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たくさん本を読むことはいいことか

 日本人にも広く認知されているドイツの哲学者ショーペンハウアー(1788~1860)の著作の1つに『読書について』(鈴木芳子訳)という本があるのですが、ここではこの本を読んでいいなと思った一節を引用して感想を書き残したいと思います。哲学やドイツ文学には詳しくないので、ただ思ったことを。
 「学者、物知りとは書物を読破した人のことだ。だが思想家、天才、世界に光をもたらし、人類の進歩をうながす人とは、世界という書物を直接読破した人のことだと。」という一節。ショーペンハウアーの主張は、「本から読み取った他人の考えは、他人様の食べのこし、見知らぬ客人の脱ぎ捨てた古着のようなものだ。」と、ただたくさん本を読む多読家は自分で物を考えることをしないので、本物の思索が出来ないというのです。真の思索家は自分の頭で考えられる人だとし、「自分でたしかめたこと以外、認めない。」とあるように、ある本を読んだとしても鵜呑みにするのではなく、何度も反芻して自分の体系に取り込める人こそが真の思索家であるというのです。つまり、ただ本をたくさん読むよりは、1つの本の内容を何度も考えて自分のものにせよということです。
 書いてみて、おこがましいですが、ショーペンハウアーの考えは現代でも色あせないリアリティがあるなと思いました。次もこの本の一節で書いてみたいと思います。
<参考文献>
・『読書について』ショーペンハウアー作鈴木芳子訳 光文社古典新訳文庫 2013年
アマゾン公式サイト https://shorturl.at/ioBF6
 

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