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上田文人『人喰いの大鷲トリコ』

 ゲームデザイナー上田文人の3部作とも言えるソニー作品の最後を飾る「人喰いの大鷲トリコ」をようやく買いました。

 1作目は「ICO」2作目はリメイクも作られた「ワンダと巨像」。「トリコ」の制作は伸び伸びに伸びてなんと11年もかかりました。その間に上田文人はソニー(SCE)を退社。それなりに色々なゲームをやって見聞きして来た自分の眼から見て、著名なゲームクリエーターの中でもとくに際立つ才能が上田文人です。

 一言で言い表せませんが、欠点をも含めた完成度が一つの芸術。大げさに思われるでしょうが、それは世界中の評価が示していることです。アニメで言えば正に宮崎駿のような存在。少年と少女、青年と女性、少年と動物という3作品のテーマ性もどこか宮崎駿を思わせるところがあります。

 それだけにクセの強さもあり、プレイヤーを選ぶゲームであることは間違いありません。しかし誰にも易しいベストセラーとは本物のアートには最もほど遠いものです。咀嚼しにくい物だからこそ味がある。

 調べていて初めて知りましたが、大人気の邦楽アーティスト・米津玄師さんや亡くなった神田沙也加さんも上田作品の大ファンらしいです。

 どこにも書いてませんが「トリコ」は「虜」の意味だと思う。「ICO」はもちろん「行こ」。「ICO」は宮部みゆきによって小説化されました。「ICO」はエンディング後に操作するエピローグの演出でちょっとビックリします。「人喰いの大鷲トリコ」のパズル要素は「ICO」に近そう。「ICO」のプロモーションはいかにもありがちな設定に見えるので、プレイ前はあまり期待していなかった記憶があります。しかし実際にやってみると想像以上の意外性とドラマティックな世界観で忘れられない1作になりました。

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