戦盲歌がNHKのアーカイブになりました

2022年夏にNHK第2の視覚障害ナビ・ラジオに出演し、「戦盲歌」について紹介させてもらいました。その内容がNHKのハートネットTVのアーカイブになりました。



https://www.nhk.or.jp/heart-net/article/717/

太平洋戦争末期に刊行され、戦後はほとんど無かった事にされてしまった『戦盲』や『心眼』の作品をメディアが取り上げてくださるのはとても嬉しいです。前線で負傷し視覚障がいとなった傷痍軍人たちの名前、作品に込めた思いが、広く読まれますように。

番組の証言音声で、

・上見れば及ばんことの多かりきかさ着て暮らせおのが心に
・下見れば我に勝れるものもなしかさ取りて見よ空の高きを


という歌が紹介されました。
戦争で左目を、その後のシベリアでの強制労働で右目を失明した東北出身の方が詠んだ作品だそうです。

盲僧だったと言い伝えられている蝉丸の

・世の中はとてもかくても同じこと宮も藁屋も果てしなければ

と近い抒情のように思いました。見えないことを受け入れて生活される中で、蝉丸と一緒の視点に立たれたのだなぁと。

失明の闇の中で、自分と向き合った人々の作品と名前を、広く長く残していきたいと思っています。戦争を知らない私がきちんと読めていない部分も多くあるのだろうと思っています。お気づきの点はご指摘ご教授頂けたら嬉しいです。

また、『戦盲』のいくつかの短歌には曲がついています。戦中の書店で偶然『戦盲』を手にした越谷達之助は、兵士たちの作品に感銘を受け曲をつけ、空襲の下をその楽譜だけを抱いて逃げたそうです。晩年、自分の遺言代わりに、平和の大切さを伝えるために、と楽譜を販売しコンサートを開催しています。
命がけで守った幻の楽譜は越谷達之助記念会が復刻販売しています。歌手の方、コンサートや、平和の為のイベントを企画されている方、お手にとっていただけたら嬉しいです。

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