに、普通に、いや、まわりの期待に応えて生きてこれちゃった側の人であることがよりクリアになった回であった。

「友人でなく家族」な、市川実日子演じるかごめは、皆が当たり前にできていることがうまくできない。信号機のない横断歩道をひとりで渡ることのできないかごめの手をいつでも引いてきたのは、とわ子だ。

普通に生きてこれなかったかごめ。普通に生きれてこれちゃいながらもそこにいる自分に違和感を感じているとわ子。この二人のコントラストが際立つことで、「坂元裕二がついに、普通側の辛さを描いてるぞ!」と声を上げたくなったのは私だけなのだろうか(今までなら、かごめが主人公でしたよね?)。映画『花束みたいな恋をした』の菅田将輝演じる麦の側の苦悩とでも言いましょうか。

もちろん、とわ子は社長なので、「普通じゃないやん!」というツッコミもあろうけれど、彼女なりに周りの期待に応え続けていたら、結果的にそうなってしまったというところでもあり。これまでも、「社長は飲み会にいるだけでパワハラ(たしか第2回目に出てきたナレーション)」と言われる社長業をこなす(女社長としての)ハードさが描かれてきたわけで。

3人の元夫とのドタバタ群像劇になるのかと思いきや、「恋愛が素敵なことだとは知っているけれど、自分には必要がない」と考えているかごめ(もちろん、ガッツリと感情移入してしまいました)をフィーチャーすることで、第4話はひとすじ縄ではいかないドラマだということを宣言したような回になっていたのかな、と思う。

とわ子とかごめ、3人の元夫とその対をなす3人の女性。つまり男女8人恋(でもない)物語となっていた。往年のトレンディドラマのフォーマットを使って、さて、これからどうなっていくのだろう?

役者はそろった。来週から、より前のめりにテレビ前にスタンバイすることになりそう。

追伸:一条ゆかり、岡田あ〜みんリスペクトの空野みじん子の処女作が『りぼん』に掲載されたら面白いのになぁ。

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