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飲食DXサービスの事業開発・PMをやりながら飲食店経営して感じた「飲食業界DXの3大障壁」

私は現在フリーランスとして飲食DXサービスの事業開発・PMの仕事と飲食店を2店舗経営しております。

フリーランスとしてはアナログ業界でのDXにより社会が便利で快適になること、飲食店経営者としてはスタッフとお客様にとって飲食店がより良い場所にすることを日々考えています。

飲食店DXのサービスから日々営業を受けており、飲食DXを狙う企業様からご相談をいただくことも多いです。

元々は新卒入社した株式会社ぐるなびでDXサービスの販売も行ってきました。


今回は、そんな私がDXサービスに対して考える飲食業界DXの3つの課題についてまとめていきます。


※DXとは

企業がビジネス環境の激しい変化に対応し、データとデジタル技術を活用して、顧客や社会のニーズを基に、製品やサービス、ビジネスモデルを変革するとともに、業務そのものや、組織、プロセス、企業文化・風土を変革し、競争上の優位性を確立すること。

要約すると、ITを活用してビジネスに関わるすべてをより良くし、国内外で優位を築いて事業を続けられるようにしよう、ということです。


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飲食DXの今

多くの方のイメージ通りだと思いますが、飲食業界はまだまだアナログ業界です。

そんな飲食業界には、より便利で明るい社会を目指して様々なプレイヤーがDXを促進しております。

飲食店DX例
・予約管理(カレンダーやスケジュール帳がクラウド予約台帳に)
・注文受付(手書きの注文伝票からセルフオーダーシステムに)
・発注業務(FAXや電話の発注がWEB発注に)
・決済(現金払いからキャッシュレス決済に)
…etc.

飲食業界全体でDXは進んでいますが、まだまだ浸透しているとは言えません。


ちなみに私は飲食業界のDXについて賛成でも反対の立場でもありません。

メリットがあれば導入すれば良いし、そうでないなら導入する必要はないと思います。

実際、私が経営している飲食店ではDXサービスをあまり導入していません。

導入する必要がないからです。

例えばセルフオーダーシステム、コミュニケーションを非常に大切にしている個人店舗ではコミュニケーションの機会を奪いかねないので導入しない判断が多い印象です。

一方で大規模チェーン店では効率化のために導入している店舗も多々あります。

どちらも導入すること、しないことで顧客満足度を最大化しており、DXが必要かどうかは店舗によります。

飲食店はDXが流行っているかどうかは関係なく自社に必要かどうか冷静に判断すれば良いです。


一方で、DXがハマると絶大な効果を発揮します。

私自身も営業としてDXサービスを販売した経験を持っていますが、最初はDXサービスに全く興味がなかった(むしろ悪いイメージを持っていた)方も、導入後に大変感謝していただくこともありました。

その点で、私はこれからの飲食業界のDXに非常に期待感を持っています。

自分もDXを促進していく立場ですし、助けになるサービスがあれば経営している店舗でも積極的に導入したいと思います。

より多くの飲食店の助けになるよう、DXがより促進されるよう、飲食業界のDXに期待しております。


障壁① 「Pain」でなく「Gain」フェーズの領域が多い

「Pain」と「Gain」という考え方をご存知でしょうか?

Pain:顧客の悩み
Gain:顧客の利得

そのサービスは顧客の悩み(Pain)を解決するものか?
そのサービスは顧客の利得(Gain)を生み出すものか?

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全ての領域には当てはまらないかもしれませんが、

飲食DXにおいてはユーザー動向に起因して「Gain」が「Pain」に変わるフェーズがあると思っています。


その最たる例はネット予約です。

ネット予約が普及する前は「お店にいない時間も、丸一日予約が受け付けられる!」「予約一覧がWEB上で簡単に確認できる!」みたいな訴求が主流でした。

その当時は「あったら便利(Gain)」といったイメージです。

ですが、「PCやスマホで簡単に飲食店の予約ができる」「ポイントが貯まる」といった理由でユーザー側でのネット予約が主流になってから「導入しないと売上をあげにくい(Pain)」に変化していきました。

ネット予約を導入したら「便利(Gain)」から「不利益を被る(Pain)」にシフトしたのです。


DXが進んでいない領域は、まだ「あったら便利(Gain)」の訴求が多い印象です。

ですが、例えば下記のような変化があれば話は変わってきます。

・決済
現金を持たないキャッシュレス決済メインのお客様が増え、キャッシュレス決済しないお店には行かない。
・注文受付
セルフオーダーシステムに慣れたお客様が増えて、サクッと飲食を楽しみたいお客様はあえてセルフオーダーシステムを導入したお店を選ぶ。
・発注業務
WEB発注しか受け付けない卸やメーカーが主流になり、発注する上でWEB発注にシフトせざるを得ない。


ちなみに飲食店のネット予約ってUXが絶望的に良くないのですが、

それでも飲食店はリテラシーの有無に関わらず頑張って使います。


一部の他の領域も「使わなきゃいけない」って状況になってDXが促進されるフェーズは時間の問題だと予想しています。


障壁② 顧客理解が甘い営業が多い

これは私自身がよく体験していて、飲食店経営者同士でも良くあるよねって話している半分愚痴的なポイントです。

大きく二つあります。


一つ目は、リテラシーがある層に対する顧客理解。

飲食DX領域の営業電話を受けていると、あまりにもリテラシーが低いことを想定されている気がします。

リテラシーが低いことを想定されると、説明がどうしても長くなります。

なので、飲食DXの営業電話の特徴は「話が長い」です。

導入で同じような話を長くされるので、はいはい大丈夫ですってすぐ切る方が多いです。

かなり大きな機会損失を感じます。


二つ目は、リテラシーがない層に対する顧客理解。

独立開業した個人店の超アナログな方は、「自分がやりたいことを存分にやるんだ!」ってマインドで独立してたりして、利益アップや効率性アップの話をされてもピンとこない方が多いです。

私の実体験として、広告の営業をする中で「売上をあげましょう!」よりも「こだわりをお客様に伝えましょう!」の方が圧倒的に刺さる層がいました。

実際うちのお店に来ている営業電話でも「効率化アップ」より「顧客満足度向上」と言われる方がピンときます。


もちろん営業さんやサービスによって違いますが、

この辺りを理解しないまま営業かけている方が多いためにDX系サービスが門前払いされやすい印象です。


障壁③ プレイヤー過多によるデータの分散

DXするメリットの一つに「データ連携」があり、ある業務のDXにより別業務が便利になることがあります。

わかりやすい例は「注文受付」と「決済」です。

紙伝票で注文をとっている場合、お会計時に紙伝票に書かれている商品をレジに打ち込んで合計金額を計算する必要があります。

ほとんどの方が紙伝票の商品をレジに打ち込んでいる間に待たされた経験があるのではないでしょうか?

ですが、注文受付とPOSレジをDXしていれば会計時に計算する必要はないですし、何がいくつ売れたかの管理も楽になります。

他にも「発注した商品が自動的に原価として電子帳簿に記録される」や「ネット予約が自動的にクラウド予約台帳に記載される」など、様々なケースが。

このように、関連する複数の業務をDXすることでより大きな効果を生みます。


ですが、この効果を生むためには「データ連携している」という条件があり、これがDX領域の難しいポイントです。


DX領域は注目を集めていることもありプレイヤーが多いです。

各プレイヤーは複数の他領域と連携可能ですが、競合排除などで連携先サービスが限られているケースがあります。

例えば、食べログで受け付けた即予約はTORETAというクラウド予約台帳上の席が自動で埋まりません。

Tap&OrderというセルフオーダーシステムはAirレジというクラウドPOSに自動連携されません。


「データ連携すればいいのに!」と嘆く飲食店は多いですが、サービスでは連携が難しい理由があります。

サービス間のデータ連携は難しいし、特定のサービスと連携したら同領域の競合と連携できない(競合排除)とか、様々な理由があります。

多くのサービスがより便利なサービスにするためにデータ連携を視野に入れていると思いますが、そう簡単な話ではないのです。


あえて言及しませんが特定の領域ではサービス内容が似ていて価格も同じくらいのサービスが濫立していたりします。

当然そういった領域はユーザーが分散してさらにデータ連携のメリットを受けられない状況になりやすいです。


各プレイヤーのデータ連携の範囲が広がるか、Appleみたいにスマートフォン⇄PC⇄iPadなど各領域で求められ広いシェアをとっていくか…

簡単には解決されないですが、データ連携によるDXの真価が発揮されやすい状況になることを祈ります。



以上が僕の考える「飲食業界DXの3大障壁」です。

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