【Q&A】「いつも何度でも」の歌詞と似た感じの詩集は?→はい、3つご紹介します。
先日お客様から、「スタジオジブリの映画『千と千尋の神隠し』の主題歌「いつも何度でも」の歌詞と似た感じの詩集があれば教えていただけませんか?」というお問い合わせがありました。覚和歌子さん(作詞家・詩人)によるあの歌詞が、とてもお好きなのだそうです。
あらためて読んでみましたが、素晴らしい歌詞ですね! 澄んだ言葉の中に、深い洞察を感じます。(全文掲載すると良くなさそうなので、ご自分で検索してお読みください。)
似た感じでしたら、下記のような詩集はいかがでしょうか?
お客様にご紹介した詩集3冊を、以下に共有したいと思います。
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▶(1)野口やよい『天を吸って』
「いつも何度でも」のように、やさしい言葉で胸にグッとくる詩といえば、野口やよいさんの「呼吸」。詩集『天を吸って』に収録されています。歌詞ではなく「現代詩」という性質上、「いつも何度でも」より少し表現が難しいかもしれませんが、雰囲気は近いと思います。以下の記事に「呼吸」の全文を掲載しておりますので、是非お読みください。シンプルな言葉と、最終行の跳躍感の素晴らしさ。癒される、私の大好きな作品です。
この詩集『天を吸って』には明るい詩だけでなく、せつなくなるような、深く考えたくなるような作品も収録されています。日本詩人クラブ新人賞受賞の一冊を、ぜひご堪能ください。
▶(2)金子みすゞ『金子みすゞ詩選集 雨のあと』(春陽堂書店)
「私と小鳥と鈴と」「こだまでしょうか」をはじめとする愛に溢れた作品にほっこりする一方、この詩集を全部読むと、金子みすゞは決してほわほわとした詩人ではないことがよくわかります。例えばこの「灰」という詩。
この詩を読むと、金子みすゞという人は、世の中の不平等、不公平、理不尽を、嫌というほど味わった人ではないだろうか、その結果として最終行に「どんなに私もうれしかろ。」と、こんなに優しい言葉が出てくるのではないだろうか、と思わずにはいられませんでした。
そこでみすゞのWikipediaを見て、絶句。
モラハラ夫に淋病をうつされて病んで、26歳で小さい娘を残して自ら命を絶ったのですね…。
やさしい言葉遣いは、社会に向けられた批判の気持ち・悲しい気持ちを一生懸命消化しようとした過程で出てきたものかもしれません。
▼上記「灰」を含む、珠玉の47篇を収録。
▼こちらの詩集には上記「灰」は載っていませんが、93篇もの詩が載っています。Kindle Unlimited対応。
▶(3)草野心平『草野心平詩集』(ハルキ文庫)
小学校の国語の授業で、「春のうた」を読んだ方も多いのでは。あの詩の作者が、草野心平です。
草野心平の詩は、難しい言葉は少なく、楽しい作品が多いです。ユニークな擬音語がちりばめられ、ダイナミックで、歯切れが良くて。そして時にズバッと物凄いことを言ってきます。
例えば下記の「何何富士」。
「いつも何度でも」よりかなり骨太な感じはしますが、易しい言葉の中にある深みという点では近いのではないでしょうか。
▼この文庫には「春のうた」は入っておりませんが、イラスト入りで読みやすく、おすすめです。Amazonの販売ページにはあまり情報が載っていませんので、後日、目次等をご紹介いたします。
以上、「いつも何度でも」の歌詞に雰囲気が近い詩集3選でした☆
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