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中川運河再生計画案「みんなの運河」

世界運河会議で満を持して発表させていただいた中川運河再生計画案「みんなの運河」であるが、
これまでに市民から寄せられた様々な意見をベースにそれらをビジュアル化するかたちで中川運河の将来像を描いたものである。
関係者各位の事情や法制度など考慮しなければならない現実的側面は多々あるが、まずは市民が思い描く中川運河の理想の姿をビジョンとして示し、そこから現実的側面とすり合わせて落としどころを見出し実現に向かおうとする、いわゆるバックキャスト型の方法をとる。

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さて、肝心の設計はというと、全延長10.3kmに及ぶ長大な地域が対象になる。みんなの運河に習い、所員や学生を含め12人でキャナルアートメンバーとも連携し、みんなの設計といった体制でのぞんだ。
同時並列的に設計を進める。まずは各所で仮説としての案出しから始めスタディを進めるごとに相互レビューを繰り返しあるべきかたちを模索する。そのプロセスを通して並走している物語がクロスオーバーしてみんなの運河の全貌が浮かび上がってくる。
設計を進めていく中においても、様々な立場のかたから提案に対する意見をもらう場を定期的に設け、その都度デザインにフィードバックさせていった。
こうして当初A3×5枚程度の絵を作成する依頼だったものが、A3×38枚に膨れ上がっていった。みんなの運河は都度成長していくのである。
さらには、世界運河会議開催期間中にあっても、session4 ダイバーシティセッション(市民セッション)はもとより、セッションやディスカッションで語られたイシューを「みんなの運河」に可能な限りフィードバックさせ、ライブでアップデートさせ続けた。
session5 アーキセッション「みんなの運河」における陣内先生からの運河に関する歴史的視点をふまえた知見や伊藤先生からの実務家としての実現性に向けた知見などをはじめ世界運河会議で語られた様々な議論に触れ、まだまだ「みんなの運河」は成長し続けていくべきものだなと感じた。

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「みんなの運河」(まちづくり全般がそうか)はどこまでもベータ版であり、プラットフォームとして、様々な立場の市民をはじめ各専門家の意見も取り込み成長させていくことができるものであると改めて感じた。
基調講演でのカイ・ウーヴェ・バーグマンのファシリテーターとしての建築家の役割という言葉が思い起こされる。
このことは世界運河会議NAGOYA2020の宣言と提言にも見られたように思う。
世界運河会議における全てのセッションやディスカッション、講演のエッセンスが文言にもれなく取り込まれている。しかも実に具体的なキーワードとともに。それゆえにか「みんなの運河」案同様に、言葉が膨れ上がっている。
まさしくみんなの提言であり、みんなの宣言であると感じた。

世界運河会議は、どのセッションも刺激的で学びの多い充実したものであった。
動画がYouTubeにアーカイブとして公開されているのでぜひご覧いただきたい。
多くの人に運河再生の可能性と中川運河の展望を共有いただき、
みんなが意見や知恵を出し合い「みんなの運河」を成長させ実現させていけたらと思う。

「世界運河会議 | INTERNATIONAL CANAL FORUM NAGOYA 2020」 YouTube配信
(「みんなの運河」の発表は5月23日の3:30ころから)
・会議プログラム https://icf-nagoya.jp/wp-content/themes/icf-nagoya/pdf/0520_ICFN_A4.pdf
・5月21日(金)
日本語(Japanese) https://youtu.be/ZX64EsuSOsA
英語(English) https://youtu.be/2gI2EqBdH6g
・5月22日(土)
日本語(Japanese) https://youtu.be/si8kelG9zhM
英語(English) https://youtu.be/CxBliW56dZg
・5月23日(日)
https://youtu.be/nUlScUqal6c

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