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005「かねよ食堂」ジョンさん"未来の子どもたちへ"<横須賀の人インタビュー>(後編)

こんにちは!

KAKEHASHI広報の石田です。
前回に続き「かねよ食堂」ジョンさんとのお話、後編です。

ジョンさんは走水地域で育ち、この土地と両親の生活を守るためお店を経営し続けてきました。

今では、休日になるとお客さんが途絶えない人気のお店です。

「かねよ食堂はある種できあがっている。」とも話すジョンさん。

そんなお店の今、そして未来についてもお話しをしてくださいました。

<ジョンさんプロフィール>
金澤等(愛称 : ジョン)

1979年2月28日 生まれ。8歳の頃に両親の再婚で横須賀市走水の地へ。父は漁師・母は食堂で接客と料理をし、夏には海の家を営業してきた。

2003年 、両親から「海の家」を引き継ぎ「かねよ食堂」としてオープン。大好きなサーフィンで訪れた国の文化・考えを取り入れ、今ではジャンルに捉われない料理の提供やイベント開催によって、横須賀でも人気のカフェ&レストランとなった。

現在は2児の父。
ワカメの漁業体験ワークショップなどを通じ、子どもたちへ生きた学びの場も提供している。

"人の数だけメニューが広がる"


-お店のスタッフさんは何名いるんですか?

今は少ないよ、9人。みんな家族みたい。

-今スタッフを募集をされていますが、どんな方に来てもらいたいですか?

パッションがある人。というのは、料理ができなくても「やりたい!」という想いがある人。あとは…「かねよ食堂」が好きでいてくれる人かな。

今はスタッフが少なくてメニューも少なくて。

ここで獲れたものがあって、それを使って何でもやっても良い状態。メニューはこうじゃなきゃいけないっていうのは何もない。

これまではいろんな場所でいろんなもの食べて、「これいいな!」って思ったものはアイディアとしていっぱい出してきて、それをメンバーが形にしてくれたりしてメニューができてきたんだよね。

さらに、そこにソースを作ってみたり!どんどんオリジナルになってくる。

-それで過去には多国籍なメニューが多かったんですね!人の数だけメニューができるんですね。

そうそう。何事においても発想の連続で生まれてくるし、全ては誰かのアイディアなの。人間の世界。

固定概念でみんな「こうじゃないきゃいけない!」って考えだったりするけど、何事においてもそこはそうじゃなくて。「こういう風になったら面白いな!」とか、発想の連続で全ては生まれてくる。

"みんなの喜びが本当の喜び"


-たくさんの人との出会いがあったと思うのですが、お店をやっていて1番嬉しかったことは「人との繋がり」が大きいのでしょうか?

1つに絞ることって難しいんだけど、自分の喜びって人が喜ぶことで。

自分がそもそも何が好きって物作りで、何かを生み出すことが好き。

「これ作ってみようかな?」っていうものが自分の中にあって、「こういう風にしたら素敵だろうな。」って作り上げた時に自分の中で「良いのができたな!」ってあるじゃん。

そんな風に自分がまずそれに対して喜びを感じる。それと同じタイミングで誰かに感じてもらう。「素敵だな。」って同じく思ってもらえたときが、本当の喜びだよね。

アイディアを出した料理が「美味しい!」って思ってもらえたり、そんな風にみんなの喜びが自分の喜びになっていくの。

だから、「お店に来てくれた人には思い出に残る時間を提供しよう!」ってスタッフのみんなには話してる。

人って感動したことは覚えてるから、作り手の想いや想像を越えた部分を伝える。例えば「美味しく飲んでもらいたいという想いを込めて、このコーヒーを入れました。」って出したら、それは特別なコーヒーになるでしょ。そうして喜んでもらえたら、それが嬉しい。

"子ども達への想い"

あと1番は、子ども達が喜ぶこと。

子どもは無邪気であるがまま、その場その場を1番楽しんでいるから1番素直で分かりやすいよね。

そんな子ども達がいるから未来がある、子ども達が喜ぶことは未来が喜ぶことじゃん。それは素晴らしいことじゃん。

-ジョンさんと同じように、この環境で子ども達には育って欲しいですか?

むしろね、それはおしつけるような気持ちは持ってない。なぜかというと、彼が彼で感じて彼が決めるのが彼の人生だから。

ただ、きっかけを与えることはできるよね。もちろん環境って大事だから、環境っていう意味では可能な限り良い環境を与えたいというのが親の気持ち。

あと、心がけているのは想像力を鍛える場所を子供には提供したい。自分が提供する教育の中にある想像力、想像力を刺激するきっかけを散りばめて、それを良いときに拾ってくれれば良いかな。

"走水地域と子ども達"

-未来の走水地域へどんな想いを持ってますか?

走水が未来の子供たちにとっての大事な場所であって欲しい。大きくなったときに、その経験が世の中をよくするものになっていて欲しいよね。

そんな部分を大事にできる地域にここがなってくれたら良いなと思う。だから、俺は学校を作ったらいいんじゃないかなって。

-ジョンさんだったらできちゃいそうです。

今はお店を抱えていたりするからまだちょっとできないけど、スイッチが完全にそっちに入ったらできちゃう…多分!

-その想いが、今行っているワカメの漁業体験のワークショップにも繋がってくるんですね。

そうだね。自分ができることをまずはやること。

やりたいことを考えたときに、どうしても「子どものために何かできないかな。」ってことばかりが生まれてくるの。

それでワカメのことをまずやってみようって。それが、今自分ができることだったから。

"やりたいことに蓋をしない"

-ジョンさん自身がやりたいことに素直に行動されてきたのだと納得ができました。

まずは、自分の中で生まれてくる強い想いに蓋をしちゃ絶対ダメ!常にそれを見続ける。頭で考えるのではなくて。

もっと心の奥の方からどうしても吐き出しそうなくらいに想いが出てきちゃったら人はできるよ、多分。そこにどんな魂を持って生きているかだと思う。

そうすると、必要な出来事が自然と目の前に現れてくる。

大事なのはそれを想い続けてやり続けているか。続けることで踏み台が出来上がって、ちょっと高いところにあるチャンスがあったときに足を乗せることができるの。

だから本当に決断できる人ってさ、急に驚きの決断をするじゃん。俺はそれは本当に良いことで正解だと思う。その人が生きたいように生きるって決断したことだから。


かねよ食堂をオープンされて20年。走水地域で獲れる食材と環境を最大限に生かして今も経営を続けるジョンさん。

やりたいことに素直に行動し自分ができることから続けていく。

そうすることで土地を守り続けることができたのだと、お話を聞けたことでジョンさんの想いの部分に少しだけ触れることができた気がしました。



先日、私もワカメのワークショップに参加しました。

ニラのようなアマモ

海は思った以上に綺麗で、海藻も生き生きしていました。

収穫の時期、船いっぱいのワカメになるそうです

船酔いするかも分からないくらい経験がなかったので、少しの揺れにもドキドキしていました。

引き上げたワカメはハサミでカットします

獲れたワカメは大きくキラキラ光っていて、「ワカメってこんな形しているんだ!」と感動。(乾燥ワカメしか知らない自分が恥ずかしい…。)

収穫したワカメ

私はとっくに大人ですが、この経験を子どものうちから体験できるってどれだけ貴重で、どれだけ発見に溢れた時間になるだろうと思いました。

一緒に参加したお子さん達もとっても楽しんでいました!自分で収穫して食べるまでって意外と経験できないですよね。

そんな経験ができる場所が、地元横須賀にあることがとても誇らしいです。たくさんの子ども達にも同じ経験を是非してもらいたいです!



今も新たなワークショップを考えているジョンさん。「未来の子どもたちのために。」活動は異なっていても、同じ想いで活動をするKAKEHASHIはこれからのジョンさんの活動も楽しみにしています。





【とても個人的、インタビューへの想い】

「かねよ食堂」さんへは、自然と毎週のようにお邪魔していました。

訪れる度に感じるのは「自由!」です。

働かれているスタッフの方・お料理・訪れるお客さん。
これじゃなきゃいけない!がない感じです。

お子さんがお店の周りで自由に遊んでいたり、大きいワンちゃんが海に入っていたり。ジョンさんのお知り合いの方が自然薯を売っていたり。

先週は走水小学校の校長先生がプライベートで来られていました。「かねよ食堂」さんには、走水小学校の生徒さんが作ったお水も売られていますよ!

最初はジョンさんの言葉に惹かれたことがきっかけでした。今はもっとお店とジョンさんの在り方が好きになりました。さらに、お店の居心地がとてもよいのです…。

同時に横須賀のほんの一部のことしか自分は知らなかったと実感します。横須賀を離れていなければ、私はそれにさえ気がつけていませんでした。

私は自分の地元をもっと知ってもっと好きになっていきたいです。そして、KAKEHASHIの自分としても、できることを日々見つけて行っていきたい思います。

ジョンさん、貴重なお時間をくださり本当にありがとうございました。