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お茶碗のなかの世界

そうだ、私はお茶漬けが好きだった。

そうまざまざと思いだしたのは、有賀薫さんの「スープかけごはん」のレシピに惹かれ予約購入までして、こつこつとひとりで作っては食べはじめたころ。スープとご飯をさらさらとかき込むあの動きで、強く蘇った。

小さいころ、おかわりや残りご飯にお茶をかけてお漬物と食べるのがおいしそうに見えて、自分のお茶碗とご飯があるのに隣で祖母のたべているお茶漬けをねだった。「ひとのお茶漬けなんて食べるもんじゃない」とよく言われたもんだった。

我が家は私と夫プラス7歳・5歳・3歳の壊滅的なうるささの5人家族。自分だけのために何かを作ることはめっきり減ってしまった。おでんも寄せ鍋も大鍋、カレーはホットクック(大)。夕食は大皿盛り。お弁当持っていくとしても、ジップロックのスクリューに晩御飯の残りを流し込むだけ。私が作るのだからと私が食べたいものを作ることも多いけれど、他の4人が好きか、食べそうかは、いかな私の頭でも多少はかすめる。そして子供たちは私の願いもむなしく今日もたいして食べない。

スープご飯に惹かれた理由は、簡単で美味しそう、に尽きる。でもいざつくってみると自分だけの一皿、がとても特別で輝いて見えた。レシピどおり作ってまずひとくち。そこからは味のカスタマイズも自由で、他の家族があまり好まないナンプラーも豆腐もいっぱい入れていい。こっそり作れる手軽さもいい。白ご飯にお湯かけてお漬物、いい!ちょっとすりごまかけてはにやり、ちょっとお醤油足してはまたにやり。梅干し茶漬けも、鮭フレーク茶漬けも、「お茶漬けの素」もしみじみおいしい。私のお茶碗のなかでだけ作られる味の世界。

そんなわけで、大家族の片隅でこっそりひっそりお茶漬けにはまっている私なのでした。

※「何にも考えたくない日はスープかけごはんでいいんじゃない?」有賀薫 ライツ社

今のところ、にらまみれ!鶏ひき肉のスープ推しです(*´꒳`*)

#おいしいはたのしい

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