[色彩工学/カラーサイエンス]YoshiColor

「色彩工学/カラーサイエンス」の解説記事を投稿します(半分自分の備忘録)。すごいマニア…

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「色彩工学/カラーサイエンス」の解説記事を投稿します(半分自分の備忘録)。すごいマニアックなので、カラー系の各種検定試験には直接役に立ちませんw。専門は色彩工学/画像工学/視覚工学(特に顔/皮膚が対象)。博士(工学)。化粧品メーカーでデジタルテクノロジー&デジタルコンテンツ開発。

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  • 色を科学するシリーズ

    色彩工学、カラーサイエンスの基礎の部分、テキストにもあまり書かれていない内容を丁寧に、図を用いて説明します。ソースは学生時代の授業、学生実験、研究、先生とのディスカッション、テキスト、解説文献など。

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色は積分で表現できる ~色彩工学(Color Engineering)とは~

この積分の式は、私が色彩工学で飯を食っていくきっかけになった式です。色彩工学の最も基本的かつ重要な数式ですね。大学1年生の4月に先生が黒板にこの式を書き、 「色は積分で表現できるんだよ」 と言ったことに衝撃を受け、のめり込むきっかけになりました(この式の詳細は後ほど)。当時、色彩は芸術/感性と思っていたのに、数式、しかも積分で表現できるなんて。。。とびっくりしました。  この積分公式の詳細は「色を科学する その④ 物理エネルギーを明るさに変換する不思議な数-V(λ)と6

    • 2023年ありがとうございました!

      一番読まれた記事 CIE XYZの計算方法の解説でした。  初学者はどうしてもココで躓きます。。。専門書には理論しか記載されておらず、具体的な計算方法に対するニーズが高いということですね。 二番目に読まれた記事 素朴な疑問に答える記事でした。写真を撮る人なら必ず使うグレーカード。その反射率はどうして18%っていう中途半場な数字なのか? https://note.com/yoshicolor/n/n6b88ff543a10 三番目に読まれた記事 似て非なる専門用語の違

      • 色を科学する その⑬ 🌈虹の7色は錐体分光感度が創る

         虹の色の話ですが、色彩工学なので、「ニュートンが音階と結び付けて…」ではなく、錐体分光感度との関係を解説します。下手すると虹が3色だった可能性も!  「色を科学する その⑫」では、下記のような話をしましたが… 実は、単に3種類あればよいというわけではないのです。 感度のオーバーラップが重要 スペクトル=虹は下記のように、連続的に色が変化し、いわゆる"7色"を呈しています。つまり、380nm-780nmの単色光を見ると、(三色型色覚の人には)このように見えます。  実

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        • 資生堂の研究員とバンナムさんによる「推し色」のお話! 日本色彩学会 教育普及委員会 推し活と色彩 ~推し色アイシャドウの色彩的特徴~ https://www.sccj-ifscc.com/uploads/event/event_pdf1/1137.pdf 資生堂の研究所S/PARKで開催するので、セミナー以外にも見どころ満載!!

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        色は積分で表現できる ~色彩工学(Color Engineering)とは~

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        • 色を科学するシリーズ
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          色を科学する その⑫ どうして色が見えないのか?

           どうして色が見えるのか?と銘打って、色覚の仕組みを解説するコンテンツはいろいろありますが、逆を考えてみました。  我々の目の網膜には、色覚を担う3種類の光受容細胞(センサー)があります。主に長波長に感度ピークを持つL錐体、中波長にピークを持つ、M錐体、短波長にピークを持つS錐体です(色を科学する その⑨ 色覚の多様性が色彩学の難題を解くカギ<後編>)。  このうち1種類が欠損していたり、(マジョリティと比較して)感度やピークずれがあると、色の見え方が変わったり、特定のペ

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          色を科学する その⑫ どうして色が見えないのか?

          カラーコーディネーター検定試験に関連する記事まとめ[アドバンス クラス編]<後編>

           東京商工会議所主催のカラーコーディネーター検定試験が、2023/6/23-7/10で実施されますので、その参考になる(かもしれない)過去記事を紹介します。  この<後編>は、表色系、測色、色差を扱うChapter 5に関連する記事まとめです。こうやってまとめてみると、関連する内容がすごくいっぱいありました!  スタンダードクラス編はこちら  アドバンスクラス編の<前編>はこちら Chapter 5 表色系と測色方法および色彩管理の手法 PART 1 CIE表色系 加

          カラーコーディネーター検定試験に関連する記事まとめ[アドバンス クラス編]<後編>

          カラーコーディネーター検定試験に関連する記事まとめ[アドバンス クラス編]<前編>

           東京商工会議所主催のカラーコーディネーター検定試験が、2023/6/23-7/10で実施されますので、その参考になる(かもしれない)過去記事を紹介します。  なお、試験は自分のPCで受験するIBT(Internet Based Testing)と、全国のテストセンターに出向き、設置されたPCで受験するCBT(Computer Based Testing)があります(すでに申込みは〆切済み)。  上位級である「アドバンスクラス」は ①色彩工学的内容(スタンダードより詳細)

          カラーコーディネーター検定試験に関連する記事まとめ[アドバンス クラス編]<前編>

          カラーコーディネーター検定試験に関連する記事まとめ[スタンダード クラス編]

           東京商工会議所主催のカラーコーディネーター検定試験が、2023/6/23-7/10で実施されますので、その参考になる(かもしれない)過去記事を紹介します。  なお、試験は自分のPCで受験するIBT(Internet Based Testing)と、全国のテストセンターに出向き、設置されたPCで受験するCBT(Computer Based Testing)があります(すでに申込みは〆切済み)。  まずは登竜門である「スタンダードクラス」に関連する記事から。スタンダードクラス

          カラーコーディネーター検定試験に関連する記事まとめ[スタンダード クラス編]

          色を科学する <番外編>CIE L*a*b*を自分で計算してみよう!

           「色を科学する その⑪」でお話ししたCIE 1976 L*a*b*色空間(CIELAB)のExcelでの実際の計算方法です。  アクセス状況を見ると、最近「XYZを自分で計算してみよう!」が一番人気なので、CIE L*a*b*でもニーズがあるかと思い、書いてみました。 L*a*b*値の計算式CIELABの計算式をおさらいすると↓です。  ここで、XwYWZwはそれぞれ、完全拡散反射面のXYZです。完全拡散反射面とは、入射した光を余すことなくすべての方向に均等に拡散反射

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          色を科学する <番外編>CIE L*a*b*を自分で計算してみよ…

          1年間ありがとうございました!&2022の色は?

           2021年も今日で終わり、noteによる「2021年の記録」によると、18本の記事を書いて(これを入れると19本)、146回スキいただいたようです。サポートしていただいたみなさん、ありがとうございました!  そして最も読まれた記事は「色を科学する <番外編> グレーカードはなぜ18%???」とのこと(ダッシュボードの結果と違うのは、アルゴリズムが違うから??)  フォロワーも70人増えました。映像、CG、写真、デザインなどクリエイティブな領域に携わっている人が多いようで

          1年間ありがとうございました!&2022の色は?

          色のイロハ その① 色の三属性と色相・明度・彩度

           これまでとかなり路線を変え、「色彩学」やその「基本中の基本」みたいなものを書いていこうと思います。  この領域は語られすぎていて、ニーズがないと思っていたため、扱わず、だれも語っていない、数学や物理学の理論を用いた色彩工学や色彩科学のディープでマニアックな内容を記事にしていたのです。  しかし、不足している情報や中には間違った記載もあるようなので、書いてみることにしました。 色の三属性 色には (1) 色合い、(2) 明るさ、(3) 鮮やかさ ※からなる三種類の属性が

          色のイロハ その① 色の三属性と色相・明度・彩度

          ディスプレイのキャリブレーションをガチでやってみた話

           とある色評価実験をするにあたり、色をとにかく正確にディスプレイに表示したく、ディスプレイをガチでキャリブレーションした時の記録です。もう15年ほど前の話なので、ディスプレイといってもCRTです。  結果的に、平均色差ΔE*abが、全色領域の24色(Macbeth Color Checker)で0.8、ターゲット領域の15色で0.5と、ヒトにはほぼ見分けがつかないくらいのレベルで再現できました。  左がMacbeth Color Checkerの24色、右がターゲットであ

          ディスプレイのキャリブレーションをガチでやってみた話

          色を科学する <番外編> CIE 1976 L*a*b* 開発秘話

           CIELAB開発秘話。知る人ぞ知る(ホントにあまり語られてない)お話しです。色を科学する その⑪ 均等色空間と色差<後編>で書ききれなかった分を書きました。 CIELABのできるまで CIELUVはU*V*W*の改良版として作られましたが、CIE 1976 L*a*b*色空間(CIELAB)の開発経緯は全然違い、アダムス(E. Q. Adams)、ニッカーソン(D. Nickerson)、グレイサー(L. G. Glasser)という3名の研究を組み合わせてできました。ち

          色を科学する <番外編> CIE 1976 L*a*b* 開発秘話

          色を科学する その⑪ 均等色空間と色差<後編> CIE 1976 L*a*b*とL*u*v*

           <前編>で均等色度図、<中編>で明度関数ができたので、それらを組み合わせて、いよいよ均等色空間と色差が完成します!これによりようやく色の違いを語ることが可能となるのです。シリーズ完結編!  ※本コンテンツは有料となっていますが、無料で最後まで読めます。<前編>から苦節4か月、結構大変でした、、、共感いただける方はサポートよろしくお願いします。 CIE 1964 U*V*W*色空間 CIEが1964年に勧告した均等色空間です。明度関数W*と色みを表すU*V*からなり、U*

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          色を科学する その⑪ 均等色空間と色差<後編> CIE 197…

          色を科学する <番外編> グレーカードはなぜ18%???

           カメラの露出を決める際よく使われるグレーカード。「18%グレー」とされていますが、なぜ50%でなく中途半端な18%なのか?ディスプレイで再現する時のRGB値は?など。※「明度関数」に関する記事からの派生です。 明度関数をよく見てみると... 明度関数は、Y(相対化した輝度)に対し、上に膨らんでいる形状となっています。つまり、45度の直線(いわゆる正比例)より全体的に上に凸になっています。なので、「中間のグレー(マンセルN5)」を再現するにはY=50ではなく、もっと低い値、

          色を科学する <番外編> グレーカードはなぜ18%???

          色を科学する その⑪ 均等色空間と色差<中編> 「log」や「べき」で明るさを表す

           <前編>で均等色度図のことを書きました。均等色度図はその名の通り、色相と彩度のみの情報を持ち、明るさの情報がありません。そこにヒトの感覚に合致する明るさ尺度(モノサシ)である「明度関数」を組み合わせることにより、均等色空間が完成し、その空間での距離が色差となります。  ※本コンテンツは有料となっていますが、無料で最後まで読めます。共感いただける方はサポートよろしくお願いします。 輝度以外のモノサシが必要 明るさのモノサシの一つである輝度(や物体色のY)が有効なのは、同じ

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          色を科学する その⑪ 均等色空間と色差<中編> 「log」…