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私が彼女で、彼女が私で。

「ずっと彼女の話をしているね」

コーチに言われてハッとした。

とっさに出てきたのは、

一歩違えば、私が彼女の立場だったかもしれないから。


彼女とは、同職して3年だ。
いや、正確に言えば、前の職場にもいたから名簿上は5年か、6年か。

前の職場では、ずっと休職していたし、そこで私は2回育休をとったので、話したことはなかったけれど、今の職場に異動してきたときに、すでに顔と名前とどんな人なのかはなんとなく知っていた。

どんな人なのか。
持病とメンタルで休む人、そういうイメージ。

フラットにいよう、平等であれ、周りに蔑む人がいようが、悪口言う人がいようが自分は同調しないでいるんだ・・・

それは、私の正義だった。




総務の仕事をしている。
ボーナスの計算のために彼女の出勤簿を数えて5年。


本当は、本当は・・・


ずっと怒りと虚しさがあったんだ。


育休なら1日でも期間にかぶれば、減額されるボーナス。
病気休暇は、日数によっては減額対象外。

育休なら無給。
休職は、診断書を出してくれば8割は給与支給される仕組み・・・。



そうやって、次元の違う彼女と私を、測れもしない天秤にかけては、働いていない理由の違いを、その尊さの違いを自分の無意識レベルで感じていたんだ。


報われない。



「ニーズは何だろう」

コーチが問う。
彼女が休めば、その分、私が仕事をすれば済む話だった。


それは6年前、初めての育休明けで、初めての育児で、仕事も子育ても全然できなかった私が、子どもが熱を上げて休んだときに、先輩方に助けてもらった恩返しをしているつもりだった。


休んだ人の分は何も言わずに手伝う美徳。

休んでいる間に、仕事はどこまで溜まり、どこまで助けてもらったのか、当時はわからなかった。そして、助けてくれていたはずの人が裏で私の悪口を言っていることはなんとなくわかっていた・・・



助ける側になった今、同じことはするまい。
悪口は言ってはいけない。
だいじょうぶだよ、だいじょうぶだよ。
当時の私に言うようにそんな言葉を繰り返していた。


報われない。

彼女を助けたくて仕方がなかった私は、実は助けてほしかったんだ。

あのときの自分の隣に、「助けてくれる自分」が居てほしかったんだ。



***




今の自分はちょっとだけ違う。

そう、私はポジティブ心理学を学んで変わった。

助けなきゃ、助けなきゃ、でも心が伴わない。
そんな状態から少しずつ抜け出している気がする。


いつ休むかわからないよりは、ずっと休んでればいいのに。

ずっと、声は小さくとも心の悪魔が囁いていた。



体調がすぐれないので今日は休みます・・・
そんなメールに、

「大丈夫ですよ〜! やっておきますね!」

そう、上辺では良い人ぶって、結局自分の心は無理していた。


「ニーズはなんだろう?」


と、コーチ。

自分のニーズ、か。

彼女が来なければ気を使わないし、楽だな〜

最初はそれがニーズかなって思ってしまったけど、その奥の本当のニーズは、自分の心の在り方をもっとクリアに清らかにいたいんだなって思った。

あなたならできるよ、仕事に来れるよ、って信じたい。




ポジティブ心理学コーチングを学んで、セルフコーチングしたりコーチングしてもらったり、強みやリソースをフィードバックしてもらったりしてわかったのは、

天秤にかけても意味がないということ。


両端に次元の違うものを乗せて比べたところで何の意味もない。


今までの私は、方眼紙の目盛りのように、縦と横で共通点を見つけては、天秤にかけていた。ほんとうに、ほんとうに、無意識に。


子どもが2人より、3人、3人より4人のほうが上。
無職よりパートタイム、パートタイムよりフルタイムのほうが上。
両親のサポートがある人より、核家族共働きのほうが上。
仕事を休むより、休まないほうが上。

書いてみるとありえないんだけど、本当に、彼女が気になって気になって仕方がなかった時の私の思考はこんな感じだった。

彼女と私の比較軸は年齢と性別だ。
同年代の同性。この比べ方は世の中に無限にある気がする。

比較して上に行こうとして、少しでもマシになりたくて・・・
頑張る先に、幸せはなかった。




ポジティブ心理学コーチングを学んだ今は、上下とかない無重力な状態を少し垣間見ている。

宇宙に上と下がないように、無数の星がそれぞれの個性を持っているように、私の位置は、私が決める。誰にランク付けされてもされなくても大丈夫。

そう、思えるようになった。
強みもリソースも興味も違うのに、比較して得られるものなんてなにもなかった。


そう思えるようになったら、彼女に私を重ねることが減った。
あたりまえのことに、やっと気が付けた。


地図上で、緯度や経度が同じ地点を比較するようなとき、こっちのが寒いとか、こっちのほうが日が昇るのが早いとか、そんなレベルのことを地球と火星で比べているようなものだった。



「彼女を信じられているというのはどうやったらわかる?」

コーチは、ぼやっとしているものを言語化させてくれる。
言葉にすると私の中に存在することになる。


彼女が休職している間、自分の分と彼女の分をやってきたエネルギーを10とすると、彼女が復職した今、半分の5になってもいいはずなのに、逆に12に増えている。それは、私が彼女の仕事が「ちゃんと」できているかチェックしているからであって、結局信頼できていないということがすべての原因だった。(書いてみるとめっちゃ嫌なヤツ。でも、間違っていたら困るという親切心のつもりだった。)

だから、エネルギーを12から8に下げたい。
それが、復職してくれて助かっているという状態。

やっぱり、心のどこかに負担を感じているとうまくいかない。
この負担に気が付ければいいんだけれど、だいたいは無意識だ。

そうか、彼女が復職してから最近ちょっとツラいなって思っていたのは、10から12に増えたからだった。10から8に下がるように、自分に何ができるだろうか?


「信じて任せる」

希望と感謝の強みを使う。

花だけでなく、茎や枝葉を見る。

成果だけじゃなくて、そのプロセスをみるということ。


そうすると、どうだろう?
まだ花は咲いていないかもしれないけれど、一生懸命伸びた茎に新芽が出ていることに気づく。

彼女が、彼女の強みを生かして一生懸命仕事をしている様子が見えた。
そして、思い切って彼女に仕事を託して自分のやりたいことのために有休を使った日があった。なんだか、軽くなった。

私の報われない気持ちを昇華したら、その新芽を一緒に伸ばすことができると思う。

BE THE CHANGE YOU WANT TO SEE IN THE WORLD! 

ポジティブ心理学コーチング講座修了式で出会った言葉



彼女の仕事だから彼女に任せる!
そして、もう少し頼ってみる。

コーチングを受けて、出てきた答えはシンプルだった。


そう、報われない気持ちを誰かに認めてもらえなくても、自分で認めてあげられた。水が蒸発するように満たされない自分の心のコップから消えていく。

こうやって、自分自身がより「善く在る」ことが、私なりのチェンジエージェント。


信じる力を信じよう!

次の世代に見せたい世界を自分が生きる。



彼女は彼女で、私は私だった。


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