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定番だけど面白い、最後の晩餐の話〜オカヤイズミ『おあとがよろしいようで』〜

やすこさんへ

この往復書簡を始めてみてしみじみわかったけど、やすこさんは食べ物の話が好きだよね!
だったらこういう本も好きかな?

オカヤイヅミさんの『おあとがよろしいようで』

『おあとがよろしいようで』オカヤイズミ 文藝春秋

オカヤさんは食べるのも呑むのも好きで、大食いではないけどずーっと食べ続けていたい、食べ終わるのが嫌というタイプの食いしん坊。何事も終わるのが嫌で、だから人生も終わるのが嫌。死ぬのがものすごく怖いんだって。
『人生最後に食べたい物』も「せめて死ぬのが怖くなくなるもの食べたい(でも何かはわからない)」という事で、少しでも死ぬ怖さを和らげるべく、色んな作家さんの最後に食べたい物を一緒に食べながら、その人の死生観などについてインタビューしたのがこの本(漫画)です。

『人生最後に食べたいものは?』って話は『無人島にひとつだけ持っていくものは?』と並ぶ定番の、ある意味不毛な話題だと思うんだけど、その問いの相手がプロの作家たちだとこんなにも豊かな話が展開するんだ!とびっくりするくらい、どのインタビューも全然違う話になってて面白いの。

朝井リョウさんの人生に対する後ろ向きな備えとか、山崎ナオコーラさんの『墓石に【あきらめる】って彫りたい』話、村田沙耶香さんのジビエと人肉食の話や、辛酸なめ子さんの『生まれ変わりの村』の話など、その人ならではの個性あふれる話はどれも興味深くて何度読んでも飽きないので、私の寝る前に読む本の定番になってます。

ちなみに作家さん達の最後に食べたいものは、豆腐料理や鉄火巻きなど料理名のこともあれば、まい泉のとんかつ、神田まつやの鍋焼きうどんなど、お店まできっちり決まっている人もいて、その理由もいちいちなるほどだったし、『最後の晩餐』のイメージも、自分個人の最後と考える派と、人類滅亡を想起する派に分かれるのも興味深いなと思った。

やすこさんが最後に食べたいものは決まってる?この本を読んだらきっと、出てくるお店をGoogle検索したり、『極道すき焼き』を作ってみたりしたくなると思う。今度貸すのでぜひ読んでみてね。

2024年3月29日
かおりより

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