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大学はアスリートとしてのキャリアの終着点?それとも新しいキャリアの出発点?

 今年度、オムニバス形式で2回ほど、他学科の学生が主体の(インストラクションが英語で行われる)講義を受け持った。タイトルは「米国の学生(大学)スポーツ」と称して、米国の大学スポーツは

・秋(冬)春のシーズン制になっていること
・1~2単位分の学費負担で用具から遠征まですべて学校が面倒みてくれること
・学業の成績によっては退部あるいは退学もあること


など簡単に仕組みを紹介した。大学スポーツからプロへは多くの場合卒業を待たずにドラフト指名され、その次のシーズンで合流するが、4大スポーツの平均キャリア年数は ・NFL: 3.3年 ・NBA: 4.5年 ・MLB: 5.6年 ・NHL: 4.5年 と短いうえに、NFLでは78%の選手が引退後2年以内に、NBAでは60%の選手が5年以内に自己破産する、というデータも示した。

 そのうえで4大スポーツの元スター選手たちが、引退後大学に戻り卒業するだけでなく、その後大学院に進学し、博士号を取得したり、医師になったりした例も紹介した。 その講義でのコメントシートを今振り返って読んでみたのだけど、受講生である学生アスリートたちは、その事実に驚いていたのはもちろんのこと、それと同時に、「競技引退後は学業に力を注ぎたい!」というコメントがこちらの予想よりはるかに多く寄せられたのが僕としては嬉しかった。

もう一声、「引退後」ではなく、「今、両立させたい!」だと100点だぞ!

うっしー心の叫び
敷地にゆとりがあるから、なんだろうけど、教室やカフェテリア(学食)以外に
廊下やちょっとしたスペースに机や椅子、電源があるのは羨ましい…。
ウチの大学でもそういう場所、作れそうなんですけど…頑張って提案するか。

 何を隠そう、僕も最初に入った大学を中退して、ものすごい遠回りをして高校卒業から12年後、31歳で学士号を取得した。中退したその大学での単位も認めて貰えたこともあって、渡米後半年で大学入学レベルに到達するための語学勉強を終え、その後4年でアメリカの大学を卒業できたのだけど、あのときの僕にはその方法しかなかったから、そんな遠回りを行くことになった。

学びたいことがそこにしかなかったのは確かだけど、
家庭があって子どもがいても学問をやり直せる環境はあの時はアメリカにしかなかった…

 今回受講してくれた学生アスリートたちは、競技か学問か、で競技を中心に進学先を選んだことで何かしらの行き止まり感を持っていた者も多かったのか、「競技を引退して大学院などに進学できるよう今いるところで高いGPAを保てるように頑張ります」とコメントしてくれた学生も何人かいて、凄く嬉しかった。そう、大学はこれまでのアスリートとしてのキャリアの集大成であるのと同時に、ここからの新しいキャリアへの出発点でもある。

ウチの大学はアスリートに次のキャリアを考えさせ、その道で成功してもらう、そういう意味でものすごくポテンシャルがあると感じている。

うっシー心の叫び

 僕と接点ができたことで、目先の競技成績から少し「キャリア」への意識ができ、学業にも目を向けてくれたなら嬉しい。このコメントシートはいつでも見られる場所で保管したい、そう思った。


このnoteをご覧くださりありがとうございます。サポートいただけた際には子供たちが安心してスポーツに打ち込める環境づくりに使わせていただく所存です。よろしくお願いいたします。