潔い生き方に憧れる話 ~宮島未奈『成瀬は信じた道をいく』~
やすこさんへ
NHKあさイチの内田也哉子さんの出演回、私も見ていました。落ち着いた語り口と独特の存在感、さすが樹木希林の娘、只者ではないなと見入ってしまったよ。
樹木希林さんのことが私は大好きでした。女優としての素晴らしさは言うまでもないけど、それ以上にご本人の強烈な存在感、嘘や忖度のないストレートな発言、自分を大きく見せようとしないところ、他人からどう評価されようが喜びも落ち込みもしない、どんな状況も『面白がって平気で生きればいい』と言える肝の座り方。クールなようでも滲みでる温かい人柄と、人としての品格。こういう人になりたいと憧れる。ま、こういう人が母親だと、娘は苦労するだろうけどねえ。
さて、この本の主人公成瀬も、希林さんばりに強烈な存在感の持ち主です。
2024本屋大賞ノミネート作品でもある前作『成瀬は天下を取りにいく』の続編。前作がすごくよかったので、続編はどうかな〜?と思いながら読んだけど、予想以上によかったよ!
成瀬に憧れる小学生、アルバイト先のクレーマー、受験会場で出会ったYouTuber、誰に対しても、成瀬は常に変わらず成瀬。
驕らず卑下せず、嘘も見栄もなく、公平で親切で、自分のやりたいことに迷わずまっすぐ。泰然自若、独立独歩、虚心坦懐、痛快無比!希林さんに憧れるのと同じくらい、私は成瀬にも憧れる。ていうか、成瀬と希林さんは似ているかも⁇
連作短編の最終話では、大晦日の朝『探さないでください』と書き置きを残してスマホも持たずに姿を消した成瀬を、みんなが心配して探し回るんだけど、遂に見つけたその行き先に、読んでいて思わずニヤリ。
痛快かつ温かい気持ちになれること請け合いの一冊です。今度貸すのでぜひ読んでみてね。
2024年3月15日
かおりより
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