見出し画像

意地の張ることは実はよいこと!~本物の意地へ変える~

いきなりですが、お子さんや部下に『意地を張るな!お前は我儘(わがまま)だ!』と叱ってしまうことはないでしょうか。この言葉を言われた本人は、多くの場合思わぬ展開になってしまうことになります。
 

意地を張るのは自分を認めて欲しいから

 
昔、私が高校一年生の頃、バレーボールが流行っていて、女子にもてたい一心でバレーボール部に入部しました。(笑)私は背も高く運動神経も良かったので、みるみる上手くなり一年生ながら注目の的でした。この自信過剰がドラマをつくると知らず、張り切って部活をしていました。
 

ところがある日、コートの中を端から端まで走りながら一人だけでボールをレシーブするという厳しい練習がありました。初めての厳しい練習で、思うようにレシーブすることが出来ず、途中から、『俺は優秀なんだから、自分にこんな練習は必要ないだろ!』とキレてしまいました。そして、その反動で『バレー部なんか辞めてやる!』と捨て台詞を吐いて体育館を逃げ出してしまったのです。
 
本当は、やめたくない気持ちで一杯でしたが、何かやるせない悲しい気持ちで体育館を後にしたことを覚えています。合宿中だったので、合宿所に戻り、どうしようかと考えていました。『体育館に戻って謝ろうか、それとも、このまま荷物をまとめてバレー部をやめてしまおうかと。』
 

一生を変えてしまう意地の張り方


 そのとき、なぜか柔道部の顧問である向井先生が私のところに来て、「どうしたんだ?」と声を掛けてくれました。柔道部も合宿中だったのと体育の授業で柔道をやっていたので、先生は私のことを目に掛けてくれていたのです。
 
「どうしたんだ?」と声を掛けられ、ゆっくり私の話を聴いてくれました。「そうか、そうか、そうだったんだー」と。それから「吉田は、できるやつだから、辞めるなんて勿体なくないか?」と私の辞めたくない気持ちに寄り添ってくれました。
 
すると、『私のやめてやるー』という意地はなくなり、いつの間にか泣いていました。そこへバレー部の顧問の野本先生も駆けつけて来て、向井先生と同じことを言ってくれました。そのおかげで、バレー部を続けたいという気持ちで、私は謝ることができました。それから2年後にはバレー部のキャプテンとして、全国にも通用するプレーヤーに成長することができたのです。
 
もし、あのとき「意地を張るな!我儘言うな!」と言われていたらバレー部を辞めていたかもしれません。今とは全く別な人生になっていたかと思うと少し怖くなってしまいます。『バレーボールが好きだ。辞めたくないという意地』を張らせてくれた先生方に感謝しかありません。
 

意地を張るな!と言うと、間逆のことを考え出す



人は、自分の存在や頑張りを認めてもらいと思っています。でも、その存在や頑張りに誰も気づいてくれないと悲しくなります。だから、だだっ子のように、悪びれたり、攻撃的な態度をとったりしてしまいます。読者の皆さんもそんな経験はないでしょうか。
 
たとえ、本当にやりたいことがあっても、冷静さを失い相手の嫌がることをしたり、相手が驚くことをしたりして、ただ自分の存在を主張したくなってしまうのです。これは、張っていけない意地です。放っておけば、進むべき道からそれ、本来やりたかったことを不本意に本人は諦めることになります。
 
意地を張るとは、自分の思ったことをどこまでもやり通す気持ちです。張っても良い意地は、自分がやりたいことをやり切る気持ちだと私は考えます。食い意地が張っているとか意地っ張りだとか、あまり良い印象の言葉ではないように世間は受け取っているようですが、私は人には意地がとても大事など考えています。それは、意地こそ自信ではないかと考えるからです。自分がやりたいことをどこまでもやり通す気持ちがなければ、自信は生まれないからです。
 

本物の意地に気づかせる

 


張っていけない意地をはっているとき、お子さんも部下も冷静でない場合が多いです。そんなときは、いくら説得しても張ってはいけない意地を撤回することはありません。お子さんや部下の状態にもよりますが、その場ではなく1時間ぐらいの冷却時間をおいてください。
 
冷却時間を置くことで、自分のやったことを振り返ることができます。『いけないことをしてしまったなという気持ち』と『なんで私のことに気づいてくれないのという気持ち』に揺れ動いています。
本人がどんな気持ちでいるのか少しわかり始めたら、「どうしたの?何かあったの?」と笑顔で優しく声を掛けてあげてください。
 
「ごめんなさい」と直ぐに謝ってくる場合もあります。そのときは、「〇〇さん気づいてあげられなくてごめんね!」と受け止めてあげましょう。
 
しばらく沈黙のあと、本人が話し出したら「そうなのー。そういうことを考えていたんだー」とすべてを受け止めてあげてください。本人が黙って頷いているのを観て「今、答えなくてもいいけど、本当はどうしたいの?」本人に決断できるチャンスを与え本当の意地へ導いてあげてください。
 
本人が決めきれないときは「私は〇〇するあなたでいて欲しい」と貴方の気持ちを伝えば、張ってはいけない意地を捨て、張っても良い本物の意地に気づくことができます。

ときに親や上司から見て、張ってはいけない意地を選択することもあるかもしれません。そのときは、その選択に任せましょう。でも、気持ちが変わったときは、いつも受け入れる準備があるよと教えて、温かく見守ってあげてください。
 
新しい季節のはじまり、お子さんや部下が目を輝かせ未知への挑戦をするこの時期、本物の意地を張らせてあげれば、自信がついていきます。

今回の質問

『本当の意地を張らせていますか?』

上司と部下が生き生きと活躍できる職場作りを目指しています。いただいたサポート費はさらなるクリエイティブな活動に使わせていただきます。