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生い優るあなたへ

親族控え室に入ったとたん、父や親戚たちから

「まさか、姪に先を越されるとはな」

「研究ばっかいしちょっからだぞ」

とからかわれる。

無理言って有給取って、どうしたって日帰りできない地元へ来たのに、この言われよう。

45で独身で何が悪い。

東京には私みたいな女もわんさといる。これだから、価値観がアップデートされない土地は嫌なんだ。

チャペルに移動し、親族と離れて座る。

すると、隣にいた若い女の子に

「もしかして、まーちゃんですか?」

と聞かれた。

「はぁ」

「優から話聞いてます!」

やっぱり、45で独身の叔母はネタにされているらしい。

「学会で論文発表したりしてるんですよね? 優が自慢の叔母さんだって」

「え?」

ぽかんとしていると、オルガンの音が響いた。チャペルの扉がゆっくりと開く。

緊張した義兄と、美しく成長した姪が立っていた。

自分で選んだ未来への一歩を踏み出す彼女を見つめる。

私も、あなたのことを誇りに思っているよ。

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ありがとうございます。今日のラッキーアイテムはマスク
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吉玉サキ

ライター・エッセイスト/著書『山小屋ガールの癒されない日々(平凡社)』http://urx2.nu/Vmkr webメディア・雑誌で執筆中/有料記事は知人に読まれたくないだけで有益な情報とかじゃないです/お仕事のご相談はsaki.yoshidama@gmail.com

400字小説

旅する日本語コンテストに応募したショートショートです。すべて400文字以内。1分かからず読めます。
2つ のマガジンに含まれています

コメント2件

素敵な姪子さん。
理想の叔母と姪を書きました。
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