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『全裸監督』。黒木香さんの同意問題のこと

話題沸騰中のNetflix『全裸監督』。村西監督とともにこの物語の核となる登場人物、黒木香さんの過去の活動を描くにあたっての同意について、Netflix側の公式コメントを掲載した『女子SPA!』の記事がアップされました。

この度は、「全裸監督」にご興味をお持ちいただき、またこちらに関してお問い合わせいただき、誠にありがとうございます。ご連絡いただいた件ですが、作品制作にあたって、村西さん同様、黒木さんご本人は関与されていません。あくまでも本橋信宏著『全裸監督』という原作に基づいた作品です。権利関係に関してこれ以上お話しできることはありません。

書籍化の許諾と映像化の許諾は別物

欧米のエンターテインメント業界のコンプライアンスや権利問題は日本より数倍厳しいと考えていたので、正直、私はこの問題はきちんとクリアされているものだと勝手に思いこんでいたのですが、どうやら権利上はかなりグレーな可能性もあるようでして。

以下は、合同会社Ichigo Ichie Films LLC 代表で映画プロデューサーであるヒロ・マスダさんのツイッターより。

数日前、私は奇しくも村西監督についてのコラムで「法のグレーはGOサイン」と書きましたが、Netflixがそのグレーゾーンをパワープレイに持ち込んでいたとしたのなら……やはりヒロ・マスダさんが書かれているように、世界のコンテンツ産業を牽引しているNetflixには、「契約や権利関係の水準を上げることを日本が学ぶことができる作品であること」を期待したいです。

Special thanksの本来の意味とは?

まったく話は変わりますが、昨年放映されたドラマ『この世界の片隅に』が放映された時、その前年に大ヒットしていたアニメ映画『この世界の片隅に』の公式Twitterが下記のようにつぶやいてニュースになりました。

映画などのエンドロールでも、かなり印象的なタイミングで出てくることが多いので、「全面協力」というような意味で勝手に脳内翻訳されていました。ですが、読んで字の如く、Special thanksのクレジットには「本当にありがとう」という意味しかなく、それ以上でも以下でもない。

お恥ずかしながら、この時、初めて意味をしっかりと認識しました。

ドラマと映画の設定が驚くほどに似ていただけに(どちらとも原作は同一のコミック)本当にビックリしたこともありますが、著作権や肖像権など権利に人一倍センシティブにならなくてはいけない出版社に勤めていながらも不勉強な自分にもっと驚きました。

誰かを侵害する「おもしろい」はいらない

「おもしろい」ことを追求することは大切ですが、安心して楽しめるコンテンツを提供するという大前提を忘れずに。権利についてはもっともっとストイックに考えていかねばならないな、と身の引き締まる思いでこのトピックの経過を見守りたいと思います。



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