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391. LGBTに対する嫌悪は不寛容ではなく生理的にくるもの(それがLGBTに対する理解不足であっても)で無理やりLGBTを近づけても強い拒絶感を促すだけで状況は改善しないよ。

今回もSNS上から意見を拾ってきました。

『精選版 日本国語大辞典』では「生理的」を次のように定義しています:

① からだの機能や組織の面に関するさま。
② 理屈ではなく本能的、肉体的であるさま。

『精選版 日本国語大辞典』

「生理的にくるもの」とされているのは、②の「理屈ではなく本能的・肉体的」ということでしょう。よく「生理的に無理」という表現も使われますね。

おもしろいことにインターネット上で「生理的に無理」で検索すると、たくさんの結果が表示されます。

例えば次のマイナビのサイトでは、「生理的に無理な人」とはどんな人か(例:清潔感がない人、度を越えたナルシストなど)、そういう人とうまく付き合うにはどうすればいいかが提示されています(例:二人きりになることを避ける、接触を必要最低限にするなど):

だから、あなたが「LGBTは生理的に無理」だというのなら、それなりのお付き合いの仕方があります。

ところで、この「生理的に無理」とされている人にも上で紹介したサイトのように、「どのような人が生理的に無理とされているか」という分析もなされています。

LGBTが「生理的に苦手」という場合も実はその元にはさまざまな要因があります。次に主な「LGBTに対する生理的な嫌悪」のパターンを3つ紹介します:

1.社会的・文化的な要因:ある社会では「男らしさ」や「女らしさ」の規範が強く、その規範から逸脱しているばあいに、嫌悪の対象とされることがあります。

例えば話し方や仕草が女性っぽい、男性なのにメイクをしている(これは最近ではごく当たり前になってきているようです)、というような場合、その対象となった人はからかわれたりいじめられたりすることがあります。

またこれはみなさんもよくご存じだと思いますが、宗教的にLGBTなどの性的マイノリティは悪だとされている場合があります。

2.LGBTについて知識がない。きちんと教えられていない/学んでいない:いわゆる「無知」であることです。小さいころから「世の中にはいろんな人がいる」ということを教えてもらえなければ、子どもは自分の周りの大人、地域の大人の言うことだけが正しいものであると考えて育つ可能性があります。

父親や母親がテレビを見ていて、「男が化粧してる!うわ、こいつ気持ち悪い」と言ったその一言で子どもは「ああ、こういう人は気持ち悪いんだ」と思い込んでしまう可能性があります。

3.異質なものへの恐怖:相手が「どんな人なのかわからない」というのは自分が持っている価値観や世界観を脅かす存在だと考えられる場合があります。

若い方はご存じないかもしれませんが、「幽霊の正体見たり枯れ尾花(かれおぼな)」という言葉があります。

怖い怖いと思っていたもの、薄気味悪く思っていたものでもその正体を確かめてみると全然怖いものではなかった、という意味の言葉です。

これら1,2,3の要因はばらばらのものではなく、お互いに関連しあっていることもあります。

わたしは特に「知らないこと(無知)が普通の人間にすぎないLGBTを何かモンスターのように思わせているのではないかと考えます。

「生理的に無理だから寛容さとは関係ない」というのは簡単です。しかし、相手を知ろうとしなければ、その「無知」から偏見がたやすくうまれるのです。そしてその偏見が差別につながる。

誰もあなたに「生理的に無理」な人と仲良くしろと強制はできませんが、わたしたちの周りにはすでにLGBTをはじめとする性的マイノリティが周りにいて、「共生」を始めていますし、これからも共生していかなければなりません。

あなたの「生理的に無理」な理由を考えてみることも必要かもしれませんね。

参考資料

画像:UnsplashPriscilla Du Preezが撮影した写真