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【世界競争力ランキング35位でやべえ?いや、それが何か?】前半

引退した外資系の元・部長です。本日は日本の競争力→日本の強み→働き方改革、等について述べさせていただきます。
楽しくご覧頂けましたら嬉しいです(^^

さて「世界競争力ランキング2023」で日本は過去最低の35位(64か国中)となったそうです。
アジア太平洋地域でも14か国中11位ということで、とっても低いですね。
昔はずっと1位だったそうで、電化製品とかハイテク機器とか輸出しまくってましたから、その頃と比較すると体感としても分からなくもないです。
 
しかしランキングのメンツを眺めてみると日本より上の国に「おや、君が?本当に?」というのがチラホラ。。。
よくよく調べてみると自国への採点みたいな要因が強いようで、謙虚な日本人は自分を辛めにつける傾向があるようです。
謙虚なのは悪くないですね。好きです、日本人。

しかし、各々の国民性の差がそのまま順位に反映されてしまう統計というのは、余りいいものではないように思えます。
あ、だからこの35位は気にするなっていう話ではないです。
 
肌感覚としても、経済の面で、日本が相対的に強い国でなくなっていることに異論を持つ人は少ないと思います。
日本の若者が高いお給料を求めて海外に出稼ぎに行く話を耳にします。
世界の時価総額ランキングで上位に入る日本の会社は上位100社に1社程度と凄く少ないです。為替が極端な円安ではない時でも「日本は安い」ということで海外からの旅先として人気があることはもはや周知です。
悲しなってきましたが、GDPはまだ世界第3位です!
街も綺麗な立派ないい国です!(。-`ω-)ムフー
 
どうしてこうなったのか、「バブル後、失われたxx年の政治と大企業経営のせい」、これに尽きてしまうのでしょうが、もう少し身近に考えてみたいと思います。
 
個人的には社会人をしてきたこの約30年間を振り返ると日本の競争力低下は「なるべくしてなっている」と思うので、そんなに意外でもないと思えています。それと同時にビジネス面における“これまでの日本”において「競争力が低くなった」ということが、そんなに悪いことなのか、とも思います。
 
何かを高めようとしたら、別の所が低くなったのではないかと。つまり、「競争力を高められた代わりに失うもの」があって、「競争力が低くなっても得られたもの」という考え方があると思うのです。
 
では競争力の高かったという“これまでの日本において”、日本の特性、強みとは何だったかを考えてみます。
何といっても「人の力に依る面が非常に大きい」、そして、それに対応できる人だらけだった、というのが挙げられます。
勿論、シーパワーを存分に発揮できる地理的要因、豊富な水なんていうのも強みでしょうが、何といっても「人の力」が突出した強みだったと思います。
 
第二次世界大戦後、焼け野原だらけとなった日本は未曽有の速度で復活・発展を見せます。
大正や昭和前半生まれの方々が猛烈に頑張って、日本をGDP世界第2位の国(現在3位)に押し上げてくれました。
メイド・イン・ジャパンは世界を席巻し、毎年10兆円を超える貿易黒字は国際問題となります。

日本人ビジネスマンには“エコノミック・アニマル”なんて不名誉(ちょっとかっこいい?)なあだ名がつけられ、「ウサギ小屋(フランスの女性首相談)」のような小さな家に住んで休暇も取らず、家族と夕食も摂れず、「日本人は何が幸せで生きているのか」なんて揶揄された時代です。

官・民ともに勤め人は猛烈に働き、クーラーが無い真夏のオフィスでも朝から晩まで、休日も返上して働きまくる姿や、個人がとにかく組織に身を捧げる姿は、城山三郎さん、高杉良さんの小説にも沢山あります。
これこそが日本の強みである「人の力」だったと思います。
 
私の感覚ですが、この働き方が戦後1945年よりずっと前から2010年位まで、社会人、働き手として「正しい」とされていたスタイルだったと感じています。
 
何故、このモーレツな働き方が「正しい」となってきたか、それは日本の風土のせいで長年に渡って培われた考え方なのではないかと思います。
簡単に言うと日本列島の置かれた環境が、常に働いて蓄えないと死んでしまい易い環境なせいかなと。。
 
つまり、寒い冬を乗り切るために、暖かい季節に沢山働かないとダメ。
ただ働くだけじゃダメ。梅雨も台風もあるからその合間に、工夫しながら種蒔き&収穫をしっかりやる。
でも、しっかりやっても地震も干ばつも洪水もやってくるから「もう十分」なんてない。
とにかく備えるために「働こう!」「蓄えよう!」という生活を繰り返してきて、「働く人は正義!」みたいな考えが染みついできたのだと思います。
 
もしも日本列島がもう少し赤道に近くて一年中暖かかったら、そんなに頑張って働かなくてもよかったのでしょう。
その辺の果物を採って食べて、勝手に生える野菜食べて、温かい海に潜ってお魚を突いたり貝を採ったりしていればよかったわけです。

もしも地面を掘るだけでオイルが噴き出る国だったら、最初だけ頑張って掘って、後はパイプに繋いじゃえばよかったわけです。
でもそんな環境とは縁遠い日本人は、冬や天災に備えるために常に働かなければならなかったのですね。地震のこととか考えて「もう十分」なんて思えずに働いて備えていたわけです。
 
そんな「働く人は正義」という長年の日本の考え方は、2010年辺りから「個人の幸せを追求できるように」という方向に変わってきていると思います。法整備も進められていると思います。専門家さんに言わせると遅かったり、足りない所も多いようですが、日本人の仕事への意識が方向修正されている過渡期だと思います。

長くなってしまったので一旦切ります。後半で、どんな方向修正か、考えてみたいと思います。

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