見出し画像

『困難は分割せよ』:小さく分けて1つずつ解決する

適応障害で休職中なので、日々noteを書いています。

先日、車で移動中に、偶然ラジオから流れてきた、ある言葉が引っかかったので、記事にしてみますね。

『困難は分割せよ』

それは、『困難は分割せよ』という言葉です。

出所は、井上ひさしさんの短編小説『握手』という作品で、その作品に登場するルロイ修道士のセリフです。
さらにさかのぼると、フランスの哲学者デカルトが言った言葉だそうです。

井上ひさし著『ナイン』という短編集に収録されている作品なのですが、中学3年生の国語の教科書(光村図書)にも載っている作品ということで、国語の授業で知ったという人も多いようです。

私は授業で習った覚えはなく、読んだこともなかったので、図書館で中三の国語の教科書を見つけて、その場で読んでみました。
短編なので5分程度で読めます。

舞台は戦後の日本。児童養護施設の園長をしていたルロイ修道士が、病魔に冒されて、かつての元教え子を尋ねて回るときに、主人公にかけた言葉。

「仕事がうまくいかないときは、この言葉を思い出してください。
『困難は分割せよ。』
あせってはなりません。
問題を細かく割って、一つ一つ地道に片づけていくのです。
ルロイのこの言葉を忘れないでください。」

井上ひさし『握手』 (原文は改行なし)

小説では、主人公との会話の中でサラッと出てくるだけであり、この言葉について話を広げたり、解説されていたりするわけではありません。

ただ、これだけ世の中の人々に印象を残しているということは、重要なキーワードであり、現代でも課題解決の手法として有効な方法の1つと言えるのでしょうね。

なぜ困難は分割したほうがいいのか

困難を小さく分割する理由としては、とりあえず取りかかることが見つかるから、と言われています。

どんな人でも、大小の差はあれ、困難にぶつかることはあります。
仕事も家庭も順風満帆という人であっても、困難がないというより、「いろいろな困難を、その都度、乗り越えてきてるから」と言えますよね。

困難にぶつかったとき、人は「どうすればいいんだ」と途方にくれてしまうことがあります。
何から手を付けていけばいいのか、分からない状態ですね。

その、「途方にくれる」状態から、とりあえず今できること、やるべきことを抽出するのが、「困難を分割」の効果だと認識しています。

別の言い方では、「問題を分解する」とか「切り分ける」「切り出す」という表現もありますが、同じようなことだと思います。

細かく分けることで、実はそれほど問題ではないことが含まれることにも気付き、その小さな問題のパーツは、優先度を下げるか無視します。

そうするうちに、「問題の本質=解決すべき課題」や「まず先にやるべきこと」が浮かび上がってくるのかな、と思います。

具体例で練習してみよう

例えば、「週末に家じゅうをピカピカに掃除しよう」という課題(困難)があるとします。
一体、どこから手を付けりゃいいんだ・・? と途方に暮れます。

そこで、まずは部屋や場所ごとに分解します。
玄関・キッチン・リビング・寝室・子供部屋・物置、など。

そのうち、来客のことを考えて、玄関、リビング、キッチンを優先度=高、その他の部屋は優先度=中~低、と分けます。

次に、それぞれの場所について、さらに分解します。
玄関ならば、靴箱の上、靴箱の中、玄関収納、たたき(土間)、玄関ドア、傘立てなど。
それらの場所ごとに、掃除のアクションを分けていきます。
 ・靴箱から履き物をすべて外に出す
 ・靴箱の中を掃き出す(または拭き掃除)
 ・靴箱の上の棚に置いてあるものをいったんのける
 ・靴箱の上の棚を拭き掃除⇒ものを元に戻す
 ・たたきをホウキで掃き掃除
 ・玄関のドアを拭き掃除
   :
みたいに、どんどん小さな単位に分けていけば、とりあえず手を動かし始めることができます。

いったんアクションを開始さえすれば、その流れで、小さな単位で1つ1つ片付けていける、というわけです。

また、掃除の例で言えば、先に床をきれいにした後、棚の上を掃除すると、またホコリやゴミが床に落ちて、床掃除が二度手間になってしまうことがあります。
なので、掃除は「高い場所から順に」が基本ですよね。
(※なんかお掃除アドバイザーみたいになってきた)

小さく分割したからこそ、1つ1つの作業が二度手間にならないように、優先順位を付けることもできます。

同じように、キッチンなら、シンクまわり、コンロまわり、食器置き場、食器棚、引き出し、換気扇・・など、場所ごとに分割して考えます。

小さな単位に分けることで、具体的にやるべきことや、取りかかる順番が可視化されるということですね。

上記の例は適切かどうかは分かりませんが、「分割する」のイメージが何となく掴めてきた・・のかな? わからん。自信なし。

仕事の進め方や勉強の仕方など、『困難は分割せよ』という言葉は、人それぞれで独自の解釈がされているようです。
応用が利きやすい言葉なんでしょうね。

見逃されそうですが、続く言葉の重要性

ルロイ修道士の言葉『困難は分割せよ。』が有名なため、見逃されそうになりますが、個人的には、その後に続く言葉こそが本質だと思います。

あせってはなりません。
問題を細かく割って、一つ一つ地道に片づけていくのです。

井上ひさし『握手』

何のために、困難や問題を分割するのでしょうか?
細かく分割することが目的ではありません。

1つずつ地道に片づけていくこと、こそが重要なアクションです。
問題を分割することは、プロセス(手段)に過ぎません。

それと、「あせってはならない」という言葉。
これは方法論ではなく、精神論ですね。
困難にぶち当たったとき、あせらずに、いったん落ち着いて、問題をよく見極めよ、というメッセージ。

「ルロイのこの言葉を忘れないでください」は、むしろ後半の言葉にかかっているのではないかと思います。

この記事を書くにあたって、「困難は分割せよ」を検索したとき、問題を分割することの重要性についての記事はいくつも出てきました。
ただ、その後に続く「あせってはならない」以降の言葉まで言及している記事は、すぐには見当たりませんでした。

1.分割せよ
2.あせるな
3.1つ1つ片付けよ

これらのワンセットが、ルロイの言葉です。

中三の国語の教科書に取り上げられているとのことで、実際の教育現場では、どのように教えているのかは知りません。

「仕事がうまくいかないときは」で始まる言葉なので、ビジネス現場の文脈で、『困難は分割せよ』という言葉が一人歩きしている印象があります。
ただ、これは仕事のやり方の話に留まらず、広く応用が可能な、示唆に富んだ言葉ですね。

人が生きていくということは、何度も何度も大小の困難に遭って、それを1つずつ片付けていくことの繰り返しですからね。




この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?